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邪魔しません
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その次の日。
ジャスが朝食を食べ終えて掃除をしていると、玄関をノックする音が聞えた。 リンドーだ。
今日は昨日とは違う若い男と一緒に来ていた。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします。今日は若手を連れてきました」
リンドーは深々とお辞儀をした。若手も元気に頭を下げた。
「よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします。今日は若い人なんだね」
「ええ、あ、でも若くてもちゃんと出来るんで大丈夫です!」
慌てたようにリンドーは言う。
「……ようやく見つけた人材の中で一番マシな人ってだけなんですが……」
「ん?何か言った?」
「いえ!何も!」
リンドーはニッコリと笑って作業に取り掛かる。
ジャスには作業の事はよくわからなかったが、昨日一緒に来てきた男の人よりは、今日の若手さんとのほうが、リンドーが生き生きと仕事をしているのが何となく分かった。
「順調に進んでおります。明日には作業終了出来そうです」
休憩時間にお茶を持っていったジャスに、リンドーはにこやかに言った。
「そうかぁ。ここ数日賑やかだったから、明日で終わりってなると寂しくなるね」
そうジャスが言った瞬間だった。
「テメェ、寂しくなるってどういうことだ」
「だって、久しぶりに魔法使いじゃないひとと話できて楽しかっ……って……」
ジャスが振り返ると、アウルが、険しい顔で仁王立ちしていた。
「え?何でそんな怖い顔してんの」
「あーあ、ジャスくん怒らせちゃった」
「クロウ様!!今日はいらしてたんですね?」
クロウを目の前に、リンドーは明るい声ではしゃぎだした。
「いつまでいらっしゃいます?私今日の仕事急いで終わらせます。それまでいらっしゃいますか?」
「急がなくていいよ。丁寧に仕事して」
「はいっ」
リンドーはお茶を置くと、すぐに仕事を再開しようと立ち上がった。新人さんもあわててリンドーと立ち上がる。
「おい、さっきの話終わってねえぞ。何だテメェ、寂しくなるって。俺と二人だと不満だってえのか?」
「いや、そういうわけじゃ」
「いいから、ちょっと来い」
そう言ってアウルはジャスを引っ張って自分の部屋に行ってしまった。
「……ジャスさん大丈夫でしようか」
リンドーが、引っ張って行かれたジャスを心配そうに見送った。
「大丈夫だよ。多分寂しいって二度と言えないように可愛がるだけだろうから」
クロウが笑いながら言った。そのクロウを、リンドーは少し不満そうな顔をして見ている。
「何?そんな顔して」
「今はアウル様がいないんですから、無理に笑わないでください」
「は?」
クロウは思わずリンドーを睨みつけた。
「何それ。やめてくれない、そんな分かってるような言い方」
「……失礼致しました。出過ぎたマネを」
リンドーは素直に謝った。 クロウは大きなため息をついて、リンドーに言った。
「……ねえ、リンドー。君は俺が好きなんだよね?」
「ええ、勿論です」
「じゃあ、俺の言うこと、何でも聞ける?」
「ええ」
「じゃあお願いがあるんだ。俺のすることに一切口出さないでくれるかな」
クロウは冷たくそう言い放った。リンドーは、一切動じずに笑ってみせた。
「はい、分かりました。一切口出しませんし、邪魔しません。……邪魔もさせません」
「……君は本当に……」
クロウは大きなため息をついた。
ジャスを引きずるようにしてアウルが部屋から出てきたときには、すでに工事は完成していた。 若手の男はすでに帰って、リンドーだけが残っていた。
「随分とゆっくりイチャイチャしてたんじゃない?」
呆れたように言うクロウに、アウルは偉そうに答えた。
「今後寂しいとか言われたらむかつくだろ。ちょっと仕置きしてやっただけだ」
「もう、やだ……」
ジャスはぐったりと嘆くしかないようだった。
「ラブラブな所に申し訳ありません。ちょっと使い心地を見ていただきたいのですが」
リンドーが申し訳無さそうに口を挟んできたので、ジャスは真っ赤になって 「い、今見るよ!」 と台所へ向かった。
