媚薬魔法の優しい使い方

りりぃこ

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心配性

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 アウルは外が薄っすら明るくなってきたのを感じた。

 そろそろ起きるか、でも昨日中途半端に起きたからまだ眠い。まだ寝ててやろう、とアウルは枕を抱え直した。

 その途端に、何か唇に触れる感触があった。

 ジャスだな、とアウルは思った。

 何をされても起きないと宣言したので、そのまま寝たふりをする。

 そうしていると、一度唇から離れて、また触れて、を繰り返してきた。そのうち、その触れていたものは、唇を割り開き、口内へ侵入してきた。

「おい、ジャス、それはさすがに」

 そう言いながら目を開くと、そこにいたのはジャスでは無かった。



「おはよーアウル!」

 ニヤニヤ顔でアウルの顔をのぞくのはクロウだった。どうやらアウルの口に触れていたのはクロウの指だったようだ。

「なんだ、テメェかよ」

 つまらなそうな顔でアウルはまた枕に顔を埋める。

「ちょっとー、その反応すごいつまらなーい」

 機嫌悪くクロウは文句を言うと、アウルの顔を無理矢理持ち上げた。

「とりあえず朝だよ。起きて。お仕事も持ってきたしさ。てか何でここで寝てんの?」

「色々あるんだよ」

 アウルは面倒くさそうに答えると、仕方なしに顔を上げて背伸びをした。

「仕事は終わったのか」

「ん、そうだね。昨日の夜に帰ってきたよ。んで更にまたお仕事あるんだ。アウルも手伝ってほしいんだけど」

「よく働く奴だ」

「まあね」

 クロウはニッコリ笑う。


「あれ。クロウいつの間に来てたんだよ」

 ジャスが居間に顔を出した。手には朝食の皿が乗ってある。

「おはよージャスくん。それ朝ごはん?美味しそうだね」

「クロウの分も用意しようか?」

「えー、悪いよー。コーヒーあるでしょ?俺はそれでいいよ」

「普通のコーヒーならあるぞ」

 ジャスの代わりにアウルが答えると、クロウは少し動きを止めた。

「え?魔法のコーヒー切らしてんの?追加作ってないの?」

「ああ、今魔法使えねぇしな」

 アウルの答えに、クロウは顔色を変えた。

「いつの間に!いつ戻るの?大丈夫だった?今日何日目になる?」

「うるせえぞ。今日夕方くらいには戻る予定だから心配すんな」

 矢継ぎ早に質問してくるクロウを、アウルは面倒くさそうにあしらった。



 結局、ちゃんと事情を話してもらう、と駄々をこねるクロウも一緒に朝食を取ることになった。

「そう言えば、家に結界張ってるって言っても、クロウも入ってこれるんだな」

 食事中、何気なくジャスがそう言うと、アウルは顔を合わせるしかめた。

「危害を加えてくる奴がはいれねぇようにする結界だからな。クロウは俺らに危害を加えたりしねえ」

「じゃあ何でパイソンは入って来れたんだろうな」

「さぁな、知らねえ」

「パイソン?何?あの意地悪ジジイまた来たの?」

 クロウが慌てで口を挟んでくる。

「ねえ大丈夫だったの?あのジジイ来て無事だったわけ?二人共怪我とかしてない?」

 クロウの言葉に、アウルとジャスは思わず顔を見合わせる。この様子だと、本当の事を話すとクロウは大袈裟に騒ぎそうで面倒だ、と二人は確信した。

 そしてクロウから目をそらして答えた。

「うん、平気」

「ああ、問題無えな」

 そう答える二人に、クロウは怖い顔で近づく。

「正直に答えなさい。俺だって自白魔法くらいかけることできるからね」

「俺は別に自白魔法なんぞガードできる」

「魔法が使えたらねぇー?でも残念だねぇ、今使えないんでしょう」

 クロウの目は笑っていない。

 二人は、一部始終をクロウに話すことになった。



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