13 / 58
心配になっちゃう
しおりを挟む茉莉花は、さっきまでとはうってかわってちょっと言いづらそうに答えた。
「お二人共イケメンだしかなりいいのが撮れる自信あるんだよね。ほら、せっかく撮るんだしぃ。他の人にも見てもらいたいっていうかぁ。だからできたら同人誌即売会のイベントで、頒布したいなぁって」
「え?コスプレ写真売るってこと?絶対に嫌ですよ。見られたくない」
智紀は慌てて言うと、茉莉花も慌てて手を振りながら言い訳する。
「あの、名前は出さないし、化粧しっかりして弟ちゃんってわからないようにするから!!あと、売るんじゃないの。頒布!」
「何が違うんですか?」
「著作権のグレーの部分の話だろう」
祥太が口を挟んできた。
「俺は別に見られることは構わないですが」
ナルシストめ!と智紀は祥太を少し睨む。祥太は智紀の目線に一切気づく素振りもなく、何やらメモを取っていた。
「しかし、コスプレ写真の著作権のグレー部分を完全無視はしたくないので、一応その件についてはこちらでも調べてから回答したいと思います」
「あ、うん、そこは弁護士さんに盾突くつもりは無いんでぇ」
茉莉花はゲヘヘ、と変な笑い方をしてみせた。
「てなわけで、どうでしょう?」
「いいと思います」
「いいの!?」
思わず智紀は目を剥いて祥太に訴えた。
「ねえ、本当に?兄貴忙しいよね?もう少しなんか手軽な方法を……」
「手軽?」
祥太は智紀に向かって呆れたような目を向けた。
「ほう、なんだ、お前の祖母孝行っていうのはそんなお手軽なものなのか?」
「はぁ?」
智紀は少し苛ついた声をあげた。しかし祥太は、フッと軽く微笑んてみせた。
「いや、お前はいつもばあちゃんの部屋に行って世話をしたり気にかけてくれたり、それに、ヘルパーさんに色々聞いて介護についても学んでくれていると聞く。俺よりずっと祖母孝行してくれている。俺は、そんなお前ならきっと、自分が乗り気じゃなくてもばあちゃんの為に何でもするもんだと思っていた。お前はばあちゃんの為なら俺とキスできると言ってたくらいだからな」
「えっ!キスできるの!?」
茉莉花が興奮してギラギラした表情で智紀をみてくるので、智紀は慌てて首を振る。
「いや、違」
「逆に俺は仕事優先であまり何もできないし、お前とキスする気もサラサラ無い。だからせめて、と思ったんだが……お前はもっと手軽に孝行したかったんだな」
寂しそうな目をする祥太に、思わず智紀は目をそらしてモゾモゾしだした。
「いや、その……」
「無理するな智紀。大丈夫だ」
優しい目で、祥太は智紀に頷いてみせる。
智紀はなんとなく罪悪感に襲われてしまった。
「あ、いや、あの。違うんだ、そのぉ。うん、アイディアは、いいと思うから」
「思うから?」
「やってもいいと、思います……」
「そうか」
祥太はニッコリと智紀に微笑んだ。
「だそうで。茉莉花さん、とりあえず進めていきましょう」
そんな二人の一部始終を見ていた茉莉花は、苦笑いしながら呟いた。
「弟ちゃん、チョロすぎて私心配になっちゃう」
15
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる