ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした

犬型大

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第五章

装備完成しました1

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「待っていたぞ」

「……少しお痩せになりましたか?」

「久々に作業に集中したからな」

 トモナリはサタケに呼ばれた。
 用件は装備が完成したと聞いている。

 オウルグループまで行ってみると、工房の前でサタケが待っていた。
 元々サタケもふくよかな人ではなかったが、久々に会ったサタケはかなりやつれた感じになっている。

 だが不健康という感じではない。
 目つきはギラギラとしていて、身にまとっている雰囲気も鋭さを感じる。

 なんというべきか、非常に研ぎ澄まされているといった感じである。

「こんなにのめり込んだのは初めてだ」

 サタケの後について工房に入る。
 工房の中には魔力が満ちていて、ヒカリも落ち着かないようにキョロキョロとしている。

「どんな形にするのか悩んだ。最初は全員を覆う鎧にするつもりだった。だが作っている間に考えが変わったのだ」

 ゆったりと歩きながらサタケは作業について口にする。
 どんな装備品を作るのかはサタケに任せてある。

 だからどのようなものを作ったのかトモナリは知らない。
 全身採寸はされたのでどこの装備でも作ろうと思えば作れる。

「なぜなのか思い描いていたものとは違うものが浮かんできて作りながら手が勝手に動いていた」

 サタケは胸ポケットから社員証を取り出すと壁の機械にかざす。
 するとドアがオートで開く。

「これが完成した装備だ」

 開いたドアの正面にマネキンが置いてある。
 そこに一つの装備が身につけられていた。

「……これが」

 マネキンの胴体には鎧が身につけられていた。

「革の鎧……ですか?」

 想像していたものとは違っていた。
 鎧にしても、いわゆるプレートアーマーのようなものが出来上がると思っていた。

 しかし目の前にあるのは体のラインにも沿った革の鎧のように見えた。
 ただデザインとしてはオシャレだ。

 普通の革の鎧とは違ったスマートさがある。
 革っぽいように見えるが革ではないのかもしれないと見つめていると感じられてきた。
 
 しかしミスリルを使ったはずなのに、どうしてこんな感じの仕上がりになったのかとトモナリはサタケを見る。
 金属で出来ているようにはあまり見えないのだ。

「触ってみろ」

 なんの説明もなくサタケは言葉少ない。
 トモナリは言われるがままに鎧に触れてみる。

「これはなんですか?」

 触れてみるとやはり革とは違った感触がしている。
 硬い。

 しかし硬いのに手に持ってみるとしなやかに形が変わる。
 しなやかさかを持った金属とでもいうのか、不思議な感触であった。

「これはミスリルだ」

「これがミスリル……なんですか?」

 ミスリルは金属だ。
 当然ながら非常に硬く、薄くしたからと簡単に手で曲がるようなものではない。

「こんなことができるのか……」

 ミスリルがこんな風になるなんて聞いたこともない。
 一流の職人の手にかかるこんなものなのかと驚いてしまう。

「いや、これは俺の力ではない」

「どういうことですか?」

「おそらくこれはアースドラゴンの精髄の力だろう。金属でありながら、まるでなめした革のようなしなやかさも併せ持つ性質にミスリルを変化させたのだ」

 装備を使っていてサタケも驚くような変化が起きた。
 ミスリルとアースドラゴンの精髄を上手く融和させた。

 そこまではよかったのだがアースドラゴンの精髄と融和したミスリルは金属でありながら、金属らしくない性質を得たのだ。
 そこでサタケはしなやかさを活かして、より体のラインに合うような形で鎧を作ったのである。

「軽くて動きやすい。君の邪魔になることは決してないだろう」

 プレートアーマーのような鎧は頑丈だが、動きの邪魔になることがある。
 その点で体にピッタリとしたデザインのアーマーなら動きの邪魔になりにくい。

 手に感じるしなやかさならほとんど邪魔になることはないだろうとトモナリは思った。

「これ以上のものを今後作れることはない。そう断言してもいい」

 サタケはまるで我が子を愛でるように鎧に触れた。

「身につけてみてくれ」

「はい」

 装備は身につけてこそ。
 トモナリは鎧を身につけてみる。

「これはすごい……」

 胴を守る鎧だけど、胴を守っているだけじゃない。
 身につけた瞬間全身が魔力に包まれる感じがある。

 手足や頭といった鎧に覆われていないところも魔力による保護を受けられている。

『アースドラゴンの鎧
 アースドラゴンの力が宿った鎧。ミスリルを惜しげもなく使い、アースドラゴンの力を余すことなく受け入れている。込められた魔力が全身を保護し、鎧そのものにもダメージを修復する効果がある。
 力+5、体力+10
 資格:認められし者』

「自動修復機能まであるのか。しかも能力補正も」

 鎧の情報を確認してみる。
 トモナリの感覚は間違っておらず、魔力による保護があるようだ。

 加えて色々と付随している効果もある。
 自動修復機能は、装備がダメージを負ったり傷がついたりしても魔力を使って勝手に直してくれる機能のことを言う。

 激しい戦いで装備が損傷することは多い。
 しかし自動修復機能があれば壊れない限りは直るのだ。

 あるとかなり嬉しい機能である。
 さらに力が5、体力が10伸びる補正効果もあった。

 体力が10伸びるということはトモナリでいえばレベルアップ五回分の効果があるということだ。
 これはかなりありがたい。
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