212 / 515
第五章
ボランティア活動3
しおりを挟む
「うおー! すげー!」
「ピピ、ジャジャン!」
実際はゴーレムなのだけど子供たちはしゃべって動くフィーネに興味津々である。
フィーネも注目されてチヤホヤされるのが嬉しいのかテンションも高く動いたりしゃべったりしてみせている。
「最近の技術はすごいですね」
最新のロボットであるということをみんな疑っていないようで梅山もむしろ子供たちに雑に扱わないようにと注意をしている。
この際今から変に隠すより堂々としている他はない。
フィーネの監視は波瑠に任せて圭は色々と孤児院のことを手伝った。
重たいもの運んだり、切れかかっている電球替えたりと男手が必要なことを梅山の指示の下で薫と協力してこなしていった。
どうせ人手があるならと布団を洗って干すなんてこともした。
「色々とありがとうございます」
「なかなか有意義な時間でした」
波瑠とカレンが子供たちと遊んだり、夜滝が子供に勉強を教えたりとみんなもそれぞれ孤児院を手伝っていた。
フィーネも子供の中に混じって遊びを教えてもらっていたようだ。
「薫君もお疲れ様」
「ありがとうございます、村雨さん」
「圭でいいよ」
「け、圭さん」
一通りやるべきことが終わって圭と薫は椅子に座って休んでいた。
ゲート前での働きぶりもそうであったが薫は真面目で良い働きをしている。
「将来は覚醒者協会で働きたいのか?」
覚醒者協会の職業体験に来ていたということはそういうことかもしれないと会話のきっかけを投げかけてみる。
覚醒者協会にも非覚醒者は大勢いる。
薫はよく気が回るし働き者であるのでそのまま覚醒者協会を希望すれば就職もできそうだと思った。
「……うーん、そうですね」
「違った? じゃあ、あれかな、内申点のためとかってやつかな?」
やや歯切れの悪い返事。
興味がないこともなさそうだが覚醒者協会だけが明確な理由でもないようだ。
ボランティアや職業体験に参加すれば活動を認めてくれる学校もある。
学校での評価も良くなるし高校生ならこの先の受験、あるいはもっと先の就職にだって活かすことができる。
別に打算的な理由でも圭はなんとも思わない。
評価のためでも休みの日にボランティア活動をするのは中々できるものじゃないので偉いと思う。
真面目に将来を考えている証でもあるので感心しかない。
「……それもあります。実は僕、学校行ってなくて」
「ん、そうなんだ……」
「こうしたボランティアとか、職業体験とか受けると学校行かなくても出席に加算してくれるから」
「ごめんな、変なこと聞いちゃって」
ちょっと重たい話になってしまった。
出した話題が悪かったと圭は反省する。
「いいんです。それに覚醒者協会にも興味はありますよ。僕は覚醒者を支える仕事がしたいんです」
「将来のこと考えてて偉いな」
「ふふ、ありがとうございます。本当は……覚醒者になりたいんですけどね」
「覚醒者に?」
「僕の両親は覚醒者なんです」
「そうなのか」
「日本じゃなくて……アメリカで活動をしているんですけどね」
ポツポツと薫は自分の事情を話し始めた。
聞いた通り薫の両親は覚醒者で、母親の方が日本国籍である。
そのために薫も日本で育っていたのだが引き抜きを受けて両親はアメリカのギルドに行くことになった。
薫は日本で育ってきたので簡単な英語なら話せても日常会話クラスではなかった。
友達もいる。
当時中学生に上がるところだった薫は日本に残るという選択をした。
けれど両親がアメリカに行った薫を待っていたのはひどいイジメだった。
日本を守ってもない覚醒者の子供がどうして日本にいるのだと薫は周りから冷たい態度を取られたのである。
友達も同じようにいじめられることを恐れて離れていった。
「なんで急にいじめられたのか……僕には分かりません」
話を聞く限り薫の容姿に対する嫉妬のようなものがあったのではないかと圭は感じた。
薫の容姿はずば抜けている。
中学生になって男女というところも意識し始める年頃になると薫が目立ってしまった。
そのタイミングで覚醒者の両親もいなくなったので攻撃しやすかったのかもしれない。
中学校はなんとか耐えて高校に入った薫であったが運も悪く中高一貫校で周りにいた人たちもそのまま持ち上がりで高校が一緒になってしまった。
耐えられなくて、高校は行かなくなった。
心配をかけたくなくて両親にも何も言えず、お世話になっている母方の叔父夫婦は辛いなら行かなくてもいいと言ってくれた。
「でもお父さんとお母さんのことは尊敬してるんです。覚醒者として多くの人を助けている。僕もそうなりたいと思ったんです」
だから覚醒者協会の仕事にも興味を持った。
しかし1番は覚醒者として覚醒して両親と共に戦いたいと思っていたのである。
「……ご、ごめんなさい! 急に変な話しちゃって……村雨さんにならってなんか、思っちゃって」
「いや、いいよ。薫君も頑張ってるんだね」
「……ありがとうございます」
圭も静かに聞いてくれるものだから話が止まらなくなった。
一通り話して薫は我に返って恥ずかしそうにうつむいた。
「ピピ、ジャジャン!」
実際はゴーレムなのだけど子供たちはしゃべって動くフィーネに興味津々である。
フィーネも注目されてチヤホヤされるのが嬉しいのかテンションも高く動いたりしゃべったりしてみせている。
