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大仕事②
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アウルの家からかなり近いところにかなり小さな駅があった。こんな人が住んでいなさそうな場所によく駅があったな、なんてジャスは思っていた。
「ここは俺専用の駅だ」
アウルが自慢げに言ってきた。
「俺しか使わない。用事があるときに鉄道屋に頼んで汽車に来てもらってるんだ」
「!信じられない!なんて偉そうなんだ!」
ジャスはドン引きした。
「まあ、アウルはその代わりに無償でここの汽車に錆ない魔法やらなんやらかけてるからね。持ちつ持たれつなんだよ」
クロウが説明している間に汽車がやって来た。
乗客は少ない。
3人が、席に座るとゆっくり汽車は走り出した。
「ところで、どこに、何しに行くの?」
「仕事に行く」
「そりゃわかるけど」
「大木を生き返らせに行く」
大木を、『生き返らせる』?
一瞬ジャスは言葉を失った。
「生き返らせるって……枯れた大木を?」
「枯れたっつうか、雷に打たれて真っ二つに幹が割れちまったらしい。それを、生き返らせろと」
「そんな事」
魔法使いとはいえ、そんな事出来る訳がない、と言いそうになったが思い出した。
目の前にいるのは『死者をも蘇らせる大魔法使い』なのだ。
しかし、前にクロウは「死者なんて蘇らせれる訳がない」と一蹴していたはずだ。
「そんなの一体どうやって……」
と言いかけた時、ジャスのお腹がグーっと大きな音を出した。結局朝何も食べなかったのでお腹が空いたのだ。
クロウがケラケラ笑っている。
「随分と正直なお腹じゃん」
ジャスは真っ赤になる。
「まだ着くまで時間あるし、食べてなよ」
そう言って、勝手にジャスのカバンからさっきのパンを取り出して渡す。
さっきあれだけ食べるわけにはいかない、と言っていた手前、すぐに食べるのは抵抗があったが、クロウがあまりに自然に渡すので思わず手に取った。
「俺が食えって言ってもなんだかんだ文句言うくせに、クロウの言う事はきくのか」
ジャスの様子をみて、アウルが不機嫌そうな顔をする。
そんな様子を見たクロウはニヤニヤしだした。
「なぁに?アウル嫉妬?」
「嫉妬って…」
ジャスは呆れたように呟く。嫉妬じゃないだろ、あれは完全に自分の思い通りにならなくてキレてるだけだろ。
しかしアウルは否定もせずに不機嫌な顔を隠さないままだ。
「そりゃあさっきから二人でそんな態度取られたら嫉妬もすんだろ。当たり前だ」
「嫉妬するアウルかわいーなー」
クロウが茶化す。
アウルはジャスの手首をグィっと掴んで見せた。手首につけられているシルバーの腕輪が光る。
「これは俺のだからな。いくらテメェでも取ったら許さねぇぞ」
「わかってるよー」
「いや、僕はお前のモノじゃない」
ジャスは慌てて訂正しながら手首を掴んでいる手を振り払う。
「全く、勝手にこんな腕輪付けられたのもまだ許してないんだからな…」
そんな風に話しているとまたお腹が鳴る。
「あ、テメェ早く食えよ。いい加減うるせぇぞ」
さっきまでへそを曲げていたくせに突然アウルは文句を言う。
「パン食わねぇなら熱々のコーヒー無理やり口に流し込むぞ」
「やめろよ」
諦めてジャスはパンを口に入れる。
流されてしまっている。このまま流されて花嫁になってしまうんじゃないかと少し不安になる。
ジャスがパンを食べたのを確認してから、アウルは汽車の窓を少し開けて窓の外を眺め始めた。
「この、窓から聞こえる音が最高だ。特にこの線路の曲がり角から聞こえる音が」
うっとりとした顔でアウルは窓に耳を傾ける。
「走る風の音に混じって聞こえる線路の音。テメェの腹の音に邪魔されるところだった」
「そりゃあすいませんね」
ジャスは感情を込めずに謝る。
アウルは全く気にせずにずっと窓の外を見続けていた。クロウはジャスに耳打ちする。
「ここからは静かにして邪魔しない方いいよ」
「もしかして、アウルが汽車で出かけるのとにこだわるのって……」
「ん、まあ。単に好きみたいね、汽車」
「それだけ……?」
「まあそれだけでもないけども」
クロウは苦笑いしながら答える。
「ま、とにかくここからは黙ってたほういいよ。まだまだ着かないし、食べちゃったら寝てても大丈夫だよ」
クロウの言葉にジャスは頷く。お言葉に甘えて遅い食事を終えた後、コックリコックリすることにするのだった。
「ここは俺専用の駅だ」
アウルが自慢げに言ってきた。
「俺しか使わない。用事があるときに鉄道屋に頼んで汽車に来てもらってるんだ」
「!信じられない!なんて偉そうなんだ!」
ジャスはドン引きした。
「まあ、アウルはその代わりに無償でここの汽車に錆ない魔法やらなんやらかけてるからね。持ちつ持たれつなんだよ」
クロウが説明している間に汽車がやって来た。
乗客は少ない。
3人が、席に座るとゆっくり汽車は走り出した。
「ところで、どこに、何しに行くの?」
「仕事に行く」
「そりゃわかるけど」
「大木を生き返らせに行く」
大木を、『生き返らせる』?
