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026:他のプレイヤーと遭遇
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『第5層17マス』スタート地点に立つボドゲ部たちの目の前には、10メートルはあるのではないかと思われる木々がそびえ立っている。
照りつける太陽。虫や動物の鳴き声。風や水の音。土や草の匂い。
今回のボドゲ部たちがゲームを行う舞台はジャングルだ。
「うわーなんだここ。暑すぎるんだけど……てかこんなに大きな木見たことないわ」
第5層17マスのスタート地点からジャングルに向かって歩き出したキンタロウがその自然の壮大さに驚いていた。
そして「やべっ。うんこ踏んだ。でっけーうんこ踏んだ!」とキンタロウが騒ぎ始めた。
すかさずサンダルを脱ぎ近くに落ちていた大きな葉っぱを使い踏んでしまった生き物の糞を取り始める。
「日焼けがぁ……」
純白の肌を持つイチゴは照りつける太陽の日差しを気にしながら身長185センチの筋肉男の影に隠れた。ノリはイチゴに日除けとして使われている。
そんなノリは太陽に負けず様々なマッチョポーズをとり続ける。そのたびにイチゴも同じポーズをとって太陽の日差しから必死に逃れようとしていた。
「勘弁してくださいよ……僕は暑いのも外も苦手なんですから……」
開始早々に弱気を吐くモリゾウ。暑さにやられふらつきながらもイチゴと同じく筋肉男のノリの影に隠れた。
「ディオスダードの出番だよねぇ」
「そ、そうですね……ノリちゃんだけだと2人分の日陰はできませんよね……」
「じゃあ召喚するよぉ」
太陽が苦手な2人は早速手に入れたばかりの召喚兎のディオスダードを召喚しようとしている。
戦闘や危険からの回避で使用するのではなく日除用として使用するつもりだ。
「じゃあいくよぉ」
イチゴは右手をマッチョポーズを取り続けるノリの横にかざした。
そして「ディオスダ」
「おい! ちょっと待てーい!」
太陽のように燦々としたキンタロウの声が召喚の詠唱を中断させた。
「ディオスダードの召喚は早すぎるだろ! それにディオスダードを召喚したら全員体力削られるぞ! そしたら暑さと召喚の代償で俺らのHPがゼロになっちまうだろ!」
「「ハッ!!」」
暑さでどうにかなっていた2人はキンタロウの言葉で自分たちがやろうとしていることにようやく気がついた。
「あ、暑さで思考が……確かにキンちゃんの言う通りですね……」
頭脳派のモリゾウでさえ考える力が低下してしまっている。モリゾウにとって暑さは大敵だったのだ。
「ぐるぐるぅ……」
イチゴは暑さにやられ目を回している。暑さと言うよりも変わり続けるノリのマッチョポーズに目を回したのだった。
「モリゾウ頼むぜ。目の前にはジャングル。真上には照りつける太陽。頭脳派のお前がそんなんじゃこのマスの攻略が厳しくなる」
「ご、ごめんなさい。ちょっと冷静になりますね。それにジャングルの中に入れば木が影を作ってくれるので少しでも涼しくなるかもしれませんから」
キンタロウはモリゾウを頼りにしている。ボドゲ部の中、否、兎島高等学校の中でも1番の成績のモリゾウだ。サバイバルゲームでお馴染みのジャングルを前にモリゾウの知識が重要になってくるのだ。
モリゾウ自身もそのことは理解しているつもりだ。
「誰だッ」
ノリが珍しく声を出した。ノリの声に反応したキンタロウたちはノリの目線の先をたどるが誰もいない。
あるのは大きな岩だけだ。となると考えられるのは1つ。大きな岩に誰かが隠れているということだろう。
敵か味方か。案内兎かピエロか。姿を現さない相手にボドゲ部全員に緊張が走る。
すると奥から両手を挙げてゆっくりと隠れていた人物が姿を現した。しかも2人。
「お、お兄さんたちもプレイヤーですか?」
セーラー服を着た女子高校生らしき少女が恐る恐る口にした。そのまま少女の目線は筋肉男のノリの元へ。
「うわ! めっちゃマッチョいるじゃん! もしかしてスキル? それでもすごい! 写メっていい?」と先ほどの緊張感がどこかに行ってしまった女子高生がノリの筋肉を興味津々で見始めた。
ノリも自慢の筋肉を見せつけようと様々なマッチョポーズをとり続ける。
その姿を見て左手に持っていたスマホをノリに向けてパシャパシャと連写し始める女子高生。
その女子高生の後ろには小さな女の子が隠れキンタロウたちを見ていた。
「ねーね、この人たち大丈夫なの?」
小さな女の子が女子高生に向かって不安そうに聞いている。その瞳は不安の色に染まっていて今にも泣き出しそうだ。
「大丈夫。大丈夫。見た感じアタシらと同じプレイヤーだよ」
マッチョポーズをとり続けるノリを今度は動画で撮影し始めた女子高生は、小さな女の子の不安をかき消すように明るく元気に答えた。
その姿はまるで姉と妹。姉妹だ。
「ということは、あなた達もプレイヤーなんですね」
モリゾウも警戒を解き口を開いた。
「そうだぜぇ。アタシはソラ。んで、こっちは妹のウミ。兄貴もいるんだけど今はミッションの真っ最中でジャングルん中に入ったんだよ」
「ミッション!?」
「そんで危ないからってアタシたちは、ここのスタート地点で待たされてるってこと」
ソラはボドゲ部が敵ではないとわかった途端に安心したのだろうかギャルのような口調に変わった。
「にーにが心配」
妹のウミは不安の矛先をボドゲ部から兄の方へと向いた。