「いかがでしょうか花嫁様。使い心地は」
「だから、その呼び方やめてって……」
ため息をつきながらジャスは水を出してみる。
「うん、ありがとう。使いやすいよ」
「アウル様の魔法での、水や火も引き続き使えますので、お好きにできますよ」
リンドーは笑ってみせる。
「おい、リンドー。テメェ技師なら、家具大工の知り合いとかいるか?」
別な部屋にいたアウルが顔を出して突然言った。
「ええ、家具屋さんでしたらいくつか」
「さすがだな。どこかいい家具屋を紹介しろ。今より大きいベットを新調するつもりだ」
アウルの言葉に、ジャスはハッと察して慌ててリンドーに言った。
「いやっ!大丈夫!リンドー。断っても大丈夫だよ。ベット、まだ壊れてるわけでないし」
「何いってんだよ、狭えだろうが」
「分かりました!アウル様!貴族に家具を卸している高品質な家具屋の連絡先を後ほどお教えします」
リンドーはジャスの事を無視してアウルにニッコリと答えた。
「家具屋なら、リンドーに頼まなくても、俺が紹介してあげるのにー」
「クロウ様!」
後ろから現れたクロウに、リンドーは満面の笑みを浮かべ、そして慌てて言った。
「あっあっ、あの、クロウ様がご紹介していただけるなら私はでしゃばりませんので」
「いや、人間の家具屋がいい。クロウの紹介するのは魔法使い御用達のところだろう」
「ああー、ジャスくんに合わせてあげるつもりなんだね。やーさしー」
「いや、いらないってば」
ジャスは抗議しながらも、多分自分の言い分は通らないだろうな、と思った。
「後ほど会社を通して請求書をお送りしますので、そのときにでも家具屋の連絡先もお送り致します」
リンドーがそう言ってお辞儀をした。
「それでは、私はこれで……帰りますけども」
リンドーはそう言いながらチラチラとクロウを見る。 クロウは苦笑いを浮かべた。
「まあ、色々いい仕事してもらったし。いいよ、送っていってあげる」
「まぁ!嬉しい!!」
リンドーは飛び上がって喜んだ。
「おお、今日は随分と優しいじゃねぇか」
アウルが茶化すように言うと、クロウはため息をついてみせた。
「俺はリンドーの事好きじゃないけどね、まあ仕事のチップだと思って」
「おい、あんまり好きじゃないとか言うんじゃねえよ。それ、傷つくんだぞ」
アウルは、ジャスに目線を向けながらクロウに言った。 ジャスは顔をそらして目線に気づかないふりをした。
ジャスが朝食を食べ終えて掃除をしていると、玄関をノックする音が聞えた。 リンドーだ。
今日は昨日とは違う若い男と一緒に来ていた。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします。今日は若手を連れてきました」
リンドーは深々とお辞儀をした。若手も元気に頭を下げた。
「よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします。今日は若い人なんだね」
「ええ、あ、でも若くてもちゃんと出来るんで大丈夫です!」
慌てたようにリンドーは言う。
「……ようやく見つけた人材の中で一番マシな人ってだけなんですが……」
「ん?何か言った?」
「いえ!何も!」
リンドーはニッコリと笑って作業に取り掛かる。
ジャスには作業の事はよくわからなかったが、昨日一緒に来てきた男の人よりは、今日の若手さんとのほうが、リンドーが生き生きと仕事をしているのが何となく分かった。
「順調に進んでおります。明日には作業終了出来そうです」
休憩時間にお茶を持っていったジャスに、リンドーはにこやかに言った。
「そうかぁ。ここ数日賑やかだったから、明日で終わりってなると寂しくなるね」
そうジャスが言った瞬間だった。
「テメェ、寂しくなるってどういうことだ」
「だって、久しぶりに魔法使いじゃないひとと話できて楽しかっ……って……」
ジャスが振り返ると、アウルが、険しい顔で仁王立ちしていた。
「え?何でそんな怖い顔してんの」
「あーあ、ジャスくん怒らせちゃった」
「クロウ様!!今日はいらしてたんですね?」
クロウを目の前に、リンドーは明るい声ではしゃぎだした。
「いつまでいらっしゃいます?私今日の仕事急いで終わらせます。それまでいらっしゃいますか?」
「急がなくていいよ。丁寧に仕事して」
「はいっ」
リンドーはお茶を置くと、すぐに仕事を再開しようと立ち上がった。新人さんもあわててリンドーと立ち上がる。
