58 / 301
第一章
ゴブリンは狙われているようでした
しおりを挟む
クモの情報網は横に広い。
ゴブリンでも倒せそうな小さいクモも中には存在している。
そうしたクモはそこらにいても他の魔物がわざわざ倒しに来ることなんてない。
そのために広くクモはそこら中に存在している。
クモを通じてアラクネは情報収集している。
基本的にそんなことは他の魔物も知らず、実はドゥゼアも知らなかった。
けれどアラクネは知る魔物ぞ知る情報屋でもあるのだった。
コボルトなんかに聞くよりもアラクネに聞く方が遥かに情報がある。
ドゥゼアはアラクネに周辺のことやゴブリンの巣について尋ねた。
「調べてみるわ。
その間、ここにいなさい」
お願いしてみるとあっさりとアラクネはドゥゼアの願いを聞き受けて調べてくれることになった。
周辺にクモたちを放って調べさせながら他のクモからも情報を集める。
アラクネのところにもいたのだけどせっかくだからとドゥゼアは猿リーダーにお願いして追加の蛇肉を持ってきてもらった。
それを乾燥させて少しでも日持ちする蛇肉ジャーキーを作る。
これからまた旅することになるなら食糧の蓄えはしておいて損はない。
アラクネはそんなドゥゼアの様子を楽しそうに見ていたりした。
数日が経ってクモたちが戻ってきてアラクネは情報を聞き取った。
「あなたが何かやったのかしら?」
「なんの話だ?」
「あなたが来た方向にあるゴブリンは全滅よ。
大小いくつかの群れがあったみたいだけどどれも人間にやられたみたいね」
適当なゴブリンの巣でもあればと思ったのにアラクネから聞かされたの衝撃の話であった。
ゴブリンは広く分布していて普段なら冒険者も気にかけないような小規模の群れもある。
なのにそんな群れすら冒険者に殲滅されてしまったというのだ。
「そんなバカな……
いやでも」
「何か心当たりがあるみたいね?」
「俺じゃない……だが」
ドゥゼアは思い出していた。
異常なまでの殺気を燃やして追いかけてきたジジイのことを。
どんな人なのか知りもしないが年齢と強さを考えると人を指導する立場にあることも考えられる。
ドゥゼアに向けられた強い殺気からするとゴブリンに対して強い恨みがあるのかもしれない。
いきなり降って沸いたようにゴブリンの殲滅が始まるわけもなく何かのキッカケがあったはずである。
あのジジイが原因なのではないか。
なぜなのかドゥゼアはそう思った。
いかにクモであっても人の世界の情報まで網羅はできないので何があってもゴブリンが狙われたのか不明である。
「だからそっちの方向にあなたたちが行くのはオススメできないわ」
「他のところはどうだ?」
「他のところはまだ手が及んでいないのも多いわ。
逆の方に行けばいいのよ」
「確かにそうだな」
「小さめの群れならいくつもあるわ。
望むならクモに案内させてもよくてよ」
「じゃあ頼むよ」
「あとは頼まれてたダンジョン探しだけど。
結構離れたところに1つあったわよ」
「本当か?
