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社長
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次の日もリンドーは工事の続きにやって来た。
今回は、リンドーだけでなく、もうひとりの技師を連れてきていた。
「アウル様、こちら、うちの社長でございます。腕はピカイチでございます。これからの作業は一人では難しいので、二人で作業させていただきます」
リンドーが丁寧にアウルに説明している。
社長と紹介されたその男は、ペコペコとしながらも、アウルへの恐怖心があるのか少し引き攣った表情を浮かべている。
「構わねえ。テメェに全部任せてある。大人数で煩くされんのはムカつくが、一人くらい増えても問題無えだろ」
アウルは一切興味なさそうに言う。
リンドーは丁寧にお辞儀をして、作業に取り掛かった。
「リンドーの会社の社長さん、リンドーの話を聞く限りだと、結構怖そうな感じだったけど」
「まあ、人間の組織っつーのは、上のモンが下のモン恐怖で押さえつけてるんだろ?恐いのは当たり前じゃねえか」
「アウル、人間に対する偏見が酷すぎじゃないか」
ジャスは呆れて言った。
「うるせえなぁ。テメェは今日は俺の部屋の片付けの手伝いをしろ」
「わかったよ。てか、自分の部屋の片付けくらい自分ですればいいのに……」
ジャスはそう面倒くさそうに返事すると、アウルとは一緒に部屋に向かった。
「おい、あれが大魔法使いか」
アウルとジャスが姿を消すのを確認すると、社長がリンドーに問いかけた。リンドーは作業の準備をしながら頷いた。
「ええ、先程の方がご依頼主のアウル様です。隣にいらっしゃったのが、アウル様の花嫁様です」
「花嫁?あの小僧が?へえ、男囲ってんのか。いい趣味してやがるな」
小馬鹿にしたように社長は鼻で笑うと、リンドーのことを手伝いもせずにどっしりとその場に座り込んだ。
「社長、今日の作業は、私一人では……」
「わかってるわかってる。うるせえなあ」
そう言いながらのんびりと準備を始めた。
昼になり、部屋から疲れた顔をしたジャスが出てきた。
「ったく……疲れた……どんだけ散らかすんだよ」
「お疲れ様です、花嫁様」
リンドーに声をかけられて、ジャスはハッと顔を上げた。
「ああ、ごめんリンドー。作業は順調?」
「ええ、まあ」
リンドーは微妙な顔で頷いた。ジャスにはリンドーの表情の理由はわからなかった。
「今日はお昼大丈夫?」
「あ、今日はちゃんと持ってきたので大丈夫です!」
そう言って見せてきたのは、とても小さなおにぎりだった。
「絶対に足りなくない?」
昨日の豪快な食べっぷりを思い出しながらジャスはたずねる。リンドーは、顔を真っ赤にしながら「大丈夫です」と言った。
「そういえば、社長さんは?」
ジャスがキョロキョロすると、リンドーが慌てた様子で言った。
「社長は、タバコも吸うので外でお弁当食べるそうです」
「ああ、そうなんだ」
そう言ってジャスは昼食の支度をする。
「本当にそれで足りる?」
「大丈夫です」
リンドーが再度力強く答えた。
その時、アウルが部屋から出てきた。アウルはリンドーの持っているおにぎりを見て、呆れたように言った。
「おい、リンドー、なんだその豆粒みたいなものは」
「おにぎりです」
「それだけしか食わねえつもりか」
「えっと。そうですが……」
リンドーの答えを聞くと、アウルは黙ってコーヒーをカップに入れて冷ますようにかき混ぜた。そしてそのコーヒーを、リンドーの顎を掴んで無理矢理口に流し込んだ。
「ちょっ、ちょっとアウル!!初心者にそれはキツイって!」
むせこむリンドーの背中を擦りながら、ジャスは慌ててアウルに言った。
「女のコだぞ!もっと優しくしろよ」
「少し冷ましてやったぞ」
「そういうことじゃねえって!ごめんなリンドー、あいつなりの優しさなんだけど、やり方が雑っていうかなんていうか」
「だ、大丈夫です。分かっています。ご親切でやったってことは」
リンドーはまだむせながら口を拭いて言った。
「なんだか今お腹がいっぱいですもの」
「大体、何でそんな食べんのに無頓着なんだ。そんなに金ねえのか」
アウルは偉そうにどっしりと椅子に座りながらリンドーに遠慮なくたずねた。リンドーか気まずそうな顔をした。
「すみません、ちょっとお金の使い方が下手くそで……」
「ふん、まあいい。ただ、ここに通ってる間は、腹空かせることは許さねえからな。おいジャス、明日からこいつの昼飯も作れ」
そう言うとアウルは、自分もコーヒーを飲んで、サッサと部屋に戻ってしまった。
「あいつ、食に厳しいんだよ」
