人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
39 / 515
第一章

風の始まり5

しおりを挟む
 格上のゲートに覚醒者が挑むことは少ない。
 同格とされるゲート、もしくは格上のゲートに挑んでも自分よりも上の覚醒者に同行して入るのが普通である。

 等級の高い覚醒者と格上のゲートに入った時でも強い覚醒者の補助に回るのが一般的でモンスターを積極的に倒して回るものでもない。
 波瑠の事案を見ると何も倒した1人にだけ経験値的なものが入るわけじゃなさそうだけどゲーム的に考えると強くなるほど多くの経験値が必要なのでレベルアップも楽じゃない。

 圭自身は結構サクサクレベルが上がっているので低レベルだと上がりやすいのはあるのだろう。
 だが問題はどうやってモンスターを倒すかである。

 強さ的な問題もあればモンスターと戦う場面をいかに作るかも問題となる。
 そもそも人数的なことを考えると低級覚醒者は多くて低級のゲートもそんな人たちが殺到する。

 圭たちが挑めそうな限定された低級ゲートは探すのも楽じゃない。
 圭と波瑠だけでは定められたゲートの攻略要件を満たさないし他に仲間を引き入れることなどどの問題も簡単には解決しない。

 だけど波瑠には可能性がある。
 誰にも理解してもらえない才能で、今潰れてしまうには惜しい才能。

「……夜滝さんにもご相談したらどうでしょうか?」

「夜滝ねぇに?」

 なんだかんだ夜滝と波瑠も仲良くなっていた。
 夜滝は波瑠を敵対視していたのだけど波瑠はニコニコと夜滝に話しかけたりする。

 人付き合いが苦手であるが人が嫌いなわけではない夜滝は割とコミュニケーション上手だった波瑠といつの間にか普通に話すようになっていた。
 圭の面倒も見てくれていたし元より面倒見も悪い人じゃないのだ。

 ただ波瑠もめげない子であった。
 ついでに2人には圭という共通点があるのでそうしたところも2人が仲良くなる要因だった。

 たった数日なのによくやったものだ。

「そうだね……」

 確かに考えてみれば夜滝に隠すこともない。
 世界が広いといってもおそらくその中でも夜滝は1番信頼できる人である。

 不確定なことでどう説明したらいいのかも分からなくて伸ばし伸ばしになっていたけれど多少考えもまとまってきた。
 むしろ説明したら夜滝の方が頭がいいので上手く考えてくれるかもしれない。

 冷めてちょっとしんなりしたポテトを食べる。

「話してみようか」

 どうせここで悩んでも答えは出ない。
 圭は夜滝にも相談してみようと決めた。

 少し波瑠のことを聞いた。
 公立の一般的な学校に通っていて陸上をやっていたらしい。

 家が貧しくなってしまってからは部活は辞めたけど時々1人で走ったりもしていた。

「圭さんは何かやっていたんですか?」

「俺か? いや、特に何かってことはなかったかな。でも運動神経はよかったから中学の時はいろんな部活に助っ人で出たりはしてたよ」

「へぇ~」

「家の事情がなかったり、覚醒者にならなかったら何かのスポーツの道にでも進んでいたかもしれないな」

「夜滝さんみたいな学者さんタイプじゃなさそうですもんね」

「頭良くなさそうって言ってる?」

「私たちのこと助けようとするぐらいにはおバカさんじゃないですかー?」

「それは……褒めてんのかバカにしてんのか、どっちなんだ?」

 冗談めかした不思議な言い方に圭は困り顔になる。
 本気でバカだと言っているのでは無さそうだけどかと言って褒め言葉として受け取るのもなんだかって言い方だ。

「どうでしょ?」

 波瑠はベーっと舌を出してウインクしてみせる。

「何をしてるんだい?」

 こうしてたわいもなく会話をしていたら夜滝も病室にやってきた。
 夜滝だって忙しいのにこうして仕事終わりに顔を見せてくれる。

 ヘルカトにやられかけた時には誰も来やしなかったのにこうして2人の女性に見舞ってもらえるなんて人生分からないものである。

「夜滝ねぇ、おつかれ」

「圭も明日退院だろ?

 ようやく家に帰ったら圭の温かい料理が食べられるようになるねえ」

「えっ、お2人って……同棲して、るんですか?」

 波瑠が動揺する。
 確かに夜滝の言葉を聞いたらそうとも取れる。

「そうさ! 私と圭は愛の巣で2人」

「違う違う違う」

 それを見てニヤリと笑った夜滝がさらに畳み掛ける。

「同じ会社に勤めてるから同じ会社の寮に居るんだよ」

 実際家にいる時の半分ぐらいは料理をするために夜滝のところにいたりもするのでかなり解釈を広げれば半同棲ぐらいにはなるかもしれない。

「……へぇ、夜滝さん料理できないんだ~」

「な、なんだいその目!」

 変な誤解を生まないようにちゃんと説明してやると納得はしてくれたようである。
 今度は波瑠が反撃に出る。

 ニターっと笑って夜滝の痛いところを突く。

「わ、私だって料理ぐらい!」

「圭さん、私料理得意なんですよ?」

 忙しい母親に代わって弟の面倒を見ることも多い波瑠は家庭力が高め。
 対して夜滝は家庭力で波瑠に完敗だ。

「なんで圭にアピールする!」

「それは第三者に勝敗を決めてもらわなきゃいけませんからねー」

「……夜滝ねぇ、そこはもうやめた方がいいよ」

「圭まで!」

 多分突き詰めるほどに夜滝の負けが濃厚になるだけである。
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...