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「生き返らせるって……枯れた大木を?」
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「そんな事」
魔法使いとはいえ、そんな事出来る訳がない、と言いそうになったが思い出した。
目の前にいるのは『死者をも蘇らせる大魔法使い』なのだ。
しかし、前にクロウは「死者なんて蘇らせれる訳がない」と一蹴していたはずだ。
「そんなの一体どうやって……」
と言いかけた時、ジャスのお腹がグーっと大きな音を出した。結局朝何も食べなかったのでお腹が空いたのだ。
クロウがケラケラ笑っている。
「随分と正直なお腹じゃん」
ジャスは真っ赤になる。
「まだ着くまで時間あるし、食べてなよ」
そう言って、勝手にジャスのカバンからさっきのパンを取り出して渡す。
さっきあれだけ食べるわけにはいかない、と言っていた手前、すぐに食べるのは抵抗があったが、クロウがあまりに自然に渡すので思わず手に取った。
「俺が食えって言ってもなんだかんだ文句言うくせに、クロウの言う事はきくのか」
ジャスの様子をみて、アウルが不機嫌そうな顔をする。
そんな様子を見たクロウはニヤニヤしだした。
「なぁに?アウル嫉妬?」
「嫉妬って…」
ジャスは呆れたように呟く。嫉妬じゃないだろ、あれは完全に自分の思い通りにならなくてキレてるだけだろ。
しかしアウルは否定もせずに不機嫌な顔を隠さないままだ。
「そりゃあさっきから二人でそんな態度取られたら嫉妬もすんだろ。当たり前だ」
「嫉妬するアウルかわいーなー」
クロウが茶化す。
アウルはジャスの手首をグィっと掴んで見せた。手首につけられているシルバーの腕輪が光る。
「これは俺のだからな。いくらテメェでも取ったら許さねぇぞ」
「わかってるよー」
「いや、僕はお前のモノじゃない」
ジャスは慌てて訂正しながら手首を掴んでいる手を振り払う。
「全く、勝手にこんな腕輪付けられたのもまだ許してないんだからな…」
そんな風に話しているとまたお腹が鳴る。
「あ、テメェ早く食えよ。いい加減うるせぇぞ」
さっきまでへそを曲げていたくせに突然アウルは文句を言う。
「パン食わねぇなら熱々のコーヒー無理やり口に流し込むぞ」
「やめろよ」
諦めてジャスはパンを口に入れる。
流されてしまっている。このまま流されて花嫁になってしまうんじゃないかと少し不安になる。
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「この、窓から聞こえる音が最高だ。特にこの線路の曲がり角から聞こえる音が」
うっとりとした顔でアウルは窓に耳を傾ける。
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「そりゃあすいませんね」
ジャスは感情を込めずに謝る。
アウルは全く気にせずにずっと窓の外を見続けていた。クロウはジャスに耳打ちする。
「ここからは静かにして邪魔しない方いいよ」
「もしかして、アウルが汽車で出かけるのとにこだわるのって……」
「ん、まあ。単に好きみたいね、汽車」
「それだけ……?」
「まあそれだけでもないけども」
クロウは苦笑いしながら答える。
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