人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第一章

俺にだって守れるんだ1

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 圭は波瑠と水野を会わせて細かな話を聞いた。
 波瑠も答えられる範囲で頑張って答えてそれを元に押せばいけそうだと水野は答えた。

 出来れば母親にも話を聞きたかったのだけど勝手なことをしていると知られたくないしぬか喜びになるかもしれない。
 波瑠の思いを汲み取って今回は波瑠の母親には秘密裏に話を進めることにした。

 必要であれば連絡を入れるが出来る限り知らせないでおく。
 波瑠の家族思いな態度に水野はよりやる気を出していた。

 波瑠の父親働いていた会社に水野から連絡を入れて会うことになった。
 水野は笑っていた。

 あまり情報は出さずに波瑠の父親の件で会いたいと伝えたのだけど電話口に出たのが水野の若い女性の声なので相手は舐めているようであったと。
 事態を重く受け止めずに相手を軽んじるような奴ほど戦いやすい。

 圭はもうプロが入ってくれるのでいらないと思ったけれど付き添うことになった。

『村雨さんも……一緒に来てもらっちゃダメですか?』

 なんて潤んだ瞳で言われたら断れなかった。
 水野もプロだけど女性だけじゃ不安なのかもしれないと微力ながらと圭も一緒に波瑠の父親が働いていた会社に同行する。

「馬子にも衣装って奴ですかね?」

「ぴっしりとしてればそれなりにマトモには見えますかね?」

「カッコいいですよ、村雨さん」

 だらしない格好ではいられないので圭はスーツを新調して真面目な格好で波瑠と水野と共に波瑠の父親の会社に向かっていた。
 圭もスーツを来てしっかりした格好をすればちゃんとした人に見える。

 弁護士は無理でもその手伝いぐらいには見えれば御の字である。
 波瑠の父親の会社に着くと小さい会議室に通される。

 席について5分ほど待たされてようやく相手が会議室に入ってきた。
 どうやら完全にこちらのことを舐めているらしかった。

「遅れまして申し訳ございません。えーと、それで今日は何の御用で?」

 電話でも訪問の内容は伝えているはずなのにこの態度である。

「弥生波瑠さんの父親である弥生秀治さんについてです」

「ああ……そうでしたね」

「どうやら秀治さんがゲート内で亡くなったことに対する補償金を支払っていないようですがこのことは事実でよろしかったでしょうか?」

「ええ、そうです。ですがそれは弥生さんによる重大な過失が……」

「ではゲート内事故報告書を読ませていただいてもよろしいですか?」

「え、ええと……」

「事故報告書はご家族の要望があれば公開せねばならないことになっています。ですので速やかに出していただきたいです」

「ちょ、ちょっと待ってください! あなた一体何なのですか!」

「申し遅れました。私、水野優佳と申します」

 別にご挨拶を忘れていたわけじゃない。
 相手が入ってきてすぐに話し出したから水野もそれに応じて始めただけだ。

 水野は名刺を渡した。

「べ、弁護士……RSIの法務部……」

「今回弥生波瑠さんの代理人としてこちらにうかがいました。

 私の言葉は依頼人である弥生波瑠さんのご意志であると思ってください」

「な……」

「事故報告書をお願いできますか? 無いはずはありません。保険会社にも提出なさっているはずですし報告書の作成は法律で義務化されています。法律を破れば……」

「す、すぐにお持ちします!」

 顔をひきつらせて男が会議室を出ていく。
 結局水野が名刺を渡して自己紹介しても相手は名乗らず役職すら分からなかった。

「やっぱりロクでもなさそうですね」

 水野がため息をつく。
 なんの知識も相手にはなさそうだけど今のところボロが出るほどの言い訳もしないのでむしろやりにくい。

「失礼いたしました。私、副社長を勤めます山﨑と申します」

 先ほどの男とは別の男性が入ってきた。
 30代半ばぐらいの細身の男性で副社長らしい。

 相手もようやく事態を理解したみたいで上の役職の人間が出てきた。
 水野や圭と名刺の交換をして山﨑はファイルを差し出した。

 事故報告書というものでゲートの中で何が起きたのかを取りまとめた報告書である。
 水野がファイルを開いて中身を確認する。

 急いで印刷したのかページの順番が間違ったりしている。
 あらかじめ用意していたものでは絶対にない。

「……これで全てですか?」

「はい。何かありましたか?」

「失礼ですがこれでは補償金の支払いを拒否することなんて出来ません」

 パタンとファイルを閉じて水野は睨みつけるように山﨑に視線を向けた。
 事故報告書を見て1番に思ったのは内容が薄いということだった。

 これでは報告書ではなくただ会社にとって都合のいい内容を並べた作文でしかない。
 とてもじゃないけれどこの内容では報告書の体をなしておらず仮に記載の内容が本当だとしても補償金の支払いは拒否出来るものではない。

「しかし重大な過失が……」

「はぁ……その重大な過失というのが何なのかわかっていますか?」

「えっ? 今回は……弥生さんが単独行動をして……」

「覚醒者特別法で言う重大な過失は明らかに他の人にも損害が出たような場合のことです。調べましたがこちらの会社で他に重大な過失に当たりそうなほどのケガをした覚醒者はいませんね」

 山﨑の表情がこわばる。
 この会社にアポイントを取ってから水野はちゃんと相手のことも調べていた。
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