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あきらめて
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二人から一部始終を聞いたクロウは、真っ青になってアウルの身体をひん剥いた。
「おいっ!何すんだっ!」
「じっとしてて!背中見せて!」
クロウの剣幕に、さすがのアウルも大人しくなった。
クロウは、アウルの背中の傷を確認し、何事も無く治っているのを確認すると、ホッと息を吐いた。
「よかった。処置が早かったから跡も残らなそう。ジャスくんのおかげだね」
「いや、元はと言えば僕を庇って怪我しちゃったわけだし」
ジャスは気まずそうに俯く。
「テメェのせいじゃねえ」
アウルは素っ気なく言った。
「まあ十中八九、アウルが熱が出た呪いはパイソンだろうね」
クロウは考え込みながら呟く。そして家の周りもウロウロしだした。
「結界もおかしい様子は無いし、多分パイソンは本当に危害を加えようとして来たんじゃないんじゃないかな」
「実際棚壊した上に怪我させてんじゃねえか」
「結果としてね。でも当初の目的は、怪我させることじゃないんじゃない?」
クロウはそう言って、ジャスの腕をとった。
「これでしょ多分。ジャスくんの腕輪」
何もついていないジャスの腕をアウルの目の前に差し出す。
「これを取っ払いたかっただけ。だから入れたんじゃない?まあパイソンは魔力も強いし器用だから、結界の穴を突くのは余裕そうだしね」
クロウの言葉に、アウルは顔をしかめた。
「ふん、魔法が戻ったらまたつけてやる」
「え、また着けるの」
ジャスが思わずそう言ってしまった。自分を守ってくれるものだというのは知っていたが、やはり拘束されている感じがあったので、外れたとき少しホッとしてしまったというが正直なところだった。
ジャスの発言に、アウルは怖い顔で睨みつけた。
「テメェ、あんな目にあっておいて腕輪拒否するとはバカなんじゃねえか」
「いや……だって、あれ着ければアウルは僕のこと自分のモノ扱いするだろ」
「テメェは俺のモノじゃねえか」
「違う!」
「ちょっと!喧嘩はあとにしてよ」
クロウが二人をなだめる。
「ともかく、パイソンは多分ジャスくんのこと狙ってるよ。腕輪をつけるかつけないかはともかく、気をつけて」
クロウに言われて、ジャスは仕方なく頷く。
元気がなくなってしまったジャスを励ますようにポンポンと背中を叩いてクロウは言った。
「ま、でも多分パイソンがジャスを狙ってるのって、ジャスがアウルの花嫁候補だから嫌がらせで狙ってるんだと思うよ。花嫁候補じゃなくなったらほっとかれるよ」
「えっと、でもそれって、これからクロウが紹介してくれる女のコが次に狙われるってこと……?」
ジャスは不安げにたずねる。クロウは肩をすくめる。
「それは大丈夫じゃないかな?初めから魔法使いの花嫁になることを望んでる子だし、腕輪でもなんでも、保護魔法は受け入れるだろうし」
「そうか」
ジャスは胸をなでおろした。
「クロウ、そのことだが」
アウルが二人の会話を遮るように口を挟んでくる。
「他の女の紹介はいらねぇ」
「え?」
クロウは驚いてポカンとした。
「俺はジャスに決めた。こいつがいい。他のやつはいらねぇ」
「違う!」
ジャスはすぐさま否定する。
「クロウ、違うんだ。アウルに女のコの紹介はしてくれ」
「何言ってんだよ。もう俺は決めたんだ」
きっぱりと言い切るアウルを、クロウは真剣な顔で見つめた。
「本気で、決めたんだね」
「ああ。本気だ」
「分かった」
頷くクロウに、ジャスは慌てた。
「ちょっと、分かったって、どういうこと?」
「悪いねジャスくん、諦めて」
クロウはニッコリと微笑んでそう言い放った。
「確かに、俺はジャスくんの味方だったよ。アウルにはジャスくんより、自分から花嫁を望むかわいい女のコをあてがってあげたいって思ってた」
「おい、なんだその余計なお世話」
アウルが口を挟んできたが、クロウは無視して続けた。
「それがアウルの為だとおもってたからね。意地で適当にジャスくんを花嫁にするとか言ってた感じだったし、そんなんじゃ後悔すると思ってた。でも、今本当に、本気でアウルがジャスくんを望むようになったなら、あとはアウルに協力するだけだよ。
ねえアウル、ジャスくんに誘惑魔法かけちゃったら?」
「今、魔法使えねぇって言ってんだろ」
「そっかぁ、急ぐ?代わりにかけてあげようか?」
「いや、急がねえ。一ヶ月かけてじっくり契を結ぶやり方にしたからな」
「へえー、あの面倒なやつ?毎日キスしなきゃだめなやつでしょ?手っ取り早く誘惑してセックスしちゃったら?」
「無理矢理は駄目だってテメェが前に言ってたんだろ」
淡々と恐ろしい会話をするアウルとクロウを見て、そんな、とジャスは怯えたように後ずさる。
「僕はただ、姉を助けたいだけだったのに」
「アウルの花嫁になったら全部解決するよ。難しい話じゃないよね?」
クロウはあくまでも優しい口調でジャスに話しかける。
「……ちょっと、昨日寝不足だったから、少し部屋で一人にさせて」
色んな感情を押し殺して、ジャスはそう言うと部屋へヨロヨロと向かって行った。