「最近の技術はすごいですね」
最新のロボットであるということをみんな疑っていないようで梅山もむしろ子供たちに雑に扱わないようにと注意をしている。
この際今から変に隠すより堂々としている他はない。
フィーネの監視は波瑠に任せて圭は色々と孤児院のことを手伝った。
重たいもの運んだり、切れかかっている電球替えたりと男手が必要なことを梅山の指示の下で薫と協力してこなしていった。
どうせ人手があるならと布団を洗って干すなんてこともした。
「色々とありがとうございます」
「なかなか有意義な時間でした」
波瑠とカレンが子供たちと遊んだり、夜滝が子供に勉強を教えたりとみんなもそれぞれ孤児院を手伝っていた。
フィーネも子供の中に混じって遊びを教えてもらっていたようだ。
「薫君もお疲れ様」
「ありがとうございます、村雨さん」
「圭でいいよ」
「け、圭さん」
一通りやるべきことが終わって圭と薫は椅子に座って休んでいた。
ゲート前での働きぶりもそうであったが薫は真面目で良い働きをしている。
「将来は覚醒者協会で働きたいのか?」
覚醒者協会の職業体験に来ていたということはそういうことかもしれないと会話のきっかけを投げかけてみる。
覚醒者協会にも非覚醒者は大勢いる。
薫はよく気が回るし働き者であるのでそのまま覚醒者協会を希望すれば就職もできそうだと思った。
「……うーん、そうですね」
「違った? じゃあ、あれかな、内申点のためとかってやつかな?」
やや歯切れの悪い返事。
興味がないこともなさそうだが覚醒者協会だけが明確な理由でもないようだ。
ボランティアや職業体験に参加すれば活動を認めてくれる学校もある。
学校での評価も良くなるし高校生ならこの先の受験、あるいはもっと先の就職にだって活かすことができる。
別に打算的な理由でも圭はなんとも思わない。
評価のためでも休みの日にボランティア活動をするのは中々できるものじゃないので偉いと思う。
真面目に将来を考えている証でもあるので感心しかない。
「……それもあります。実は僕、学校行ってなくて」
「ん、そうなんだ……」
「こうしたボランティアとか、職業体験とか受けると学校行かなくても出席に加算してくれるから」
「ごめんな、変なこと聞いちゃって」
ちょっと重たい話になってしまった。
出した話題が悪かったと圭は反省する。
「いいんです。それに覚醒者協会にも興味はありますよ。僕は覚醒者を支える仕事がしたいんです」
「将来のこと考えてて偉いな」
「ふふ、ありがとうございます。本当は……覚醒者になりたいんですけどね」
「覚醒者に?」
「僕の両親は覚醒者なんです」
「そうなのか」
「日本じゃなくて……アメリカで活動をしているんですけどね」
ポツポツと薫は自分の事情を話し始めた。
聞いた通り薫の両親は覚醒者で、母親の方が日本国籍である。
そのために薫も日本で育っていたのだが引き抜きを受けて両親はアメリカのギルドに行くことになった。
薫は日本で育ってきたので簡単な英語なら話せても日常会話クラスではなかった。
友達もいる。
当時中学生に上がるところだった薫は日本に残るという選択をした。
けれど両親がアメリカに行った薫を待っていたのはひどいイジメだった。
日本を守ってもない覚醒者の子供がどうして日本にいるのだと薫は周りから冷たい態度を取られたのである。
友達も同じようにいじめられることを恐れて離れていった。
「なんで急にいじめられたのか……僕には分かりません」
話を聞く限り薫の容姿に対する嫉妬のようなものがあったのではないかと圭は感じた。
薫の容姿はずば抜けている。
中学生になって男女というところも意識し始める年頃になると薫が目立ってしまった。
そのタイミングで覚醒者の両親もいなくなったので攻撃しやすかったのかもしれない。
中学校はなんとか耐えて高校に入った薫であったが運も悪く中高一貫校で周りにいた人たちもそのまま持ち上がりで高校が一緒になってしまった。
耐えられなくて、高校は行かなくなった。
心配をかけたくなくて両親にも何も言えず、お世話になっている母方の叔父夫婦は辛いなら行かなくてもいいと言ってくれた。
「でもお父さんとお母さんのことは尊敬してるんです。覚醒者として多くの人を助けている。僕もそうなりたいと思ったんです」
だから覚醒者協会の仕事にも興味を持った。
しかし1番は覚醒者として覚醒して両親と共に戦いたいと思っていたのである。
「……ご、ごめんなさい! 急に変な話しちゃって……村雨さんにならってなんか、思っちゃって」
「いや、いいよ。薫君も頑張ってるんだね」
「……ありがとうございます」
圭も静かに聞いてくれるものだから話が止まらなくなった。
一通り話して薫は我に返って恥ずかしそうにうつむいた。
62
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!
雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。
その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。
主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる