媚薬魔法の優しい使い方

りりぃこ

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森の奥に住む魔法使い①

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 朝の日差しが窓に入ってきても、その家に住む魔法使いの男、アウルは起きる気配が無い。

 そんなアウルの家に、いつものように勝手に入っていく、魔法使いの男がいる。その男、クロウは今日も勝手にベットに近づく。

「アウルー、朝だよー」

 クロウの呼びかけに、アウルは邪魔くさそうに唸るだけだ。

 クロウはため息をついて、今度はアウルの耳元に口を近づける。

「起きないと、チューしちゃうぞ」

 それを聞いた途端、アウルはすぐに起き上がり、迷惑そうな顔をして言った。

「毎朝毎朝、その気持ち悪い起こし方辞めろよ」

「一番効果的だし」

 クロウはクスクスと笑う。


 機嫌が悪そうに起きるアウルの目の前に、いつの間にか熱いコーヒーが置かれる。

「砂糖は」

「それくらいは自分でやって」

 クロウに言われてアウルは仕方なく指で円を描く。すると戸棚が勝手に開き、砂糖の瓶が飛んでくる。

 砂糖のたっぷり入ったコーヒーを飲み終えると、アウルはベットから出て居間に向かう。


「おはよう、ってか起きるの遅すぎ」

 クロウは微笑みながら文句を言う。

「頼んでた魔法薬、出来てる?」

「ああ、完璧に」

 アウルはそう言うと、どこからともなく大量の瓶を出してきた。

「こっちの小さい瓶1ダースが自白剤、こっちの錠剤入ってるのが身体变化薬、このデカい瓶がまあ風邪薬みたいなもんだな」

「はいはい了解。じゃあこれ代金ね」

「ああ。いつも悪ぃな。人間との商売のやり取りなんて面倒でな」

「全然いいよ。俺もガッツリ中間搾取で儲けてるしね」

 クロウは悪びれも無く言う。


 アウルは人との関わりが好きではない。魔法使いへの迫害のある地域で生まれ育ったせいだと本人は言っているが、元々のキツイ性格から、人間どころか他の魔法使いともあまりにうまく関係を築けてはいないようだ。

 唯一、昔からの友人であるクロウが、世話を焼き、人間界から魔法薬等の依頼を請け負ってはアウルに仕事を持ってきているので生活が成り立っている。

 高度な魔法も使える優秀な魔法使いなのに、勿体ないものだとクロウは常々思っている。


「それにしても、俺がいなかったらアウルどうなっちゃうのかなーっていつも心配」

「そうなったらなったで自分でできるわ」

「わー、絶対ウソだ」

 クロウは呆れたように言う。


「だから、早く花嫁見つけなきゃだよね?あと3ヶ月でしょ?」

 意味ありげにクロウはアウルの顔を覗き込む。覗き込んだアウルの顔は不敵な笑みを浮かべていた。

「そう、あと3ヶ月だ」

「え…思ってた反応と違うんですけど…。もしかして、もう?」

「ああ。3日前に会った女に、誘惑魔法をかけておいた。今日にでも俺の花嫁になりにやってくる」

 アウルのドヤ顔に、クロウはポカンとした。





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