人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
313 / 515
第六章

裏切り者、裏切られる2

しおりを挟む
「入り口的なものないな……」

 ラーナノナイツを倒した圭たちは岩山を調べる。
 けれど中に入れそうな穴なんかも見当たらない。

 岩山からラーナノナイツが降りてきたことを考えるとモンスターと関わりがありそうなのにと首を傾げる。

「こっち側じゃないのかもしれないしね」

「確かにそうだな。ぐるっと回ってみようか」

 たまたま圭たちがいるところにそうした中に入れるところがないだけの可能性もある。
 岩山沿いに歩いていく。
 
 岩山の周りは露出しているところがなくて血痕も見つからないので浦安がここに来ているかは分からない。

「圭さん、あれ」

「あっ、ゲート……それにモンスター」

 圭たちは岩山に体を寄せて隠れる。
 遠くにゲートが見える。

 そしてゲートの周りにラーナノソルジャーやラーナノナイツが集まっていた。
 ラーナノソルジャーたちはゲートの方を向いていて圭たちのことは気がついていない。

「モンスターが外に出てる……」

 本来モンスターはゲートから外には出ない。
 しかし圭たちが見ている前でラーナノソルジャーがゲートから外に出て行っているのである。

「お兄さん、あっちの方に穴あるぜ」

 ラーナノソルジャーたちは数が多い。
 バレて襲い掛かられたら戦うのはキツい。

 一度撤退するべきかと悩んでいるとみんなよりも体を乗り出したカレンが岩山の中に入れそうな穴があることに気がついた。

「血痕もあるねぇ」

 岩山の穴の地面に赤い点も見えた。
 間違いなく浦安が中に入った。

 ただ状況的にはあまり良くない。
 モンスターの数も多く、ラーナノナイツの実力を考えた時にボスはより強いだろう。

 周りにラーナノナイツのような雑魚モンスターもいると考えた時にはボスを倒すのは難しいかもしれない。

「やめろー!」

 一時撤退を検討していると悲鳴にも近い叫び声が岩山の中から聞こえてきた。
 
「なんだ?」

 しゃがれていない声なので浦安の方だ。

「走るぞ!」

 ラーナノソルジャーが見ていない今なら穴までは行ける。
 なんの悲鳴なのかは分からないが只事ではない。

 圭たちは穴まで走って岩山の中に入った。

「明るいな」

 岩山の中の天井には光る石が露出していて移動に困らないぐらいに明るかった。

「なぜこんなことを!」

 中を進んでいくと浦安の声が聞こえてきた。
 岩山の真ん中は大きな空洞になっていた。

 上の方ではいくつも穴が空いているようで光が差し込んで薄暗いものの多少の明るさは確保されている。
 圭たちが入ってきたところから逆側で浦安が地面に四つん這いに小さくなっていた。

 薄暗いので分かりにくいが浦安の周りは赤い。

「血……?」

 浦安の周り一面が血で濡れていた。

「うっ……うぅ……」

 遠い上に薄暗くて表情はうかがえないが浦安は泣いているようだった。

「なんで泣いてるんですかね?」

「……分からない」

 浦安の目の前にはカエルのモンスターがいた。
 ラーナノソルジャーともラーナノナイツとも違うガマガエルのような顔をしている。

 『ラーナノクイーン
 カエルにもよく似た容姿を持つモンスター。
 女王でありラーナモンスターの支配者である。
 知能はそこそこあって強さもそこそこ。
 群れの中で唯一のメスであり、他のすべてのオスに対して支配権を持つ。
 貪欲さがあり、1日に大量のエサを食べる。
 熱さに弱く、水が好き。
 魔石はぬるっとした味がして、なんかケバケバしい味がする。暑い季節なら少しは美味く食べられるかもしれない。多少は美味いが好みではない』

「あれがクイーンみたいだな」

 ラーナノクイーンの後ろには三体のラーナノナイツがいる。
 敵対しているようではないけれどラーナノクイーンは浦安を見てゲッゲッと気味悪く笑っていた。

「……村上って人いないね」

 他にモンスターはいないかと見回していた波瑠が気がついた。
 浦安の姿があるのに一緒にいるはずの村上の姿がないということに。

「………………まさか」

 浦安は何か布のようなものを抱えている。
 血に濡れた地面、泣いている浦安、いない村上、服にも見える布。

「モンスターに……食べられた?」

 誰もが口に出すのをはばかった予想を夜滝が口にした。

「……そんな」

「だがまあ、あり得ない話じゃない」

 やめろという叫び声もラーナノクイーンが村上に手をかけたのを止めようとしたのだとしたら筋も通る。

「けどあいつらモンスターと敵対してないんじゃなかったのか……?」

「浦安は手を出される気配がないから敵対はしてなさそうだけど……」

「村上は別だった?」

「どうなんだろうな……」

 何を聞かれてもここで答えを出せる人はいない。
 村上はなんらかの理由でモンスターに襲われ、浦安はなんらかの理由でモンスターに襲われない。

「どうする?」

 ここに浦安がいることは分かった。
 そしてモンスターにも襲われなさそう。

 それならば一度戻って大海ギルドなりと合流してからゲートを攻略したほうが安全かもしれない。

「何をしてんだ?」

 またしても撤退を考えているとラーナノクイーンが急に空を見上げた。
 ボーッと天を仰いだまま動かなくなった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...