そこにも案内してくれると助かる」
「いいわよ。
それにしてもゴブリンを根こそぎ倒しちゃうだなんて何があったのかしらね?」
「さあな……俺が知りたいよ」
ひとまずこの地域がゴブリンにとってかなり厳しい場所であることは間違いない。
あのジジイにはもう会いたくないし早めに別の場所に移ってゴブリンたちをどこかの群れに預けて旅を続けたい。
「ありがとう、女王様」
「こちらこそ、色々と楽しかったわ」
ドゥゼアとアラクネに見つめ合って笑う。
アラクネは出来る良い女だった。
ゴブリンに転生するのは嫌だけどこうして知らない魔物の一面を知ることができるのは中々面白かった。
「さて……じゃあ出発の時だな」
ゴブリンでも倒せそうな小さいクモも中には存在している。
そうしたクモはそこらにいても他の魔物がわざわざ倒しに来ることなんてない。
そのために広くクモはそこら中に存在している。
クモを通じてアラクネは情報収集している。
基本的にそんなことは他の魔物も知らず、実はドゥゼアも知らなかった。
けれどアラクネは知る魔物ぞ知る情報屋でもあるのだった。
コボルトなんかに聞くよりもアラクネに聞く方が遥かに情報がある。
ドゥゼアはアラクネに周辺のことやゴブリンの巣について尋ねた。
「調べてみるわ。
その間、ここにいなさい」
お願いしてみるとあっさりとアラクネはドゥゼアの願いを聞き受けて調べてくれることになった。
周辺にクモたちを放って調べさせながら他のクモからも情報を集める。
アラクネのところにもいたのだけどせっかくだからとドゥゼアは猿リーダーにお願いして追加の蛇肉を持ってきてもらった。
それを乾燥させて少しでも日持ちする蛇肉ジャーキーを作る。
これからまた旅することになるなら食糧の蓄えはしておいて損はない。
アラクネはそんなドゥゼアの様子を楽しそうに見ていたりした。
数日が経ってクモたちが戻ってきてアラクネは情報を聞き取った。
「あなたが何かやったのかしら?」
「なんの話だ?」
「あなたが来た方向にあるゴブリンは全滅よ。
大小いくつかの群れがあったみたいだけどどれも人間にやられたみたいね」
適当なゴブリンの巣でもあればと思ったのにアラクネから聞かされたの衝撃の話であった。
ゴブリンは広く分布していて普段なら冒険者も気にかけないような小規模の群れもある。
なのにそんな群れすら冒険者に殲滅されてしまったというのだ。
「そんなバカな……
いやでも」
「何か心当たりがあるみたいね?」
「俺じゃない……だが」
ドゥゼアは思い出していた。
異常なまでの殺気を燃やして追いかけてきたジジイのことを。
どんな人なのか知りもしないが年齢と強さを考えると人を指導する立場にあることも考えられる。
ドゥゼアに向けられた強い殺気からするとゴブリンに対して強い恨みがあるのかもしれない。
いきなり降って沸いたようにゴブリンの殲滅が始まるわけもなく何かのキッカケがあったはずである。
あのジジイが原因なのではないか。
なぜなのかドゥゼアはそう思った。
いかにクモであっても人の世界の情報まで網羅はできないので何があってもゴブリンが狙われたのか不明である。
「だからそっちの方向にあなたたちが行くのはオススメできないわ」
「他のところはどうだ?」
「他のところはまだ手が及んでいないのも多いわ。
逆の方に行けばいいのよ」
「確かにそうだな」
「小さめの群れならいくつもあるわ。
望むならクモに案内させてもよくてよ」
「じゃあ頼むよ」
「あとは頼まれてたダンジョン探しだけど。
結構離れたところに1つあったわよ」
「本当か?
そこにも案内してくれると助かる」
「いいわよ。
それにしてもゴブリンを根こそぎ倒しちゃうだなんて何があったのかしらね?」
「さあな……俺が知りたいよ」
ひとまずこの地域がゴブリンにとってかなり厳しい場所であることは間違いない。
あのジジイにはもう会いたくないし早めに別の場所に移ってゴブリンたちをどこかの群れに預けて旅を続けたい。
「ありがとう、女王様」
「こちらこそ、色々と楽しかったわ」
ドゥゼアとアラクネに見つめ合って笑う。
アラクネは出来る良い女だった。
ゴブリンに転生するのは嫌だけどこうして知らない魔物の一面を知ることができるのは中々面白かった。
「さて……じゃあ出発の時だな」
23
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強の配下たちと共に超大国を創る
瀬戸夏樹
ファンタジー
時は乱世。
ユーベル大公国領主フリードには4人の息子がいた。
長男アルベルトは武勇に優れ、次男イアンは学識豊か、3男ルドルフは才覚持ち。
4男ノアのみ何の取り柄もなく奇矯な行動ばかり起こす「うつけ」として名が通っていた。
3人の優秀な息子達はそれぞれその評判に見合う当たりギフトを授かるが、ノアはギフト判定においてもハズレギフト【鑑定士】を授かってしまう。
「このうつけが!」
そう言ってノアに失望した大公は、ノアを僻地へと追放する。
しかし、人々は知らない。
ノアがうつけではなく王の器であることを。
ノアには自身の戦闘能力は無くとも、鑑定スキルによって他者の才を見出し活かす力があったのである。
ノアは女騎士オフィーリアをはじめ、大公領で埋もれていた才や僻地に眠る才を掘り起こし富国強兵の道を歩む。
有能な武将達を率いる彼は、やがて大陸を席巻する超大国を創り出す。
旧タイトル「僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強武将と共に超大国を創る」
なろう、カクヨムにも掲載中。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる