祖母孝行したいけど、兄弟でキスはできない

りりぃこ

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意外にガチじゃん

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「違う?」

 茉莉花がキョトンとしてさち子に近寄った。

「違うって、どういう事?」

「確かに、ナツの服なのはわかる。でもナツじゃない」

 さち子は言い放った。

「やば、さっちん意外にガチじゃん」

 茉莉花が驚いているのを後目に、さち子はマジマジと浴衣の縫い目を見た。

「それに、これでも悪くないが、夏着物の単衣の縫い方だね。まあ浴衣だから仕方ないが。初恋の杜では、ナツはずっと裏地のある袷の着物を着ていた」

「あ、あのぉ、まあ表面上よければいいだけなので……」

 さち子の熱量に少し引き気味の茉莉花が慌てて言う。亮子も首をかしげた。

「私は浴衣を直してくれと言われただけなんだが」

「ヘルパーさんが許してくれるなら、私がちゃんと直してやるのに」

 さち子がブツブツと言うのを、智紀はハラハラと見ていた。せっかく亮子がやってくれたのに、そんな言い方したら失礼じゃないか。

「あの、ばあちゃん、いいんだよ。それで。亮子さんだって親切でしてくれたんだから」

「いや、直そう」

 亮子は意地を張ったように言った。

「なんだかわからんが、なんだか気に入らなくなってきた。親切でやったらいいってもんじゃない。ちゃんと智紀くんが気に入るようにしないと、こっちの気が収まらない。どうやればいいんだ」

「裏地の生地ならうちにたくさんある。祥太、裏の倉庫の桐箪笥から適当に布を持ってきてくれ」

「いや、ばあちゃん、別に大丈夫なんだが」

 祥太も慌てる。


 さち子は案外強情だ。こうなってしまっては多分絶対に引かない。

 やはり強情な亮子と、着物の何たるかの話を始めてしまった。

 仕方なく、祥太は裏の倉庫に向かう。


「ごめん、なんか」

 智紀は茉莉花に謝る。茉莉花も、半笑いで頷く。

「やっぱり量より質の世代には敵いませんなー」



 しばらくして祥太がいくつか布地を持ってきた。

 さち子はそれを見ながら、裏地に使うものの指示をしていく。


「そうだ幸田ちゃん。幸田ちゃんはコスプレ興味ある?」

 何となく手持ち無沙汰になっていた茉莉花が、おもむろにたずねた。

 幸田は首をかしげなが答えた。

「んー、あんまり無いですね」

「そっかぁ。よかったら、幸田ちゃんも入ればいいかなって思ったんだけど」

「私が?BLに女必要ないですよね」

「ナツに一目惚れする女学生いたじゃん、サクラちゃんっていう。あの衣装っぽいの古着屋で見つけてさ。よかったらナツの格好の弟ちゃんとカップリング写真取ってあげようか……って思……」

 茉莉花は途中で言葉を途切れさせる。幸田が怖い顔をしていたからだ。

「えっと……あれ?梨衣ちゃんって、ノマカプ派じゃなかったっけ……男女派だと……」

「私の基本的な理念は、『原作至上主義』!その上でのノマカプ派です!原作でくっつかない二人のならノマカプでも地雷なんです!」

「ごめん、ごめんよぉ」

 茉莉花は豹変した幸田に平謝りしている。


 ……賑やかだなぁ、と智紀のぼんやりとさち子の部屋を眺めていた。




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