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第二章
ゴブリンは古代遺跡を探索します4
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まだ階段の奥の壁が隠し扉である可能性もあるが仮に罠があると知っていてもこの階段は危険である。
そんなところに扉があると考えるより上りと下りの階段の間にある踊り場のようなスペースのどこかにまた隠し扉があると考えたほうが自然である。
そう思って周りを観察すると隅に凹んでいる場所を見つけた。
ドゥゼアはそれも罠である可能性を考えてレビスの槍を借りてちょっと離れてそこを押す。
槍の石突で凹んだところを押すとカチリと音がした。
そして階段のない壁が開いた。
「うーん、なんだかめんどくさいな」
謎解きにロマンもあるけど一歩間違えると死に至る罠があるのでなかなか落ち着かない。
今度は階段ではなく普通に通路だった。
なぜこんな場所を作ったのか。
ひとまず侵入者を警戒していたことは罠から丸わかりであるが単に追い出したりダメージを与えるのではなく対話の余地すらなく無慈悲に殺してしまうレベルの罠を仕掛けている。
罠を警戒しながら通路を進む。
あまり人が入らないためか劣化が少なく保存状態は綺麗だ。
やはり1つ手前の凶悪階段トラップにやられた人は多そうである。
「…………ここはなんなんだ?」
少し進むと広い部屋に突き当たった。
帰ってこなかった冒険者の末路が見えた。
壁際に近いところに骨や服、荷物などが転がっている。
そして正面には大きな扉、その扉を守るように鎧を着た騎士のような像が2体。
1体はひどく損傷していて見る影もない。
ここで何が起きたのかは知らないけれど冒険者たちはここで死んだ者も多そうだった。
だけど何が起きたのかドゥゼアはもう予想ができていた。
壊れた騎士の像も壊れていない方の騎士の像も赤黒い。
まるで血に濡れてそのまま乾燥してしまったかのようだ。
いや、おそらくあれは血の跡だ。
あんな大掛かりな罠を仕掛けておいて階段一個だけなんてことはないはずだ。
つまりあの像も何かの罠であるとドゥゼアは読んでいる。
深呼吸をして改めて部屋の中を観察してみるけれど特におかしなところもない。
事前に罠を止める方法も見当たらなさそうなのでゆっくりと部屋の中に足を踏み入れる。
一歩足を踏み出したが何もない。
二歩入ってみたけれど変化はない。
騎士の像が何かの罠だとしたらそんなに近づかねば安全なのかもしれない。
「……荷物を漁るぞ」
どうせもう持ち主のいない荷物。
ドゥゼアは少し怖いような気持ちを落ち着かせるために冒険者たちの物であった荷物を漁ることにした。
部屋の手前側なら問題ない。
荷物を漁るのはただ目ぼしいものがあるかどうかを探すためではない。
まずは死体を確認する。
そこから分かることもある。
「斬撃による外傷か」
ドゥゼアが転がした死体は肩から背骨にかけて斜めに切り裂かれていた。
革の鎧ごと切り裂かれているので深くて鋭い斬撃に一刀両断されたのだと見れば分かる。
トゲが飛び出してくる罠にやられたのではない。
斜めに切り下ろされてるところを見るに罠などで真っ直ぐに飛んできたり落ちてきたものにやられたのでもない。
何かしらの切り付けてくる相手にやられたのである。
他も骨と鎧などの装備しか残っていないがどれも斬撃のような痕跡が見て取れる。
少なくとも相手は剣などのような武器で戦ってくる相手であると推測できる。
装備は劣化しているし切り裂かれたりして破壊されているのでもう使えない。
次に荷物を漁る。
乾燥肉などは意外とまだ大丈夫そうなので貰っていこう。
魔道具の1つでもないかなと思いながらカバンを開けたりしたけれどロクなものはない。
ここから分かるのは冒険者としてのランクである。
そんなにお金持ちの冒険者ではない。
それに魔道具を持っていないのなら強い冒険者でもない。
魔道具を持っているイコールで強い冒険者でもないけれど強い冒険者なら魔道具の1つでも持っていることが多い。
もうかなり古くなっているが荷物も安物ばかりじゃないので駆け出し冒険者でもなさそう。
良さげな火打ち石があったのでそれは貰おう。
あとは一応お金も貰っておく。
魔物の身でお金など使うことはないがどこかで使う可能性もある。
命乞いでお金を差し出すこともあるかもしれない。
多分そんな状況で逃してくれる冒険者などいないだろうけど。
「チッ……錆びてやがるな」
最後に装備を軽く確認する。
防具はもうダメなので無視して武器を見る。
剣を抜いてみるけれど錆び付いていて鞘から引き抜くのも一苦労だ。
多少手を汚すことも厭わないのならこうした装備品を回収して売れば多少の金にはなるだろうけどドゥゼアには売り先もない。
装備品には使えそうなものがない。
折れた剣を投げ捨ててドゥゼアはため息をついた。
推測するにここにいるのは中級から初級程度の冒険者だ。
魔道具や隠された財宝でも探しにここに訪れたのではないかと思う。
そしてこいつらをやったのはあの像ではないかとドゥゼアは睨んでいた。
血に濡れた像は腰に剣を差している。
そういった考えて見てみれば像が剣や魔法で傷つけられていることにも気づいた。
