ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした

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第四章

終末を夢見る者4

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「お嬢!」

 イレブンがカエデに襲いかかって、タケルが守ろうと前に出る。

「ぐぅ!?」

「タケル!」

「だ、大丈夫です!」

 イレブンの拳とタケルの拳がぶつかり合って、タケルの腕が大きく弾き返された。
 タケルの方が完全に力負けしている。

 弾き返された衝撃で肩が痛みを感じたけれど、タケルは歯を食いしばってイレブンと殴り合う。
 どうやらイレブンも肉体を使った覚醒者のようだ。

 拳王たる職業は最終的に王にふさわしい能力を兼ね備えるが、今はまだタケルも中程度のレベルしかない。
 イレブンの職業は知らないが、有名な覚醒者ならレベルは低くないだろう。

 タケルよりもイレブンの方が強い。
 加えてイレブンは死体であり、半端なダメージは何も効いていないに等しい。

「タケル!」

 押されているタケルを見ていられなくてカエデも助けに入る。

「コウ、サーシャ、先輩たちのフォローに入れ!」

 おそらくタケルとカエデの二人がかりでもイレブンは倒せない。
 連携を考えて日本組を戦いに投入する。

「‘ドイツは周りの奴らを頼む!’」

 アルケスたちドイツの覚醒者には周りの終末教をお願いする。
 ここはバラバラに戦うよりもしっかりと役割分担をするべきだ。

 ドイツの覚醒者たちもトモナリの言葉に頷いた。

「コウ、一発派手に頼む!」

「分かった!」

 サーシャも前に出てタケルとカエデに加わり戦っている。
 トモナリの指示に従ってコウは燃え盛る炎を生み出す。

「マコト! 頼んだぞ!」

 人も増え、混戦が激しくなった。
 コウに合わせてトモナリも派手に炎を撒き散らすように剣を振る。

「……みんな、無事でいてね!」

 戦いと炎に紛れてマコトはスキルで影に隠れた。
 こんな状況で人が一人いなくなったところで気づきはしないだろう。

「‘トモナリ!’」

「‘チッ! こいつは俺に任せろ!’」

 できるならイレブンを先に処理したかったけれど、ナインはトモナリに襲いかかった。
 イレブンの実力からするとナインの実力も高いだろう。

 アルケスが焦ったようにトモナリの無事を確認するけれど、今はナインに人を割く余裕もない。
 トモナリがナインを引きつけるしかないのである。

 ナインは剣を使っている。
 普通のものよりも細身の剣はきっと生前使っていたものだ。

「ヒカリ、気をつけろよ!」

 ヒカリも隙を狙ってナインを攻撃しようとする。
 しかしこれまでの戦いと違って、今回は相手も殺意を持って攻撃してきている。

 交流戦の戦いでは攻撃されてもアーティファクトが守ってくれたけれど、この戦いで攻撃を受ければ少なくとも怪我は避けられない。
 たったの一撃だって受けることに危険があるのだ。

「力押しじゃなくスピードタイプだな」

 イレブンがパワーで押していくタイプなら、ナインはスピードで押してくるタイプだった。
 どちらがやりやすいなんてこともないが、トモナリ個人としては力押しの方がやりやすかったかもしれない。

「‘フ、フリエン! おい! どうしちゃったんだよ!’」

「……まずい状況だな」

 トモナリは必死にナインの攻撃をかわしていて反撃の隙すら見つけられずにいる。
 一方で他の戦況も少しずつ変化していた。

 終末教によって倒されたブラジルの覚醒者が仲間に向かって剣を振り回している。
 ジョンに操られているのだ。

 つまりもうフリエンという覚醒者は助からない。

「‘くっ……そいつはもう死んでる! 倒すんだ!’」

 ナインの攻撃を防いでトモナリは叫んだ。
 たとえ仲間の死体だったとしても今はジョンに操られる人形にすぎない。

 フリエンの死体が手加減をしてくれることなんてあり得ず、攻撃をためらえば逆にやられてしまう。
 そしてトモナリが恐れるのはそんなところから始まる死の連鎖である。

 誰かが死ねば操られることが分かった。
 操られた仲間を倒すのをためらって誰かが死ねば、また操られる人が増えてしまう。

 味方が一人倒れると、疲れも恐れも知らない敵が一人増えるのだ。
 そうなるとトモナリたちはだんだんと追い詰められることになってしまう。

 この連鎖が怖い。

「‘フ……フリエン……’」

「くそっ!」

 恐れていたことが起きた。
 元仲間の体に食い込んだ刃を振り切れず、攻撃をためらってしまったブラジルの覚醒者が胸を剣で突かれる。

 トモナリは視界の端で起きた出来事に険しい顔をする。
 だがトモナリもいっぱいいっぱいになっていて、とてもじゃないけれど、助けに行くことはできない。

「じょりゃー!」

 隙を狙ってヒカリがナインの脇腹を爪で斬りつけた。
 ナインはヒカリのことをやや無視する傾向にある。

 ヒカリの方も反撃を警戒して攻撃が浅く、あまり驚異ではないとみなしているのかもしれない。
 トモナリもこのままではジリ貧になってしまうという焦りがあった。

 ドラゴンズコネクトを使って能力を引き上げて戦えばチャンスはありそうだけど、やはり剣がないというデメリットはかなり大きい。

「……あったみたいに素手なら…………ん?」

 ナインとドラゴンズコネクトで戦うリスクは大きい。
 鋭い一撃を肉体で受け切れる自信がないのだ。

 イレブンのように素手で戦う覚醒者なら存分に戦えるだろうとトモナリは思った。
 そして気づいた。
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