人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
77 / 515
第二章

小嶋金融1

しおりを挟む
如月六花きさらぎむつかです。よろしくお願いします」

「村雨圭です。わざわざご足労ありがとうございます」

「八重樫カレンです。よろしくお願いします」

 圭としては別にあげるつもりぐらいの感覚でよかったのだけどカレンはそれはダメ、筋は通すべきと借用書も作ることになった。
 ついでに借金相手はどうにもヤバそうな奴らなので圭とカレンだけよりも専門家の力を借りるのがいいと判断した。

 水野に連絡を取ったのだけど水野も暇人じゃない。
 さらには前回のことも上にバレたようで今回は手伝えないと言われてしまった。

 そこで水野に別の弁護士を紹介してもらうことになった。
 覚醒者弁護士という言葉には2つの意味がある。

 1つは覚醒者のための弁護士という意味。
 未だに曖昧なところはありながらも近年急速に整備されている覚醒者たちのための法律などを学んで覚醒者のために活動もしている弁護士である。

 水野もいわゆるその類である。
 もう1つは覚醒者の弁護士という意味。

 弁護士にも覚醒者はいる。
 覚醒してから弁護士になった人もいれば弁護士としてやっている中で覚醒した人もいる。

 覚醒した弁護士で覚醒者のためにやっている人もいるが覚醒した弁護士は仮に相手が覚醒者でも引けを取らずに交渉に臨めることが大きい。
 何も荒事ばかりではないけれど覚醒者と一般人では力が違いすぎて、少し感情的になるだけで身体の危険がある。

 覚醒者を相手する時にこちらも覚醒者なら安心がある。
 そんな時に覚醒者である弁護士が重宝されるのだ。

 今回は相手が厄介そうなこともあり、水野は昔お世話になったという覚醒者の弁護士を紹介してくれた。
 流石にまた相手に襲われるなんてないだろうと笑っていたらそれフラグですよとは言われたけどそうそう何度も命狙われてたまるかと思う。

 ともかく圭と工房でのお金の貸し借りと工房の借金返済のために水野から紹介された弁護士と連絡を取った。
 それが如月六花という女性だった。

 自身もE級覚醒者であり、弁護士として活躍するかたわらで覚醒者としても時々活動しているらしい。
 まずはカレンと圭でお金の貸し借りの書類を交わす。

 事前に作ってきてもらっているのでほとんどサインするだけのようなものである。

「確認はしてみましたが書類は真っ当ですね。……やり方はいささか度を過ぎているようにも思えますがこうした連中が何をしてくるか分からない以上お金を払ってしまえるならその方が早いかもしれません」

 カレンたちに払う義務などないと争うことは可能そうであった。
 けれどもそれは出来るというだけで勝利の確証はなく、相手の出方によっては非常に辛い日々を送る可能性も大きかった。

 もし借金を返してそのまま縁が切れるならその方が安全で早い。
 抗戦するだけが手段ではないのだ。

「お兄さん、本当にいいですか?」

「もう借用書も交わしたのに今更どうしようもできないだろ」

 借用書まで交わしてお金を貸したのだけれど内容はほとんどあげるのとほとんど変わりがない。
 借金取りが持ってきた借用書と比べると雲泥の差である。

「まあ返せる時でもいいし、なんなら踏み倒されたって構わないさ」

 どうせこのお金も運良く拾った石で稼いだもの。
 失って惜しい気持ちがないかと聞かれると惜しい気持ちもあるが固執まではしない。

 弁護士として深く追及しないが如月は圭とカレンの関係がどのようなものなのか疑問を抱いていた。
 恋人にしては少し距離がある。

 けれどただの知り合いに貸すような金額でもないし親戚のようにも思えない。
 ただ圭よりも身長が高く、やや強気な性格に見える顔立ちのカレンが控えめに圭のことをお兄さんと呼ぶのはイイネと思った。

「ではそのまま借金をお返しにいかれるということでいいのですか?」

「そうしましょう」

 日をおけば相手が何をしてくるか分からない。
 圭とカレンの借金のやり取りなどおまけで本来は借金返済がメインの目的であった。

 圭たちはタクシーを呼んで借金取りのところに移動した。
 小嶋金融というのが今回カレンの父親が借金をしていたところであった。

 ネットで調べたところでは小嶋金融の評判はよろしくない。
 けれど他よりも緩い基準で借りられるのでお金を借りにくる人が絶えないのである。

 如月が圭やカレンに代わって前に立ち、話を進めてくれる。
 お金を返しにきたと告げると奥の部屋に通された。

「どうもどうも。借金をお返しになりに来られたということで」

 スーツを着崩したおじさんが対応に出てきた。
 頬に傷跡があって目つきも鋭く強い威圧感を感じる男性であった。

 道端で見かけたなら必ず避けて通るような見た目をしている。

「渡部と申します」

 一応名刺はもらうけれど家に帰ったらすぐに捨てようと圭は思った。

「借金ですが……実はお伝えした額は利子がついていないものでして、全額返済となりますと利子も含めてとなりますが」

 ドカリとソファーに座った渡部は低い声で話し出した。
 借金なんか返してもらえれば嬉しいはずなのにあたかも返してほしくないような雰囲気すら感じる口調である。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...