224 / 515
第五章
薫、怒りの決戦!3
しおりを挟む
「グフっ!」
「カレン、薫君!」
正面から拳が迫ってカレンはなんとか盾を構えた。
しかし踏ん張りが効かずに吹き飛ばされてしまう。
後ろにいた薫がカレンを受け止めようとしたけれど力が足りなくて2人で転がっていく。
「うっ……すまねえ、薫」
「僕は大丈夫です! カレンさんの方こそ……」
あまりに攻撃の衝撃が強くてカレンの鼻から血が垂れていた。
「これぐらい大したことない」
カレンは手の甲で鼻血を拭うと立ちあがろうとした。
カレンの離脱を圭がなんとかフォローしてくれている。
早く戻らなきゃいけないとカレンは思った。
「おっと」
「大丈夫ですか? やっぱり……」
しかし足がふらついて薫が慌てて支える。
上から殴りつけられたので踏ん張っていた足が思いの外ダメージを受けていた。
「平気だ、すぐに治る」
「……待ってください」
「薫……何を」
薫はちょっと怒っていた。
この状況は自分のせいだと思っていた。
モンスターにさらわれたから圭たちが苦労していて、今だって薫を守るために戦ってくれている。
覚醒したばかりの薫では何もできない。
そんな焦りや申し訳なさが胸を締め付け、何もできない自分に怒りが湧いてくる。
覚醒者の能力について、覚醒したからと説明してくれる人はいない。
しかし時に特殊な能力を持っている覚醒者がいる。
では誰も何も教えてくれるわけじゃないのにどうやって自分の能力を使うのか。
本能的にできることが分かるのである。
何か自分にできることはないかと思った瞬間に薫は自分がすべきことを悟った。
薫は膝をつくとカレンの足に手をかざした。
「お前それ……」
薫の手から柔らかな光がカレンの足に広がっていく。
「こりゃすごいな……」
突っ張ったような感じがしていた足がほぐれて痛みがなくなっていく。
魔力を集中させて回復させようと思っていたのにその必要が一切なく足の調子が戻ってしまった。
「うん、いい感じだ。助かったぞ薫」
「まだです」
「まだ?」
立ちあがった薫はまたカレンに手を向けた。
薫の手が一瞬ぽわっと光り、次にカレンの体全体も同じように光った。
「おおおっ?」
その瞬間体から力が溢れてきてカレンは驚いた。
「僕にできることはこれぐらいです」
「これぐらいなんてもんじゃねえさ。凄いじゃねえか!」
今ならいくらでもボスクオルカンティカートの攻撃を受けられそうな気さえしてくる。
「みんなにもやれるか?」
「……多分できます!」
「じゃあ頼むぜ!」
「分かりました!」
「おりゃああああっ!」
カレンが走り出す。
体が軽くて気分までいい。
「カレン!」
横なぎに広く振られたボスクオルカンティカートの腕をかわしきれないと圭は剣でガードしようとしていた。
少しやばいかもしれないと思っていたらカレンが間に入ってきた。
盾でボスクオルカンティカートの攻撃を受けても一歩も引くことがない。
「大地の力ぁ!」
カレンがメイスを振り下ろして地面を叩きつける。
すると地面が一気に盛り上がってボスクオルカンティカートの腹に直撃する。
壁を作り出すことを応用した攻撃である。
「みなさん、受け取ってください!」
後ろの薫が手を伸ばす。
両手が光に包まれて、圭や波瑠の体もポッと光る。
「なんだ……?」
まるでゆっくり休んで絶好調になった時のように体が力強さを感じる。
「薫の力だ!」
腹を押さえながらも立ちあがってくるボスクオルカンティカートを睨みつけながらカレンが答える。
細かくはなんだか分からないけれど薫がやってくれたことだということは分かっている。
『村雨圭
レベル29
総合ランクF(E)
筋力E(D)(英雄)
体力E(D)(伝説)
速度E(D)(英雄)
魔力F(E)(一般)
幸運D(神話)
スキル:真実の目、導く者
才能:類い稀な幸運』
「これは!」
真実の目で見てみたら圭の能力が伸びていた。
括弧書きのところは装備や能力でのバフで伸びているところなので薫の能力によって一段階能力値が伸びているのだとすぐに分かった。
「圭! 来るぞ!」
ボスクオルカンティカートは怒りで雄叫びを上げる。
「こっちに来い!」
カレンはより集中して魔力を放つ。
尖らせて魔力で突き刺すようなイメージ。
ボスクオルカンティカートが不快に思ってカレンから魔力を向けられているのだと意識するように強い挑発を行う。
カレンの魔力に当てられてボスクオルカンティカートの頭に血が昇る。
大きく飛び上がってカレンに向かって両拳を振り下ろす。
「効かねえぜ!」
先ほどまでならかなり厳しかっただろうが今度は真正面からでも受け止められる。
ボスクオルカンティカートの拳を受け止めたカレンがニヤリと笑った。
「食らえ!」
その隙に圭がボスクオルカンティカートの腕を切り付けた。
最初よりも深く剣で切り付けられて、ボスクオルカンティカートが鋭い痛みに後ろに下がった。
攻撃は通りそうな感じになったが腕が太くて硬いので切り落としたりするのは大変そうだ。
やはり倒そうと思ったら弱点を狙いたいところである。
「圭、腰を狙ってみるのはどうだい?」
夜滝はふと圭が読み上げたクオルカンティカートの特徴を思い出していた。
二足歩行の影響で腰が悪い個体がいる。
ボスクオルカンティカートは体がデカい。
そうなるともしかしたら腰への負担も大きいのではないかと思ったのだ。
「カレン、薫君!」
正面から拳が迫ってカレンはなんとか盾を構えた。
しかし踏ん張りが効かずに吹き飛ばされてしまう。
後ろにいた薫がカレンを受け止めようとしたけれど力が足りなくて2人で転がっていく。
「うっ……すまねえ、薫」
「僕は大丈夫です! カレンさんの方こそ……」
あまりに攻撃の衝撃が強くてカレンの鼻から血が垂れていた。
「これぐらい大したことない」
カレンは手の甲で鼻血を拭うと立ちあがろうとした。
カレンの離脱を圭がなんとかフォローしてくれている。
早く戻らなきゃいけないとカレンは思った。
「おっと」
「大丈夫ですか? やっぱり……」
しかし足がふらついて薫が慌てて支える。
上から殴りつけられたので踏ん張っていた足が思いの外ダメージを受けていた。
「平気だ、すぐに治る」
「……待ってください」
「薫……何を」
薫はちょっと怒っていた。
この状況は自分のせいだと思っていた。
モンスターにさらわれたから圭たちが苦労していて、今だって薫を守るために戦ってくれている。
覚醒したばかりの薫では何もできない。
そんな焦りや申し訳なさが胸を締め付け、何もできない自分に怒りが湧いてくる。
覚醒者の能力について、覚醒したからと説明してくれる人はいない。
しかし時に特殊な能力を持っている覚醒者がいる。
では誰も何も教えてくれるわけじゃないのにどうやって自分の能力を使うのか。
本能的にできることが分かるのである。
何か自分にできることはないかと思った瞬間に薫は自分がすべきことを悟った。
薫は膝をつくとカレンの足に手をかざした。
「お前それ……」
薫の手から柔らかな光がカレンの足に広がっていく。
「こりゃすごいな……」
突っ張ったような感じがしていた足がほぐれて痛みがなくなっていく。
魔力を集中させて回復させようと思っていたのにその必要が一切なく足の調子が戻ってしまった。
「うん、いい感じだ。助かったぞ薫」
「まだです」
「まだ?」
立ちあがった薫はまたカレンに手を向けた。
薫の手が一瞬ぽわっと光り、次にカレンの体全体も同じように光った。
「おおおっ?」
その瞬間体から力が溢れてきてカレンは驚いた。
「僕にできることはこれぐらいです」
「これぐらいなんてもんじゃねえさ。凄いじゃねえか!」
今ならいくらでもボスクオルカンティカートの攻撃を受けられそうな気さえしてくる。
「みんなにもやれるか?」
「……多分できます!」
「じゃあ頼むぜ!」
「分かりました!」
「おりゃああああっ!」
カレンが走り出す。
体が軽くて気分までいい。
「カレン!」
横なぎに広く振られたボスクオルカンティカートの腕をかわしきれないと圭は剣でガードしようとしていた。
少しやばいかもしれないと思っていたらカレンが間に入ってきた。
盾でボスクオルカンティカートの攻撃を受けても一歩も引くことがない。
「大地の力ぁ!」
カレンがメイスを振り下ろして地面を叩きつける。
すると地面が一気に盛り上がってボスクオルカンティカートの腹に直撃する。
壁を作り出すことを応用した攻撃である。
「みなさん、受け取ってください!」
後ろの薫が手を伸ばす。
両手が光に包まれて、圭や波瑠の体もポッと光る。
「なんだ……?」
まるでゆっくり休んで絶好調になった時のように体が力強さを感じる。
「薫の力だ!」
腹を押さえながらも立ちあがってくるボスクオルカンティカートを睨みつけながらカレンが答える。
細かくはなんだか分からないけれど薫がやってくれたことだということは分かっている。
『村雨圭
レベル29
総合ランクF(E)
筋力E(D)(英雄)
体力E(D)(伝説)
速度E(D)(英雄)
魔力F(E)(一般)
幸運D(神話)
スキル:真実の目、導く者
才能:類い稀な幸運』
「これは!」
真実の目で見てみたら圭の能力が伸びていた。
括弧書きのところは装備や能力でのバフで伸びているところなので薫の能力によって一段階能力値が伸びているのだとすぐに分かった。
「圭! 来るぞ!」
ボスクオルカンティカートは怒りで雄叫びを上げる。
「こっちに来い!」
カレンはより集中して魔力を放つ。
尖らせて魔力で突き刺すようなイメージ。
ボスクオルカンティカートが不快に思ってカレンから魔力を向けられているのだと意識するように強い挑発を行う。
カレンの魔力に当てられてボスクオルカンティカートの頭に血が昇る。
大きく飛び上がってカレンに向かって両拳を振り下ろす。
「効かねえぜ!」
先ほどまでならかなり厳しかっただろうが今度は真正面からでも受け止められる。
ボスクオルカンティカートの拳を受け止めたカレンがニヤリと笑った。
「食らえ!」
その隙に圭がボスクオルカンティカートの腕を切り付けた。
最初よりも深く剣で切り付けられて、ボスクオルカンティカートが鋭い痛みに後ろに下がった。
攻撃は通りそうな感じになったが腕が太くて硬いので切り落としたりするのは大変そうだ。
やはり倒そうと思ったら弱点を狙いたいところである。
「圭、腰を狙ってみるのはどうだい?」
夜滝はふと圭が読み上げたクオルカンティカートの特徴を思い出していた。
二足歩行の影響で腰が悪い個体がいる。
ボスクオルカンティカートは体がデカい。
そうなるともしかしたら腰への負担も大きいのではないかと思ったのだ。
64
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!
雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。
その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。
主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる