人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
326 / 515
第七章

塔を登ろう4

しおりを挟む
 五階から六階へのエントランスの前で立ち止まって圭は考え込む。
 波瑠に言われて思い起こしてみるが、現れた表示は他の人たちと変わらずボスモンスターを倒せという五階の試練のものだけだった。
 
 状況的にシークレットクエストがあってもクリアできたとは思わないけれど、シークレットクエストがありすらしなかった。

「シークレットクエストって何かしら?」

 そのまま次の階も攻略しに行こうとしていた圭たち。
 大海ギルドや他の覚醒者たちは解散となったのだけど時間もあるし次の階に行ってもいいだろうとなった。

 いつものメンバーに加えてかなみが圭たちについてきていた。
 周りにバレないように魔法使いっぽいローブを羽織ってフードを被っている。

 そんなかなみはシークレットクエストについて知らないらしく首を傾げていた。

「知らないのか?」

「知らないわよ?」

 大きなギルドは知っているみたいに聞いていたのになと圭は思ったが、かなみが知らないと嘘をつく理由もない。

「シークレットクエストってのは……」

 圭はかなみにシークレットクエストについて説明する。

「そんなものがあるのね。きっとうちのギルドは塔の攻略をほとんどしないから聞いてないんだわ」

 ギルドにも色々ある。
 圭たちのリーダビリティギルドのように小さなものからかなみの大海ギルドのような大きなものまで規模だけでも違いがある。

 ギルドの活動内容についてもそのギルドによって違う。
 あまり活動しないで活動地域周辺でゲートが発生したときにだけ治安維持的に動くギルドもあれば積極的に遠くまでゲートを攻略しに行くところもある。

 かなみのギルドは活動地域を広くを持っていて、その中でゲートがあれば状況を見て攻略しにいくギルドになる。
 地域内にゲートがあれば積極的に攻略するが活動地域外での攻略には消極的であるのだ。

 塔の攻略は必要性が低く、大海ギルド全体で攻略するつもりはなかった。
 ゲートに比べると確実性があるので今回のように練習などのために利用することはあっても上を目指すことはしないのだ。

 シークレットクエストのことは秘密の情報になり、あまり広く知られると競争の原因にもなってしまう可能性がある。
 そのために塔の攻略に積極的ではないかなみにはシークレットクエストのことは知らされていなかった。

「でもシークレットなんでしょ? どうしてあるとかないとか分かるのかしら?」

「俺にだけは見えるんだよ」

「えっ?」

「俺にはそういうスキルがあって塔の試練の下にシークレットクエストが表示されるんだ」

「へぇ~圭君すごいのね」

 かなみはシークレットクエストに興味がない。
 実家から分かるように元々超お金持ちだったかなみはお金に対する興味が薄い。

 ギルドを作ったのだってモデル事務所での活動がアイドル的になり、人を見捨てるようなこともし始めたから喧嘩別れになったのだ。
 シークレットクエストで良いものが手に入れられる。

 魅力的な話ではあるけれど危険を冒してまで狙いに行くつもりはかなみにはなかった。

「つまりはこれまでの階にあったシークレットクエストってやつが五階にはなかったってことね?」

「そうなるねぇ」

「そもそもあるのが普通のなのかしら?」

「どういうこと?」

「一階から四階までが特別だったということもあり得るわ」

「なるほど、確かに……ってなんで普通にいんだよ!」

 とうとうカレンがかなみにつっこんだ。
 いるなとは思っていたがたまたま途中まで一緒だと言われればそれまでなのでとりあえずエントランスまでは何も言わなかった。

 だがエントランス前で立ち止まって会話に参加していたらもはや言い逃れもできない。
 ぬるっと一緒に来てぬるっと会話しているが誰かが許可したものでもなかったのである。

「あら別にいいじゃない。私も世界が危ないことを知ったのよ? 手伝うのは当然じゃない?」

「むっ……確かにそうかもしれないけどぉ……」

「じゃあ私のこともお仲間に入れてほしいな?」

「お兄さんを見るな! こっち見て言え!」

 かなみは甘えるような表情を浮かべて圭をじっと見つめる。
 圭も一般的な男性としての感覚は持ち合わせている。

 かなみを美人だと思うし、そんな表情を真正面から受けるとかなりの破壊力があった。

「戦いにおいては邪魔にならないわ。それにあんな話聞かされて落ち着いてなんかいられないわ」

 たとえA級覚醒者でも世界の滅亡は防げない。
 でもかなみにだってできることはある。

 むしろ家で待っていろなんて方が酷だといえる。

「危なくならなきゃ手を出さないからさ」

 圭たちのレベルアップを考えるとかなみばかりに戦わせるわけにはいかない。
 手を合わせてお願いするかなみを夜滝たちは険しい表情で見ている。

 ここはかなみがお願いする都合上夜滝たちの方が立場が上なのだ。

「どうする?」

「どーしよー?」

「まあ合理的に考えれば一緒にいてくれるとありがたいんだけどねぇ」

 夜滝たちはコソコソと話している。

「私嫌われてる?」

「まあ嫌っちゃいないけど……どう扱っていいか分からないんだろうよ」

 かなみは立場が違う。
 見た目の話だけじゃなく覚醒者としてのスタートも強さも違うからみんなもどう接すればいいのか難しいところがある。

「ぼ、僕ですか?」

「そうだ」

 薫が背を押されて前に出てきた。

「えと……あんまり圭さんに近づかないでください。それなら一緒に来てもいいです」

 薫の耳が赤くなっている。

「ふふ、みんなに大切にされてるのね?」

「みんながそれぞれみんなを大事に思ってんだよ」

「それだけじゃなさそうだけどね。まあいいわ。あんまりベタベタするのは私も好みじゃないもの」

「……大丈夫かな?」

 ひとまず塔の五階はクリアして、次の六階にもかなみがついてくることになった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...