「おい、さっきの話終わってねえぞ。何だテメェ、寂しくなるって。俺と二人だと不満だってえのか?」
「いや、そういうわけじゃ」
「いいから、ちょっと来い」
そう言ってアウルはジャスを引っ張って自分の部屋に行ってしまった。
「……ジャスさん大丈夫でしようか」
リンドーが、引っ張って行かれたジャスを心配そうに見送った。
「大丈夫だよ。多分寂しいって二度と言えないように可愛がるだけだろうから」
クロウが笑いながら言った。そのクロウを、リンドーは少し不満そうな顔をして見ている。
「何?そんな顔して」
「今はアウル様がいないんですから、無理に笑わないでください」
「は?」
クロウは思わずリンドーを睨みつけた。
「何それ。やめてくれない、そんな分かってるような言い方」
「……失礼致しました。出過ぎたマネを」
リンドーは素直に謝った。 クロウは大きなため息をついて、リンドーに言った。
「……ねえ、リンドー。君は俺が好きなんだよね?」
「ええ、勿論です」
「じゃあ、俺の言うこと、何でも聞ける?」
「ええ」
「じゃあお願いがあるんだ。俺のすることに一切口出さないでくれるかな」
クロウは冷たくそう言い放った。リンドーは、一切動じずに笑ってみせた。
「はい、分かりました。一切口出しませんし、邪魔しません。……邪魔もさせません」
「……君は本当に……」
クロウは大きなため息をついた。
ジャスを引きずるようにしてアウルが部屋から出てきたときには、すでに工事は完成していた。 若手の男はすでに帰って、リンドーだけが残っていた。
「随分とゆっくりイチャイチャしてたんじゃない?」
呆れたように言うクロウに、アウルは偉そうに答えた。
「今後寂しいとか言われたらむかつくだろ。ちょっと仕置きしてやっただけだ」
「もう、やだ……」
ジャスはぐったりと嘆くしかないようだった。
「ラブラブな所に申し訳ありません。ちょっと使い心地を見ていただきたいのですが」
リンドーが申し訳無さそうに口を挟んできたので、ジャスは真っ赤になって 「い、今見るよ!」 と台所へ向かった。
「いかがでしょうか花嫁様。使い心地は」
「だから、その呼び方やめてって……」
ため息をつきながらジャスは水を出してみる。
「うん、ありがとう。使いやすいよ」
「アウル様の魔法での、水や火も引き続き使えますので、お好きにできますよ」
リンドーは笑ってみせる。
「おい、リンドー。テメェ技師なら、家具大工の知り合いとかいるか?」
別な部屋にいたアウルが顔を出して突然言った。
「ええ、家具屋さんでしたらいくつか」
「さすがだな。どこかいい家具屋を紹介しろ。今より大きいベットを新調するつもりだ」
アウルの言葉に、ジャスはハッと察して慌ててリンドーに言った。
「いやっ!大丈夫!リンドー。断っても大丈夫だよ。ベット、まだ壊れてるわけでないし」
「何いってんだよ、狭えだろうが」
「分かりました!アウル様!貴族に家具を卸している高品質な家具屋の連絡先を後ほどお教えします」
リンドーはジャスの事を無視してアウルにニッコリと答えた。
「家具屋なら、リンドーに頼まなくても、俺が紹介してあげるのにー」
「クロウ様!」
後ろから現れたクロウに、リンドーは満面の笑みを浮かべ、そして慌てて言った。
「あっあっ、あの、クロウ様がご紹介していただけるなら私はでしゃばりませんので」
「いや、人間の家具屋がいい。クロウの紹介するのは魔法使い御用達のところだろう」
「ああー、ジャスくんに合わせてあげるつもりなんだね。やーさしー」
「いや、いらないってば」
ジャスは抗議しながらも、多分自分の言い分は通らないだろうな、と思った。
「後ほど会社を通して請求書をお送りしますので、そのときにでも家具屋の連絡先もお送り致します」
リンドーがそう言ってお辞儀をした。
「それでは、私はこれで……帰りますけども」
リンドーはそう言いながらチラチラとクロウを見る。 クロウは苦笑いを浮かべた。
「まあ、色々いい仕事してもらったし。いいよ、送っていってあげる」
「まぁ!嬉しい!!」
リンドーは飛び上がって喜んだ。
「おお、今日は随分と優しいじゃねぇか」
アウルが茶化すように言うと、クロウはため息をついてみせた。
「俺はリンドーの事好きじゃないけどね、まあ仕事のチップだと思って」
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