勝ち組ニートの初ゲーム

駄目人間

　須佐乃 基繁 この男は客観的に見ると駄目人間
 
　なぜなら……

　俺はニートだからだ
　しかし、ニートを誇れる人物はどのくらい居るであろうか
 
 
　少なくとも俺、諏佐乃 基繁 (すさの もとしげ)は誇れる
　なぜ誇れるかは簡単。親公認なニートだから
　親公認の理由は諏佐乃家の成り立ちが深く関わってくる

　『諏佐乃』この文字を見たとき一部の人達。詳しくいうと、代々 一家で切り盛りしている神社の家柄や『菅原』等の古からの名門の人達 が驚きそして角を立てないようにする
　『諏佐乃』はある神様の深く関わりのある一族だからだ。　
　 感の良い人なら分かるだろう 《スサノオノミコト》のことだ
　字は違うかもしれない だが、正真正銘 子孫だ！と言い切れる程の家宝も存在している

　それで？と思うだろう
　《スサノオノミコト》の子孫の諏佐乃家には全国のスサノオを奉っている神社からお金が贈られてくるのだ
　その上もう１つ、《スサノオ》のつく物品を販売しているような会社等からも贈られてくる。
　勿論、普通なら賄賂か！と言われるだろう
　しかしソコはスサノオの子孫だ。国から特別な許可を貰っている その上、税金も無い

　ここまで言えばあとは誰にでも分かるだろ
　収入は多い 支出は少ない
　これが容易に成り立つから俺がニートであっても何も言われない

 
　改めて、俺はニートだ！だが引きニートではない
　そこのところは間違え無いでくれ

　今までの事を聞けば引きニートかと言われるので先に否定した
　諏佐乃家は無理に仕事をしなくて良い。それはお金の面でのみということではない　むしろ、主な理由は別にある
　主な理由は、家の手伝いがめっちゃ忙しい
　家があるのは出雲の国の近くで戦国時代には毛利家の影響を少なからず受けてきた
　毛利といえば三本の矢が有名だ
　それに因み、諏佐乃家では伝統的な弓作りが行われる
　最低でも20本、プラスα完成出来た弓の数で次の日のお小遣いが変わるから必然的に必死になる
 
　まぁ、以上の理由から親公認のニートになれた
  
　そして、収入が安定して支出がほぼないということは家が裕福になる
　そうすると…
　裕福ニートの生活は楽だ
　家の手伝いがあるため、引きこもりは出来ないが移動時は分家の方々が送迎をしてくれる　分家の方々曰く、本家の送迎が仕事らしい
　まぁ自分の足で全く動かないことはない 週２ペースで供回り無し、徒歩での出雲大社にお参りをしなくてはならない
　これも本家の掟らしい
　本家の敷地内には山が３つ程ありその内の１つを山越えすれば直ぐに着くのでさほど大変ではない

　今日は昼くらいにする手伝いを早朝に終わらせた。それに明日の分も当主…祖母の許可を貰い、先にしている
 
　早めにした理由は明日、販売される『PMC』というVRMMOなるゲームとやらを購入するためだ。親父に諏佐乃家の力でと言ったところ断られたので分家の力を借りて全力で店頭販売を購入するのだ
　明日の朝発売のそれを確保するためには夜中から朝方に並ばないと得られない
　だが、そこは名門一家。分家の方々を説得&当主も説得、だめ押しに母も説得し本家の本筋と全分家を総動員する事が親父ら抜きで決まった
 
　さっき本家の本筋と言ったと思う
　諏佐乃家は何故か代々当主は女性が務めるという掟がある。なので祖父も親父も婿養子の形で諏佐乃家に入っているのだ。
　…話しを戻そう
　確実に得る為に、そして説得時に少し興味を持った祖母の為に 分家の張り込み担当？の方々には既に昨日か存在を隠して販売店の前で不眠で居るらしい

　そして今日、万全の準備をし販売店へ出陣する
　俺と共に行くのは分家の当主達。本家の者達。
　準備も終わった。店の近くまではヘリで行くようである


　何の意味があるのか分からないが俺が代表で、
　『出陣！』 …と言った