媚薬魔法の優しい使い方

りりぃこ

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買い物

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それから数日、ジャスはアウルの家で部屋を掃除したり、たまにアウルに命令されて魔法薬作成の手伝いをさせられたりしていた。



「テメェ、下手だな」

アウルはジャスの抽出したオイルを見て呆れた様に言った。

「うるせぇ!僕は元々あんまり調合苦手なんだよ。準備とか片付けとかしかしてなかったから」

「だとしても不器用すぎだな。このオイルじゃ全く使えねぇな」

アウルはそう言って、オイルに魔法をかけて、抽出前の状態に戻した。

「悪かった。マリカの代わりが出来なくて」

「別に構わねぇ。そこ、片付けとけ」

「わかった」

ジャスは、アウルの顔も見ずに使った器具を片付け始めた。

別にアウルの役に立ちたいとか全く思わないのだが、さすがにあんなに呆れた顔を見せられると、自己嫌悪に陥ってしまう。特に、マリカの代わりにさせられているのに全然だめなのが悔しい。

「……って、無理に代わりにさせられてるんだから、別に出来なくっても構わないし」

ジャスは聞こえないように呟いた。



「何暗い顔してやがる」

手伝いを終えてボーッと机にうつ伏しているジャスの顔を、アオバは無理やり上げさせた。

「別に」

ジャスはふいっと顔をそらす。

「なんか気にいらねぇことあんなら言えよ」

「別に。てかここにいること自体気に入らないし」

「面倒クセェなあ」



「なあ、別に僕じゃなくてもいいんだろ?」

「は?」

ジャスの言葉にアウルは眉をしかめる。

「何いってんだ急に」

「僕、マリカの代わりも出来ないし。そうだ、今から他の人探そうよ」

「断る」

「なんでだよ。絶対イイ子いるよ」

「今から全く新しく知り合うの面倒だろ」

「面倒って……そんな理由で僕は人生明け渡すのかよ」

「なんだよ機嫌悪くしてんじゃねぇよ」

アウルはジャスの顎を突然掴み、じっと顔を睨みつけるように見つめる。



「なんだよ」

「テメェちゃんと飯食ってんのか」

「は?飯?」

「庭から野草取ってきて料理してんのは知ってるし、パンも食ってるのは確認してるが……。そういやぁ肉も魚も用意してなかったな。飯ちゃんと食ってねぇから機嫌悪ぃんだろ」

「はあー??」

全く見当違いなアウルの指摘に、思わずジャスは大きな声を上げた。

「んな、ちゃんと食ってるよ!家から持ってきた干し肉とか調理してんだよ」

「そうかよ。っても、もうここ来てから数日経ってんだろ?もう持ってきたもんなんて無くなってんじゃねぇのか」

「それは……そうだけど」

確かに、ちょうど一昨日、干し肉は無くなった。昨日からパンと野草しか食べていない。買い物に行こうとも、何かにつけて手伝いなどを言いつけられるので、買い物に出る暇も無かった。もっとも、アウルが外出を許すかどうかも怪しい。

「やっぱりちゃんと食わねぇから機嫌悪ぃんだ」

アウルは決めつけるように言った。



「よし、明日買い物に街に出る。テメェも来い」

「え?あ、買い物なら僕一人で行ってくるよ」

「どこ行くつもりだ。まさかテメェの村の方まで行くつもりじゃねぇだろうな」

「まあ、あとこの辺道知らないし」

「ダメだ遠すぎる。この辺の道を覚えさせねぇとと思ってたところだ。一緒に行くぞ」

「えー」

ジャスは不満げだったが、アウルはそれを無視して決めてしまったようだった。



「明日は早めに起きろよ」

「いつもアウルの方が遅いじゃないか」










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