人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
163 / 515
第四章

秘密多き塔1

しおりを挟む
「ちょっと緊張するね……」

「そんなに緊張することはないさ」

 波瑠にもだいぶ時間の余裕ができた。
 そろそろまたレベルアップにでも努めようと思った。

 ゲートや自由狩猟特別区域もいいのだけどここらで一つ趣きを変えてみた。
 今回向かうことにしたのは塔だった。
 
 塔はゲートと違って覚醒者でなければ入ることすら許されない場所であり、未だにほとんどが謎に包まれている。
 逆に覚醒者であれば誰でも入れるのだけど塔の出入り口は覚醒者協会によって管理されている。
 
 これには理由があった。
 塔は複数の国に同時に現れた不思議な巨大建造物なのであるがさらに不思議なことに中で繋がっている。

 塔はアメリカにもあるのだがアメリカから入っても、日本から入っても同じ空間に入ることが出来る。
 しかし逆に出入り口はその国の分だけ存在していて塔を通じて日本からアメリカに行くことも可能なのである。

 そのために密入国などを防ぐために塔の入り口周辺の警備は非常に厳重なのである。
 もちろんモンスターを警戒するという意味合いもある。

 これまでモンスターが塔から出てきたことはないのだけどないとは言い切れないので金網のフェンスで囲まれている。
 圭も塔で働いていた。

 といっても塔の出入り口の警備や塔を攻略する覚醒者としてではない。
 こうして他の国に繋がっていることを利用した国際郵便が存在していて、塔の中を移動して荷物を輸送する仕事を圭は行っていた。

 結局その仕事は不当に解雇されたままだったけど結果的にはそれでよかったなと今は思える。
 今となっては関わりたくもない。

「リーダビリティギルドですね。身分証をご提示お願いします」

 事前にネットで塔の攻略申請はしてある。
 塔の出入り口でちゃんと身分を確認してもらう。

「むふー!」

 今回は和輝や優斗を除いたいつものメンバーで訪れていた。
 身分証の提示と言われるがここで出さなきゃいけないのは覚醒者証であり、カレンも鼻息荒く自分の覚醒者証を取り出した。

 もっとレベルアップしてからと思っていたのだけどレベルが上がってきてレベルアップも大変になってきた。
 どこまで上げるかの問題もある。

 その上先日のピンクダイヤモンドの件でカレンの存在を誤魔化しているのも厳しくなってきた。
 なのでカレンにも覚醒者等級検査を受けてもらって正式に覚醒者として登録を受けた。

 もちろんリーダビリティギルドにも加入してもらった。
 ようやく堂々と覚醒者だと言えるようになったカレンは自分の覚醒者証を自慢げに取り出した。

 波瑠や夜滝よりも最近になって覚醒者等級検査を受けたので2人はF級として登録されているのに対してカレンはE級として登録されている。
 ちょっとだけそのことが嬉しいのだ。

「村雨圭さん……平塚夜滝さん……」

 登録されているギルドの情報と覚醒者証を照合して確認する。

「はい、確認できました。それではご入場ください」

 問題なく身分証の確認が終わった。

「それじゃあ行こうか」

 塔の出入り口に向かう。
 はるかに大きな出入り口は巨大な扉が開け放たれている。

 塔が現れて開いて以来この扉は閉じたことがない。
 白く光る塔の出入り口に入っていく。

 その感覚はゲートを通り抜ける時とよく似ている。

「わぁ~」

 塔の中に広がっているのもゲートと同じく広い世界。
 空があり、地面があり、草が生えていて木も生い茂っている。

 その光景に波瑠やカレンも驚く。
 塔の中も外と同じく金網のフェンスに囲まれているのだけどその先に見える景色はまるで外と変わりがない。

「おっ?」

「わっ!」

「な、なんだこれ!」

「みんなにも出たか」

 夜滝、波瑠、カレンの前に表示が現れる。
 いきなり現れた表示に3人がそれぞれ驚いている。

 圭が真実の目で見ているステータスに似ているけれどこちらの表示は他の人にも見えている。
 さらには表示されている内容はステータスなんかではない。

「第一階の試練……」

「ゴブリンを10匹倒せ?」

 塔はゲートと似ている。
 けれど違うところも多い。

 その一つが塔から試練が与えられるところにある。

「これが噂に聞いていたやつなんだねぇ」

 塔は一階のみでなく二階、三階と続いているのだが階を上がるためにはこの試練をクリアする必要がある。
 圭にこの表示が出ないのは働いていたことがあるのでとっくの昔に表示されているためだった。

「なんだかゲームとかそんな感じみたいだな」

「これどうやったら消えるの?」

「消えろって思ったら消えるよ」

「消えろ! あっ、消えた」

「別に口に出さなくても思うだけで大丈夫だよ。出したきゃ表示出ろって思えば出てくるし」

 圭が表示出てこいと思うと目の前にパッと現れる。
 みんなと同じくゴブリンを倒せとなっていてその下に1/10と表示されている。

 昔飛び出してきたゴブリンをひいてしまってその時に1数字が増えていたのである。
 
「あれ……?」

 一瞬表示が歪んだように見えた。

「シークレット?」

「どうしたんだい、圭?」

「いやこれ……」

「これ? ……んー、みんなと同じじゃないかい」

「えっ?」

 歪みが直った後表示の1番下にシークレットという項目が現れていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...