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第三章
麻痺ん棒2
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ゲートの中は鬱蒼とした森。
湿度や気温が高く感じられ、ゲートの中特有の空気感が肌に感じられる。
「平塚さん、村雨さんがいるから行動は慎重に。村上、探知を頼む」
「はい」
魔法使いの覚醒者が杖を上げて魔法を使う。
魔力を広げて周辺にいるモンスターを探しているのである。
「10時の方向、3体。6時の方向、2体」
数秒の沈黙があってモンスターの存在を探知した。
「10時の方向の方が近くにいます」
「ならばそちらに向かおう。みんな、移動開始だ。探知の範囲を狭めてこちらに向かってくるモンスターがいないか警戒は続けてくれ」
「分かりました」
圭たちは探知されたモンスターの方に向かう。
ガッチリと圭と夜滝の周りは攻略チームの覚醒者で固められている。
市原がスッと手を上げる。
その意味を察してみんなが立ち止まる。
「いたぞ」
やや声を抑える市原の視線の先にはモンスターがいた。
全身毛むくじゃらの二足歩行のオオカミのようなモンスター。
一般にワーウルフと呼ばれる魔物だ。
身体能力が高く、爪や牙は人の体など容易く切り裂いてしまう。
圭や夜滝ではとてもじゃないが敵わないモンスターである。
そんなワーウルフが3体いた。
まだ十分な距離があるためにワーウルフの方は圭たちに気がついていない。
圭は荷物を下ろしてその中から記録用のカメラを取り出して構える。
「戦闘が始まったらお2人も離れすぎないように少し前に。今宮と鶴下が残ってお2人の護衛に当たります」
「分かった。頼むよ?」
「ええ、お任せください」
市原が手に持った麻痺ん棒に魔力を込める。
すると麻痺ん棒の先端から濁った黄色い色をした粘度の高いドロリとした液体が出てきた。
この液体が神経毒である。
「それではいきますよ。今日もケガなく、みんなで帰るからな。総員戦闘開始!」
市原を先頭にして攻略チームの覚醒者たちが走り出す。
「私たちももう少し前に」
離れすぎて孤立しているとそこを狙ってくる可能性もある。
あまり離れすぎないように圭たちも遅れて前に出る。
魔法使いの1人が火の魔法を使う。
本来ならまだ気づかれておらず油断している相手なので魔法で一撃加えるのだが今回は槍の性能実験が目的である。
ワーウルフには魔法を当てず派手に爆発させることでワーウルフの気を別の方に向けさせて気づくまでの時間を稼いだ。
「早い……」
さすがは高等級覚醒者だと圭は舌を巻く。
ワーウルフが市原の存在に気がついたのはすぐそばまで近づかれてからであった。
脇腹に鋭い痛みを感じてピクンとワーウルフの体がわずかに跳ねる。
市原が麻痺ん棒でワーウルフの脇腹を刺したのだ。
ワーウルフが反撃に爪を振り下ろした時にはもう市原はそこにいなかった。
別のワーウルフの方に接近していて足を麻痺ん棒で突き刺す。
流れるような動き。
話している感じでは穏やかな男性に見えていたけれどこうして戦いが始まると鋭い刃のような雰囲気をまとっている。
「こっちだ!」
残る一体が後ろから市原に向かおうとしているところにタンクが魔力をワーウルフに差し向けて注意を引く。
見事にワーウルフはタンクにつられてタンクの方に向かう。
市原だけではない。
攻略チームの動きは連携が取れていてまとまっている。
さらには個々人の能力も高くてしっかりとした訓練を積んでいることが見ていて分かる。
タンクはワーウルフの爪を上手く盾で受け流して防いでいる。
その隙に市原が逆に後ろからワーウルフの背中を突き刺した。
これでそれぞれ一度麻痺ん棒で突いたことになる。
夜滝はストップウォッチを手に刺してからの時間を測っている。
「これは……」
タンクと市原が中心となってワーウルフを引きつけて毒が効くまでの間時間を稼ぐ。
そうしていると段々とワーウルフの動きが悪くなってきた。
目に見えて動きが悪くなって市原も驚いている。
腕の振りに力がなくなり、やがて膝から力が抜けてガクンと地面に倒れた。
目だけは強く市原を睨みつけているが体は動かないようで今なら頭を撫でたって平気そうだと思った。
「ふむ……個体差はあるが数分と言ったところか」
夜滝は毒が効き始めるまでにかかった時間をメモする。
毒棒君の致死性の毒に比べれば遥かに効くまでの時間が短い。
毒の効果も高くてワーウルフたちは完全に動けなくなっている。
後の検証のためにワーウルフの血を採取したりもする。
「これは有用かもしれないですね」
ワーウルフがいつ動き出すとも分からないので警戒はしながらも市原は感心していた。
数分でモンスターが無力化されてしまった。
槍を刺すだけでいいのなら速度に重きを置いていて攻撃力の足りない覚醒者でも役に立つ働きが出来る。
数分だけなら等級的にモンスターに劣る覚醒者でも防御に集中していれば耐えられる。
決定的なアタッカーを持たない覚醒者たちにとっても希望となりうる。
動けない相手ならどうとでもしようがある。
「ワーウルフはこのまま倒しますか?」
「いや、出来るなら様子を見たいねぇ」
毒が効くのを確認して終わりとはいかない。
湿度や気温が高く感じられ、ゲートの中特有の空気感が肌に感じられる。
「平塚さん、村雨さんがいるから行動は慎重に。村上、探知を頼む」
「はい」
魔法使いの覚醒者が杖を上げて魔法を使う。
魔力を広げて周辺にいるモンスターを探しているのである。
「10時の方向、3体。6時の方向、2体」
数秒の沈黙があってモンスターの存在を探知した。
「10時の方向の方が近くにいます」
「ならばそちらに向かおう。みんな、移動開始だ。探知の範囲を狭めてこちらに向かってくるモンスターがいないか警戒は続けてくれ」
「分かりました」
圭たちは探知されたモンスターの方に向かう。
ガッチリと圭と夜滝の周りは攻略チームの覚醒者で固められている。
市原がスッと手を上げる。
その意味を察してみんなが立ち止まる。
「いたぞ」
やや声を抑える市原の視線の先にはモンスターがいた。
全身毛むくじゃらの二足歩行のオオカミのようなモンスター。
一般にワーウルフと呼ばれる魔物だ。
身体能力が高く、爪や牙は人の体など容易く切り裂いてしまう。
圭や夜滝ではとてもじゃないが敵わないモンスターである。
そんなワーウルフが3体いた。
まだ十分な距離があるためにワーウルフの方は圭たちに気がついていない。
圭は荷物を下ろしてその中から記録用のカメラを取り出して構える。
「戦闘が始まったらお2人も離れすぎないように少し前に。今宮と鶴下が残ってお2人の護衛に当たります」
「分かった。頼むよ?」
「ええ、お任せください」
市原が手に持った麻痺ん棒に魔力を込める。
すると麻痺ん棒の先端から濁った黄色い色をした粘度の高いドロリとした液体が出てきた。
この液体が神経毒である。
「それではいきますよ。今日もケガなく、みんなで帰るからな。総員戦闘開始!」
市原を先頭にして攻略チームの覚醒者たちが走り出す。
「私たちももう少し前に」
離れすぎて孤立しているとそこを狙ってくる可能性もある。
あまり離れすぎないように圭たちも遅れて前に出る。
魔法使いの1人が火の魔法を使う。
本来ならまだ気づかれておらず油断している相手なので魔法で一撃加えるのだが今回は槍の性能実験が目的である。
ワーウルフには魔法を当てず派手に爆発させることでワーウルフの気を別の方に向けさせて気づくまでの時間を稼いだ。
「早い……」
さすがは高等級覚醒者だと圭は舌を巻く。
ワーウルフが市原の存在に気がついたのはすぐそばまで近づかれてからであった。
脇腹に鋭い痛みを感じてピクンとワーウルフの体がわずかに跳ねる。
市原が麻痺ん棒でワーウルフの脇腹を刺したのだ。
ワーウルフが反撃に爪を振り下ろした時にはもう市原はそこにいなかった。
別のワーウルフの方に接近していて足を麻痺ん棒で突き刺す。
流れるような動き。
話している感じでは穏やかな男性に見えていたけれどこうして戦いが始まると鋭い刃のような雰囲気をまとっている。
「こっちだ!」
残る一体が後ろから市原に向かおうとしているところにタンクが魔力をワーウルフに差し向けて注意を引く。
見事にワーウルフはタンクにつられてタンクの方に向かう。
市原だけではない。
攻略チームの動きは連携が取れていてまとまっている。
さらには個々人の能力も高くてしっかりとした訓練を積んでいることが見ていて分かる。
タンクはワーウルフの爪を上手く盾で受け流して防いでいる。
その隙に市原が逆に後ろからワーウルフの背中を突き刺した。
これでそれぞれ一度麻痺ん棒で突いたことになる。
夜滝はストップウォッチを手に刺してからの時間を測っている。
「これは……」
タンクと市原が中心となってワーウルフを引きつけて毒が効くまでの間時間を稼ぐ。
そうしていると段々とワーウルフの動きが悪くなってきた。
目に見えて動きが悪くなって市原も驚いている。
腕の振りに力がなくなり、やがて膝から力が抜けてガクンと地面に倒れた。
目だけは強く市原を睨みつけているが体は動かないようで今なら頭を撫でたって平気そうだと思った。
「ふむ……個体差はあるが数分と言ったところか」
夜滝は毒が効き始めるまでにかかった時間をメモする。
毒棒君の致死性の毒に比べれば遥かに効くまでの時間が短い。
毒の効果も高くてワーウルフたちは完全に動けなくなっている。
後の検証のためにワーウルフの血を採取したりもする。
「これは有用かもしれないですね」
ワーウルフがいつ動き出すとも分からないので警戒はしながらも市原は感心していた。
数分でモンスターが無力化されてしまった。
槍を刺すだけでいいのなら速度に重きを置いていて攻撃力の足りない覚醒者でも役に立つ働きが出来る。
数分だけなら等級的にモンスターに劣る覚醒者でも防御に集中していれば耐えられる。
決定的なアタッカーを持たない覚醒者たちにとっても希望となりうる。
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