「おい、部屋じゃ寝れねぇんじゃねえのか?」
背後からアウルが問いかけてくるが、ジャスは無視して部屋へ入って扉を閉めた。
「おいっ!何すんだっ!」
「じっとしてて!背中見せて!」
クロウの剣幕に、さすがのアウルも大人しくなった。
クロウは、アウルの背中の傷を確認し、何事も無く治っているのを確認すると、ホッと息を吐いた。
「よかった。処置が早かったから跡も残らなそう。ジャスくんのおかげだね」
「いや、元はと言えば僕を庇って怪我しちゃったわけだし」
ジャスは気まずそうに俯く。
「テメェのせいじゃねえ」
アウルは素っ気なく言った。
「まあ十中八九、アウルが熱が出た呪いはパイソンだろうね」
クロウは考え込みながら呟く。そして家の周りもウロウロしだした。
「結界もおかしい様子は無いし、多分パイソンは本当に危害を加えようとして来たんじゃないんじゃないかな」
「実際棚壊した上に怪我させてんじゃねえか」
「結果としてね。でも当初の目的は、怪我させることじゃないんじゃない?」
クロウはそう言って、ジャスの腕をとった。
「これでしょ多分。ジャスくんの腕輪」
何もついていないジャスの腕をアウルの目の前に差し出す。
「これを取っ払いたかっただけ。だから入れたんじゃない?まあパイソンは魔力も強いし器用だから、結界の穴を突くのは余裕そうだしね」
クロウの言葉に、アウルは顔をしかめた。
「ふん、魔法が戻ったらまたつけてやる」
「え、また着けるの」
ジャスが思わずそう言ってしまった。自分を守ってくれるものだというのは知っていたが、やはり拘束されている感じがあったので、外れたとき少しホッとしてしまったというが正直なところだった。
ジャスの発言に、アウルは怖い顔で睨みつけた。
「テメェ、あんな目にあっておいて腕輪拒否するとはバカなんじゃねえか」
「いや……だって、あれ着ければアウルは僕のこと自分のモノ扱いするだろ」
「テメェは俺のモノじゃねえか」
「違う!」
「ちょっと!喧嘩はあとにしてよ」
クロウが二人をなだめる。
「ともかく、パイソンは多分ジャスくんのこと狙ってるよ。腕輪をつけるかつけないかはともかく、気をつけて」
クロウに言われて、ジャスは仕方なく頷く。
元気がなくなってしまったジャスを励ますようにポンポンと背中を叩いてクロウは言った。
「ま、でも多分パイソンがジャスを狙ってるのって、ジャスがアウルの花嫁候補だから嫌がらせで狙ってるんだと思うよ。花嫁候補じゃなくなったらほっとかれるよ」
「えっと、でもそれって、これからクロウが紹介してくれる女のコが次に狙われるってこと……?」
ジャスは不安げにたずねる。クロウは肩をすくめる。
「それは大丈夫じゃないかな?初めから魔法使いの花嫁になることを望んでる子だし、腕輪でもなんでも、保護魔法は受け入れるだろうし」
「そうか」
ジャスは胸をなでおろした。
「クロウ、そのことだが」
アウルが二人の会話を遮るように口を挟んでくる。
「他の女の紹介はいらねぇ」
「え?」
クロウは驚いてポカンとした。
「俺はジャスに決めた。こいつがいい。他のやつはいらねぇ」
「違う!」
ジャスはすぐさま否定する。
「クロウ、違うんだ。アウルに女のコの紹介はしてくれ」
「何言ってんだよ。もう俺は決めたんだ」
きっぱりと言い切るアウルを、クロウは真剣な顔で見つめた。
「本気で、決めたんだね」
「ああ。本気だ」
「分かった」
頷くクロウに、ジャスは慌てた。
「ちょっと、分かったって、どういうこと?」
「悪いねジャスくん、諦めて」
クロウはニッコリと微笑んでそう言い放った。
「確かに、俺はジャスくんの味方だったよ。アウルにはジャスくんより、自分から花嫁を望むかわいい女のコをあてがってあげたいって思ってた」
「おい、なんだその余計なお世話」
アウルが口を挟んできたが、クロウは無視して続けた。
「それがアウルの為だとおもってたからね。意地で適当にジャスくんを花嫁にするとか言ってた感じだったし、そんなんじゃ後悔すると思ってた。でも、今本当に、本気でアウルがジャスくんを望むようになったなら、あとはアウルに協力するだけだよ。
ねえアウル、ジャスくんに誘惑魔法かけちゃったら?」
「今、魔法使えねぇって言ってんだろ」
「そっかぁ、急ぐ?代わりにかけてあげようか?」
「いや、急がねえ。一ヶ月かけてじっくり契を結ぶやり方にしたからな」
「へえー、あの面倒なやつ?毎日キスしなきゃだめなやつでしょ?手っ取り早く誘惑してセックスしちゃったら?」
「無理矢理は駄目だってテメェが前に言ってたんだろ」
淡々と恐ろしい会話をするアウルとクロウを見て、そんな、とジャスは怯えたように後ずさる。
「僕はただ、姉を助けたいだけだったのに」
「アウルの花嫁になったら全部解決するよ。難しい話じゃないよね?」
クロウはあくまでも優しい口調でジャスに話しかける。
「……ちょっと、昨日寝不足だったから、少し部屋で一人にさせて」
色んな感情を押し殺して、ジャスはそう言うと部屋へヨロヨロと向かって行った。
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