ジャスは笑いながら自分の昼食を作り始めた。
リンドーはバツの悪そうな顔で頷いた。
今回は、リンドーだけでなく、もうひとりの技師を連れてきていた。
「アウル様、こちら、うちの社長でございます。腕はピカイチでございます。これからの作業は一人では難しいので、二人で作業させていただきます」
リンドーが丁寧にアウルに説明している。
社長と紹介されたその男は、ペコペコとしながらも、アウルへの恐怖心があるのか少し引き攣った表情を浮かべている。
「構わねえ。テメェに全部任せてある。大人数で煩くされんのはムカつくが、一人くらい増えても問題無えだろ」
アウルは一切興味なさそうに言う。
リンドーは丁寧にお辞儀をして、作業に取り掛かった。
「リンドーの会社の社長さん、リンドーの話を聞く限りだと、結構怖そうな感じだったけど」
「まあ、人間の組織っつーのは、上のモンが下のモン恐怖で押さえつけてるんだろ?恐いのは当たり前じゃねえか」
「アウル、人間に対する偏見が酷すぎじゃないか」
ジャスは呆れて言った。
「うるせえなぁ。テメェは今日は俺の部屋の片付けの手伝いをしろ」
「わかったよ。てか、自分の部屋の片付けくらい自分ですればいいのに……」
ジャスはそう面倒くさそうに返事すると、アウルとは一緒に部屋に向かった。
「おい、あれが大魔法使いか」
アウルとジャスが姿を消すのを確認すると、社長がリンドーに問いかけた。リンドーは作業の準備をしながら頷いた。
「ええ、先程の方がご依頼主のアウル様です。隣にいらっしゃったのが、アウル様の花嫁様です」
「花嫁?あの小僧が?へえ、男囲ってんのか。いい趣味してやがるな」
小馬鹿にしたように社長は鼻で笑うと、リンドーのことを手伝いもせずにどっしりとその場に座り込んだ。
「社長、今日の作業は、私一人では……」
「わかってるわかってる。うるせえなあ」
そう言いながらのんびりと準備を始めた。
昼になり、部屋から疲れた顔をしたジャスが出てきた。
「ったく……疲れた……どんだけ散らかすんだよ」
「お疲れ様です、花嫁様」
リンドーに声をかけられて、ジャスはハッと顔を上げた。
「ああ、ごめんリンドー。作業は順調?」
「ええ、まあ」
リンドーは微妙な顔で頷いた。ジャスにはリンドーの表情の理由はわからなかった。
「今日はお昼大丈夫?」
「あ、今日はちゃんと持ってきたので大丈夫です!」
そう言って見せてきたのは、とても小さなおにぎりだった。
「絶対に足りなくない?」
昨日の豪快な食べっぷりを思い出しながらジャスはたずねる。リンドーは、顔を真っ赤にしながら「大丈夫です」と言った。
「そういえば、社長さんは?」
ジャスがキョロキョロすると、リンドーが慌てた様子で言った。
「社長は、タバコも吸うので外でお弁当食べるそうです」
「ああ、そうなんだ」
そう言ってジャスは昼食の支度をする。
「本当にそれで足りる?」
「大丈夫です」
リンドーが再度力強く答えた。
その時、アウルが部屋から出てきた。アウルはリンドーの持っているおにぎりを見て、呆れたように言った。
「おい、リンドー、なんだその豆粒みたいなものは」
「おにぎりです」
「それだけしか食わねえつもりか」
「えっと。そうですが……」
リンドーの答えを聞くと、アウルは黙ってコーヒーをカップに入れて冷ますようにかき混ぜた。そしてそのコーヒーを、リンドーの顎を掴んで無理矢理口に流し込んだ。
「ちょっ、ちょっとアウル!!初心者にそれはキツイって!」
むせこむリンドーの背中を擦りながら、ジャスは慌ててアウルに言った。
「女のコだぞ!もっと優しくしろよ」
「少し冷ましてやったぞ」
「そういうことじゃねえって!ごめんなリンドー、あいつなりの優しさなんだけど、やり方が雑っていうかなんていうか」
「だ、大丈夫です。分かっています。ご親切でやったってことは」
リンドーはまだむせながら口を拭いて言った。
「なんだか今お腹がいっぱいですもの」
「大体、何でそんな食べんのに無頓着なんだ。そんなに金ねえのか」
アウルは偉そうにどっしりと椅子に座りながらリンドーに遠慮なくたずねた。リンドーか気まずそうな顔をした。
「すみません、ちょっとお金の使い方が下手くそで……」
「ふん、まあいい。ただ、ここに通ってる間は、腹空かせることは許さねえからな。おいジャス、明日からこいつの昼飯も作れ」
そう言うとアウルは、自分もコーヒーを飲んで、サッサと部屋に戻ってしまった。
「あいつ、食に厳しいんだよ」
ジャスは笑いながら自分の昼食を作り始めた。
リンドーはバツの悪そうな顔で頷いた。
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