祖母孝行したいけど、兄弟でキスはできない

りりぃこ

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無責任なことは言えない

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※※※※


 数日後、智紀は学校帰りに茉莉花の大学の写真サークルの部屋に来ていた。

「お、竹中くんだっけ。また来てくれたんだ」

 部屋には米村だけがいて、相変わらずダルそうに、でも嬉しそうに声をかけてくれた。

「はい、茉莉花さんに呼ばれて」

「あー、狭山のやつ、完全にうちを私用に使ってやがるな。ま、どうせ人来ねえからいいけどさ」

 そういいながら、米村はいそいそとアルバムを取り出した。

「狭山来るまでちょっと見ていけよ。前に旅行して、城の写真撮ってきたんだ。城好きか」

「城は興味無いですけど、米村さんの写真は興味あります」

「正直者だ。俺お前の事好きだぜ」

 米村は嬉しそうにアルバムを智紀に渡した。


「あー、また米村っち、弟ちゃんの事誘惑してるー」

 そんな事を言いながら、茉莉花が部屋に入ってきた。

「いいじゃねえか。うちのサークルの未来の担い手だぞ」

「いや、弟ちゃん別にうちの大学入るって決めてないし、うちのサークル入るっても決めてないし。てか、その頃なら米村っちも卒業してるでしょ」

「俺はよく顔を出すうざいOBになるつもりだからいいんだ」

 米村は胸を張って答える。

「つーか、弟ちゃん弟ちゃんって、こいつは誰の弟なんだよ」

「あの、前に来てた髪の青いイケメンの弟ちゃんだけど」

「何!お前あのホストの弟だったのか」

「すみません、紛らわしいんですけど、うちの兄貴ホストじゃないんです……」

 なぜか智紀は申し訳無さそうに答える。


「さ、そんな事より、私これからすぐにバイト行かなきゃだから、先に用事済ませちゃうよ」

 茉莉花はそう言って、智紀を椅子に座らせて、智紀の持ってきた紙袋からウイッグを取り出した。

「とりあえず、ウイッグと着物があればある程度お兄様と弟ちゃん達で出来るかな、って思って渡したんだけど。ウイッグ被った写真送れてきたら、全然だめなんだもん!こうも不器用なもんかねー」

「俺、ずっと髪短めだから、アレンジとかしたことねえし……。兄貴もああ見えて不器用なんですよ」

 智紀は言い訳しながら、大人しくウイッグを被せられ、何やらスプレーされたりしていた。

「おーおー、竹中くん、コスプレのお人形さんにされてんのか。そのカツラ、ねえほうがカッコいいんじゃねーの?」

 米村が口を挟んでくるのを、茉莉花はシッシッ、とあしらった。

「コスプレは似せることが第一だから。はーい、ちょっとここテープ使うよー」

「悪いな。うちの狭山の玩具にされてよ」

「いえ、俺が頼んでるんで」

 智紀はされるがままになりながら言った。


 しばらくイジられて、鏡を見せられると、智紀は目を丸くした。

「おー……凄いな。それっぽい……」

「でしょ」

 茉莉花はドヤ顔だ。

「なんかこう、不自然なんだけど、ちゃんとキャラクターに似せてるって感じで。やっぱプロですね」

「ヤダなぁ。プロじゃないよ」

 茉莉花はニヤけながら一旦智紀に取り付けたウイッグを形を崩さないように外す。そして、もう一つウイッグを取り出した。

「弟ちゃん、お兄様と顔立ち似てるし、お兄様のハルの分のウイッグもやっちゃいたいな。大丈夫かな、時間あるかな?」

 急ぎながら茉莉花は手早くまた智紀に別なウイッグを被せる。

 またされるがままにされながら、智紀は申し訳無さそうに言った。

「すみません、茉莉花さん忙しくなってるのに、結局茉莉花さんに頼りっぱなしで」

「んー、でも、一番大変な衣装が、おばあちゃんやってくれてるから結構楽。この調子だと、撮影もできそうだよ」

 茉莉花は少し楽しそうに言った。

「まあ、ちょっと今リハビリに連れて行くのがねぇ。連れて行くのに予約の時間がバイトと被ったりして大変なんだよね……」

「病院に連れて行くだけのヘルパーさんとかありますよ。被った時だけでも利用してみたら……」

「んー……おばあちゃん嫌がるからなぁ。他人に世話されるの」

 小さくため息をつく茉莉花に、智紀は何を言えばいいかよく分からなかった。

 手伝いますか、と言うのは簡単だ。でも、自分も学校等があるのに無責任なことは言えない。だいたい、自分達も仕事や学校で十分にできないからヘルパーさんを頼んでいるのだ。

「あ、今の事、お兄様に言わないでよ。お節介やかれそうだから」

「は、はい……」

 茉莉花に少しキツめに言われ、智紀は勢いよく頷いた。

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