そんな不安がるウミを姉であるソラが優しく撫でた。撫でられた瞬間に少しだけ笑顔が見えたが幼い少女の笑顔にしては引きずった笑顔だった。
照りつける太陽。虫や動物の鳴き声。風や水の音。土や草の匂い。
今回のボドゲ部たちがゲームを行う舞台はジャングルだ。
「うわーなんだここ。暑すぎるんだけど……てかこんなに大きな木見たことないわ」
第5層17マスのスタート地点からジャングルに向かって歩き出したキンタロウがその自然の壮大さに驚いていた。
そして「やべっ。うんこ踏んだ。でっけーうんこ踏んだ!」とキンタロウが騒ぎ始めた。
すかさずサンダルを脱ぎ近くに落ちていた大きな葉っぱを使い踏んでしまった生き物の糞を取り始める。
「日焼けがぁ……」
純白の肌を持つイチゴは照りつける太陽の日差しを気にしながら身長185センチの筋肉男の影に隠れた。ノリはイチゴに日除けとして使われている。
そんなノリは太陽に負けず様々なマッチョポーズをとり続ける。そのたびにイチゴも同じポーズをとって太陽の日差しから必死に逃れようとしていた。
「勘弁してくださいよ……僕は暑いのも外も苦手なんですから……」
開始早々に弱気を吐くモリゾウ。暑さにやられふらつきながらもイチゴと同じく筋肉男のノリの影に隠れた。
「ディオスダードの出番だよねぇ」
「そ、そうですね……ノリちゃんだけだと2人分の日陰はできませんよね……」
「じゃあ召喚するよぉ」
太陽が苦手な2人は早速手に入れたばかりの召喚兎のディオスダードを召喚しようとしている。
戦闘や危険からの回避で使用するのではなく日除用として使用するつもりだ。
「じゃあいくよぉ」
イチゴは右手をマッチョポーズを取り続けるノリの横にかざした。
そして「ディオスダ」
「おい! ちょっと待てーい!」
太陽のように燦々としたキンタロウの声が召喚の詠唱を中断させた。
「ディオスダードの召喚は早すぎるだろ! それにディオスダードを召喚したら全員体力削られるぞ! そしたら暑さと召喚の代償で俺らのHPがゼロになっちまうだろ!」
「「ハッ!!」」
暑さでどうにかなっていた2人はキンタロウの言葉で自分たちがやろうとしていることにようやく気がついた。
「あ、暑さで思考が……確かにキンちゃんの言う通りですね……」
頭脳派のモリゾウでさえ考える力が低下してしまっている。モリゾウにとって暑さは大敵だったのだ。
「ぐるぐるぅ……」
イチゴは暑さにやられ目を回している。暑さと言うよりも変わり続けるノリのマッチョポーズに目を回したのだった。
「モリゾウ頼むぜ。目の前にはジャングル。真上には照りつける太陽。頭脳派のお前がそんなんじゃこのマスの攻略が厳しくなる」
「ご、ごめんなさい。ちょっと冷静になりますね。それにジャングルの中に入れば木が影を作ってくれるので少しでも涼しくなるかもしれませんから」
キンタロウはモリゾウを頼りにしている。ボドゲ部の中、否、兎島高等学校の中でも1番の成績のモリゾウだ。サバイバルゲームでお馴染みのジャングルを前にモリゾウの知識が重要になってくるのだ。
モリゾウ自身もそのことは理解しているつもりだ。
「誰だッ」
ノリが珍しく声を出した。ノリの声に反応したキンタロウたちはノリの目線の先をたどるが誰もいない。
あるのは大きな岩だけだ。となると考えられるのは1つ。大きな岩に誰かが隠れているということだろう。
敵か味方か。案内兎かピエロか。姿を現さない相手にボドゲ部全員に緊張が走る。
すると奥から両手を挙げてゆっくりと隠れていた人物が姿を現した。しかも2人。
「お、お兄さんたちもプレイヤーですか?」
セーラー服を着た女子高校生らしき少女が恐る恐る口にした。そのまま少女の目線は筋肉男のノリの元へ。
「うわ! めっちゃマッチョいるじゃん! もしかしてスキル? それでもすごい! 写メっていい?」と先ほどの緊張感がどこかに行ってしまった女子高生がノリの筋肉を興味津々で見始めた。
ノリも自慢の筋肉を見せつけようと様々なマッチョポーズをとり続ける。
その姿を見て左手に持っていたスマホをノリに向けてパシャパシャと連写し始める女子高生。
その女子高生の後ろには小さな女の子が隠れキンタロウたちを見ていた。
「ねーね、この人たち大丈夫なの?」
小さな女の子が女子高生に向かって不安そうに聞いている。その瞳は不安の色に染まっていて今にも泣き出しそうだ。
「大丈夫。大丈夫。見た感じアタシらと同じプレイヤーだよ」
マッチョポーズをとり続けるノリを今度は動画で撮影し始めた女子高生は、小さな女の子の不安をかき消すように明るく元気に答えた。
その姿はまるで姉と妹。姉妹だ。
「ということは、あなた達もプレイヤーなんですね」
モリゾウも警戒を解き口を開いた。
「そうだぜぇ。アタシはソラ。んで、こっちは妹のウミ。兄貴もいるんだけど今はミッションの真っ最中でジャングルん中に入ったんだよ」
「ミッション!?」
「そんで危ないからってアタシたちは、ここのスタート地点で待たされてるってこと」
ソラはボドゲ部が敵ではないとわかった途端に安心したのだろうかギャルのような口調に変わった。
「にーにが心配」
妹のウミは不安の矛先をボドゲ部から兄の方へと向いた。
そんな不安がるウミを姉であるソラが優しく撫でた。撫でられた瞬間に少しだけ笑顔が見えたが幼い少女の笑顔にしては引きずった笑顔だった。
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