通常ならわざわざ像を切りつけることなんてない。
像を攻撃する理由があったから攻撃したのだ。
そんなところに扉があると考えるより上りと下りの階段の間にある踊り場のようなスペースのどこかにまた隠し扉があると考えたほうが自然である。
そう思って周りを観察すると隅に凹んでいる場所を見つけた。
ドゥゼアはそれも罠である可能性を考えてレビスの槍を借りてちょっと離れてそこを押す。
槍の石突で凹んだところを押すとカチリと音がした。
そして階段のない壁が開いた。
「うーん、なんだかめんどくさいな」
謎解きにロマンもあるけど一歩間違えると死に至る罠があるのでなかなか落ち着かない。
今度は階段ではなく普通に通路だった。
なぜこんな場所を作ったのか。
ひとまず侵入者を警戒していたことは罠から丸わかりであるが単に追い出したりダメージを与えるのではなく対話の余地すらなく無慈悲に殺してしまうレベルの罠を仕掛けている。
罠を警戒しながら通路を進む。
あまり人が入らないためか劣化が少なく保存状態は綺麗だ。
やはり1つ手前の凶悪階段トラップにやられた人は多そうである。
「…………ここはなんなんだ?」
少し進むと広い部屋に突き当たった。
帰ってこなかった冒険者の末路が見えた。
壁際に近いところに骨や服、荷物などが転がっている。
そして正面には大きな扉、その扉を守るように鎧を着た騎士のような像が2体。
1体はひどく損傷していて見る影もない。
ここで何が起きたのかは知らないけれど冒険者たちはここで死んだ者も多そうだった。
だけど何が起きたのかドゥゼアはもう予想ができていた。
壊れた騎士の像も壊れていない方の騎士の像も赤黒い。
まるで血に濡れてそのまま乾燥してしまったかのようだ。
いや、おそらくあれは血の跡だ。
あんな大掛かりな罠を仕掛けておいて階段一個だけなんてことはないはずだ。
つまりあの像も何かの罠であるとドゥゼアは読んでいる。
深呼吸をして改めて部屋の中を観察してみるけれど特におかしなところもない。
事前に罠を止める方法も見当たらなさそうなのでゆっくりと部屋の中に足を踏み入れる。
一歩足を踏み出したが何もない。
二歩入ってみたけれど変化はない。
騎士の像が何かの罠だとしたらそんなに近づかねば安全なのかもしれない。
「……荷物を漁るぞ」
どうせもう持ち主のいない荷物。
ドゥゼアは少し怖いような気持ちを落ち着かせるために冒険者たちの物であった荷物を漁ることにした。
部屋の手前側なら問題ない。
荷物を漁るのはただ目ぼしいものがあるかどうかを探すためではない。
まずは死体を確認する。
そこから分かることもある。
「斬撃による外傷か」
ドゥゼアが転がした死体は肩から背骨にかけて斜めに切り裂かれていた。
革の鎧ごと切り裂かれているので深くて鋭い斬撃に一刀両断されたのだと見れば分かる。
トゲが飛び出してくる罠にやられたのではない。
斜めに切り下ろされてるところを見るに罠などで真っ直ぐに飛んできたり落ちてきたものにやられたのでもない。
何かしらの切り付けてくる相手にやられたのである。
他も骨と鎧などの装備しか残っていないがどれも斬撃のような痕跡が見て取れる。
少なくとも相手は剣などのような武器で戦ってくる相手であると推測できる。
装備は劣化しているし切り裂かれたりして破壊されているのでもう使えない。
次に荷物を漁る。
乾燥肉などは意外とまだ大丈夫そうなので貰っていこう。
魔道具の1つでもないかなと思いながらカバンを開けたりしたけれどロクなものはない。
ここから分かるのは冒険者としてのランクである。
そんなにお金持ちの冒険者ではない。
それに魔道具を持っていないのなら強い冒険者でもない。
魔道具を持っているイコールで強い冒険者でもないけれど強い冒険者なら魔道具の1つでも持っていることが多い。
もうかなり古くなっているが荷物も安物ばかりじゃないので駆け出し冒険者でもなさそう。
良さげな火打ち石があったのでそれは貰おう。
あとは一応お金も貰っておく。
魔物の身でお金など使うことはないがどこかで使う可能性もある。
命乞いでお金を差し出すこともあるかもしれない。
多分そんな状況で逃してくれる冒険者などいないだろうけど。
「チッ……錆びてやがるな」
最後に装備を軽く確認する。
防具はもうダメなので無視して武器を見る。
剣を抜いてみるけれど錆び付いていて鞘から引き抜くのも一苦労だ。
多少手を汚すことも厭わないのならこうした装備品を回収して売れば多少の金にはなるだろうけどドゥゼアには売り先もない。
装備品には使えそうなものがない。
折れた剣を投げ捨ててドゥゼアはため息をついた。
推測するにここにいるのは中級から初級程度の冒険者だ。
魔道具や隠された財宝でも探しにここに訪れたのではないかと思う。
そしてこいつらをやったのはあの像ではないかとドゥゼアは睨んでいた。
血に濡れた像は腰に剣を差している。
そういった考えて見てみれば像が剣や魔法で傷つけられていることにも気づいた。
通常ならわざわざ像を切りつけることなんてない。
像を攻撃する理由があったから攻撃したのだ。
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