やがて王になりし転生ゴブリン〜何度転生してもゴブリンだけど次のゴブ生こそ魔王を倒してみせる〜

犬型大

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第一章

ゴブリンは狙われているようでした

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 クモの情報網は横に広い。
 ゴブリンでも倒せそうな小さいクモも中には存在している。

 そうしたクモはそこらにいても他の魔物がわざわざ倒しに来ることなんてない。
 そのために広くクモはそこら中に存在している。

 クモを通じてアラクネは情報収集している。
 基本的にそんなことは他の魔物も知らず、実はドゥゼアも知らなかった。

 けれどアラクネは知る魔物ぞ知る情報屋でもあるのだった。
 コボルトなんかに聞くよりもアラクネに聞く方が遥かに情報がある。

 ドゥゼアはアラクネに周辺のことやゴブリンの巣について尋ねた。

「調べてみるわ。

 その間、ここにいなさい」

 お願いしてみるとあっさりとアラクネはドゥゼアの願いを聞き受けて調べてくれることになった。
 周辺にクモたちを放って調べさせながら他のクモからも情報を集める。

 アラクネのところにもいたのだけどせっかくだからとドゥゼアは猿リーダーにお願いして追加の蛇肉を持ってきてもらった。
 それを乾燥させて少しでも日持ちする蛇肉ジャーキーを作る。

 これからまた旅することになるなら食糧の蓄えはしておいて損はない。
 アラクネはそんなドゥゼアの様子を楽しそうに見ていたりした。

 数日が経ってクモたちが戻ってきてアラクネは情報を聞き取った。

「あなたが何かやったのかしら?」

「なんの話だ?」

「あなたが来た方向にあるゴブリンは全滅よ。

 大小いくつかの群れがあったみたいだけどどれも人間にやられたみたいね」

 適当なゴブリンの巣でもあればと思ったのにアラクネから聞かされたの衝撃の話であった。
 ゴブリンは広く分布していて普段なら冒険者も気にかけないような小規模の群れもある。

 なのにそんな群れすら冒険者に殲滅されてしまったというのだ。

「そんなバカな……

 いやでも」

「何か心当たりがあるみたいね?」

「俺じゃない……だが」

 ドゥゼアは思い出していた。
 異常なまでの殺気を燃やして追いかけてきたジジイのことを。

 どんな人なのか知りもしないが年齢と強さを考えると人を指導する立場にあることも考えられる。
 ドゥゼアに向けられた強い殺気からするとゴブリンに対して強い恨みがあるのかもしれない。

 いきなり降って沸いたようにゴブリンの殲滅が始まるわけもなく何かのキッカケがあったはずである。
 あのジジイが原因なのではないか。

 なぜなのかドゥゼアはそう思った。
 いかにクモであっても人の世界の情報まで網羅はできないので何があってもゴブリンが狙われたのか不明である。

「だからそっちの方向にあなたたちが行くのはオススメできないわ」

「他のところはどうだ?」

「他のところはまだ手が及んでいないのも多いわ。

 逆の方に行けばいいのよ」

「確かにそうだな」

「小さめの群れならいくつもあるわ。

 望むならクモに案内させてもよくてよ」

「じゃあ頼むよ」

「あとは頼まれてたダンジョン探しだけど。

 結構離れたところに1つあったわよ」

「本当か?

 そこにも案内してくれると助かる」

「いいわよ。

 それにしてもゴブリンを根こそぎ倒しちゃうだなんて何があったのかしらね?」

「さあな……俺が知りたいよ」

 ひとまずこの地域がゴブリンにとってかなり厳しい場所であることは間違いない。
 あのジジイにはもう会いたくないし早めに別の場所に移ってゴブリンたちをどこかの群れに預けて旅を続けたい。

「ありがとう、女王様」

「こちらこそ、色々と楽しかったわ」

 ドゥゼアとアラクネに見つめ合って笑う。
 アラクネは出来る良い女だった。

 ゴブリンに転生するのは嫌だけどこうして知らない魔物の一面を知ることができるのは中々面白かった。

「さて……じゃあ出発の時だな」
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