人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第一章

飛び始めた小鳥を狙う闇1

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「それじゃあ俺は波瑠のこと家まで送ってくよ」

 ネズミ系が人気がないので他の覚醒者も少なく、そのためにネズミも意外と分かりやすくそこらへんにいたので狩猟のやめ時を見誤って想定していた時間をちょっと越えてしまった。
 少し暗くなり始めてから帰って、装備の点検をしてRSIに返却したりしていたらすっかり外は暗くなっていたのだ。

 低級とはいえ覚醒者なので一般の暴漢に襲われても波瑠の方が強いだろうけど能力的なこととちゃんとそれを冷静に対処できるかはまた別物である。
 女の子を1人で帰すのも忍びないので圭が送っていくことになった。
 
 夜滝と小橋はRSIの寮住まいなので送る必要はない。
 ボディーガードするなら明らかに小橋の方が適役だけどそこまでお願いはできない。

「私も強くなった?」

「ああ、強くなったよ」

「遅くなっちゃったので細かい確認はまた後で! っていうのもなんだかもどかしいね」

 色々と時間を取られてしまったので波瑠の能力に関する細かな確認は次に会う時にした。

「でも別に今軽く教えるぐらいなら大丈夫だよ」

「本当? じゃあ教えてほしいなぁ」

「オッケーオッケー」

『弥生波瑠
 レベル9
 総合ランクG
 筋力F(英雄)
 体力G(一般)
 速度E(E +)(神話)
 魔力F(英雄)
 幸運G(英雄)
 スキル:風の導き(未覚醒)
 才能:有翼のサンダル』

 圭は真実の目を使って波瑠のステータスを見てみる。
 本人の公認があると盗み見ではないので気まずさがなくていい。

「悪いことじゃないってのは分かってるけど圭さんに私の見られてると思うと少し恥ずかしいね」

 ステータスを見ているだけなのだけどちょっとだけ秘密を見られてしまっているような照れ臭さが波瑠にはあった。
 圭だからいいんだけど圭だけ一方的にステータスという波瑠の中身を見られるのはずるいなって思う。

 拗ねたような、また恥ずかしいような表情を浮かべる波瑠。
 圭は確かにステータスを勝手に覗き見されるのは気分が良くないかもなと少しズレたことを考えていた。

「てか……うそぉ」

 波瑠のステータスを見て圭は驚いた。

「なになに? んー、視線的にはここら辺で見えてる感じ?」

 圭が見ているところらへんで手を振る。
 いつの間にか波瑠にレベルで追いつかれている。

「あれ、波瑠……装備は全部外してるよな?」

「そりゃもちろん。ちゃんと会社にも返して確認してもらったんでしょ?」

「そうだよな……じゃあこれなんだ?」

「なーに? 何があったの?」

 圭の前に回って波瑠がジッと見上げる。
 圭の視点ではステータス表示の真ん中に波瑠の顔が浮かんでいるように見えた。

「ふふ、それじゃあ見えないよ」

 ちょっとおもしろい。
 圭が気になったのは速度の欄である。

 装備もつけていないのに速度に装備をつけたかのようなプラス表記がなされている。
 速度そのものの伸びの良さにも驚いた。

 レベルの伸びも圭より良いし、才能とやらも覚醒している。

「ああ……もしかしたら才能のおかげ?」

 この有翼のサンダルという才能が何なのかはよく分からない。
 夜滝も才能が何なのかは未だに予想もつかないと言っているが有翼のサンダルが何なのかは分かっていた。

 ギリシア神話のヘルメスという神様が身につけていたものらしく伝令役などを担っていた。
 そのことから素早さを象徴としている印象が近年ではあって波瑠の神話級速度と合わせて有翼のサンダルも速さに関わるものではないかと予想をしていた。

 もしかしたらE +になっているのもこの才能のおかげで補正を受けられているのかもしれない。

「圭さん!」

「は、はるぅ?」

「何1人で考え込んでるんですかー!」

 つい波瑠のステータスに夢中になってしまった。
 波瑠は圭の頬に指を突き刺した。

 むくれた顔をしてジト目で圭の頬を強めにツンツンとつつく。

「悪い悪い……波瑠だけど、ちゃんと成長してるよ」

「ほんとーですかー?」

「そう拗ねるなって。成長してたから驚いてボーッとしちゃったんだよ」

「それなら許してあげますけど」

 波瑠にどんな感じにステータスがなっているのか教える。
 このままいけば波瑠は捉えられるもののいないスピードスターになるかもしれない。

 一方で他にも気になることがある。
 波瑠の幸運である。

 圭の幸運は伸びてFになっている。
 けれど波瑠の幸運は伸びていない。

 内部の数値的なもので言えば伸びているのかもしれないが他の英雄級のステータスは1つ上の等級になっているのに幸運だけ伸びが鈍い。
 才能値が英雄といっても実は差があるのか、それとも幸運というステータスが伸びにくいのか。

 こうして気づいたり疑問に思ったことは後々夜滝も含めて議論することになる。
 
「でも何か、体は軽いような気はあるの!」

 速度ステータスが上がっていることを伝えると波瑠は大きくうなずいた。
 思い当たることというか言われてみれば体が軽く、素早く走っていけそうな感覚があった。

 それがステータスが伸びたのだと言われたら妙にストンと納得できた。

「そっかぁ……これが強くなるってことなんだ」

 嬉しい。
 自分の体に起こっている変化が。

「……多分、これも全部圭さんに会えたから」

 圭に会えなかったら今でも波瑠はお金の心配に潰されそうになっていたはずだ。
 圭に会えたからお金の心配がなくなり、圭に会えたから覚醒して、圭に会えたから強くなれる。

 波瑠は少し顔を赤くして圭にはにかんだ。

「たまたま波瑠の運が良かったのさ……」

 圭は困ったように頬をかく。
 自分自身がしたことなんて少ないと思っているからだ。
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