媚薬魔法の優しい使い方

りりぃこ

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嫌がらせ

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「ところで、明日するべきことって何?もう準備は終わりそう?」

 ジャスの質問に、アウルは少し険しい顔をした。

「まあ準備は出来た。ただ、クロウの方にも少し確かめておかねえといけねえことがある。だから」

 アウルはそこで言葉を切ると、スプーンを置いて真面目な顔になった。

「テメェにも少し手伝ってもらいてえ」

「手伝い?まあいいけど。何するの?」

「少しクロウに嫌がらせをする」

「はあ?」

 ジャスはポカンと口を開けてしまったので、食事が口から漏れてしまった。

 とりあえず先に食事をしろと言われて、ジャスは慌てて食事をかきこんだ。


「嫌がらせなんて、そんな余計拗れそうなことしない方いいんじゃない?」

 ジャスは片付けをしながら、偉そうに座っているアウルに提言した。

「もう、そんな喧嘩になるようなことしてる場合じゃないでしょ」

「いや、する」

「えー……そんな頑なな……」

「これが俺だ。こんな俺に耐えれねえなら俺と結婚するなんて考えは改めて貰わねえと」

「あー、確かめってそういう…?」

 ジャスは何となく、構ってほしくてわざと悪戯する子供を想像した。

「子供なんだな」

「あ?なんか言ったか?」

「いや、別に。で、嫌がらせって具体的に何するの?」

「ああ、どうせクロウは今も俺たちをどうにかして監視してんだろ。だから」

 アウルはジャスに近寄り、顎に手を添えた。

「今夜いちゃつくぞ」

「なんでだよ!!」

 ジャスは思いっきりつっこんでしまった。

「いちゃついてどうすんだよ!」

「監視するクロウに見せつける」

「お前、ちょっと変態だろ!」

 ジャスは身体をひねってアウルから距離をとった。

「クロウがアウルを好きなことを知ってて、僕といちゃつくなんて、性格悪いぞ!」

「嫌がらせだからな」

 アウルは悪びれもなく言った。

「僕は嫌だからな。嫌がらせでいちゃつくなんて」

 ジャスが宣言するように言うと、アウルはハッとした顔をした。

「ああそうか、悪かったな。嫌がらせ目的でいちゃつくのは嫌だよな。いちゃつく時は嫌がらせのことなんて考えねえで、ちゃんとテメェの事だけ考えて愛でてやる」

「違う!そういう意味じゃねえよ!」

 ジャスは真っ赤になって首を振った。


「頼む」

 ギャーギャー言ってはいたが、真剣に頼むアウルの顔を見て、ジャスは思わず何も言えなくなってしまった。流されやすいところが悪いところだ、とジャスは自分に呆れた。

「軽く、だからな。クロウにブチ切れられても僕は知らないからな」

「ああ」

 アウルは真面目な顔で頷いた。

「じゃあ夜、俺の部屋に来いよ」

「わかったよ」

 ジャスは大きなため息をつきながら答えた。
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