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1章 ようこそ異世界へ
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「……っ、んん!?」
どれくらい意識を失っていたのか……意識が覚醒する。液体の中だ!
窒息する前にカプセルの上部の蓋を開こうと腕に力を入れようとするが上手くいかない。
「………………!!」
上部からなにか音がする。目を開けながら蓋の方を見ると蓋が開き、べシールが何か言いながら手を差し出した。
未だに液体の中にいるため何を言っているか分からないが、腕にめいいっぱい力をいれて何とかべシールの手を掴む。
「……っ!」
べシールは俺の手を掴むとすごい力で俺をカプセルから引っ張りあげてくれた。
「だ、大丈夫?ほら、これで体を拭いて服を着な。」
心配そうな表情のべシールがタオルと先程俺が着ていた服を差し出す。
「げほっ、げほっ、あり……がとう。」
息を整え、タオルで顔を拭き、体を拭いて服を着る。
「調子はどう?」
「なんとか大丈夫だ。まだ体に力が余りはいらないけどね。」
手をプラプラと揺らしながら俺は言う。
ただ、力がまだはいらない代わりに体の内側になにか温かい前の体にはなかったものがあるのを感じる。
「それの正体は魔力だよ。生きる源。魔力が全て無くなった場合極度の疲労状態に陥るから気をつけてね。」
「あぁ、この脳に入ってる記憶で読み取ったから大丈夫だ。」
この体になった時から俺の脳内にこの世界の最低限の知識が記憶されているのを感じていた。
この世界の時間や、お金の単位、言語の喋り方などだ。
「……ん?」
「どうしたのユウキ?」
俺はいまこの世界の言語を覚えたわけでここに来た時はずっと日本語だった。
だが、日本語が使えないであろうべシールと会話が成立していたという事態に混乱する。
「あぁ、それなら僕が必死こいて日本語おぼえただけだよ。君と確実に話すことになるのは分かっていたし。」
なんでもなさそうにべシールは言った。
いや、日本語って元の世界でも結構難しめの言語のはずなんだが……。まぁ、それは放って置いとくとして、
「なんで俺はこの世界に呼ばれたんだ?」
疑問に思っていたことをストレートにべシールにぶつける。
「話には順序ってものがあるよ、ユウキ。
まずは僕の部屋に行こう。そこで君を呼んだ理由や君の疑問、それに他にも知っていて欲しいこととかあるからそこで話すよ。動ける?」
「大丈夫だ、もう力がはいるようになった。
というか、前の体よりも力がある気がするんだが……。」
自分の手を眺めながら呟く。
「そりゃそうだよ。今の君の体は魔力を保有している。魔力は保有しているだけで体力や筋力を少し強化してくれるからね。さぁ、行こうか。」
べシールは扉を開き、外に出ようとするが途中で何かを思い出したように立ち止まる。
「そうそう、君の体はここに保管しといた方がいいよね?いらないなら燃やすけど。」
「燃やす!?いやいや、こんな体でも17年間使ってきた体だからな。保管できるのか?」
「問題ないよ、後で僕が保管しとくね。
それじゃいこっか。」
べシールの後を追い部屋を出ていく。
べシールと共に部屋からでて、別の扉の前まで移動した。
「さぁ、ここが僕の部屋だよ。」
「意外と普通の部屋なんだな、こうもっと王座の間みたいな感じですごい広いのを想像してた。」
べシールの部屋はごく一般的な一軒家のリビングぐらいの広さだった。
水道や食べ物などが入っているであろう戸棚、本棚やソファ、少し大きめの机など本当に一般的な家庭のような部屋だった。
机の上にはロウソク立てや、なにかの資料が数枚置かれていた。
「少し散らかってるけどそこの椅子に座って。」
机の上の資料をまとめ、2つのコップとピッチャーを持ってきて注ぎ、片方を俺に渡す。
「コーヒー好きでしょ?君の調査をしてる時に知って準備したんだよ。」
注ぐときに見えた茶色い液体……やっぱりコーヒーだったのか。というか、なんで知ってるのか尋ねようとしたら先回りされた件について
「まぁ、いっか。……うま」
べシールがいれてくれたコーヒーを1口飲むと今まで飲んだどんなコーヒーよりも美味しかった。
苦味と酸味がドンピシャで俺の好みだ。
「ふふ、でしょ?君の好きそうな割合になるように育てたんだよ。しかも、神界産だから、魔力豊富で体にいいんだよ。」
今日何度目になるか分からないドヤ顔をしながらべシールは語る。
「確かにうまいがそろそろ俺はなんでこの世界に呼ばれたのか知りたいぞ。」
「え、あぁそうだったね。じゃあ、まずはなんで君をこの世界に呼んだかを話そう。」
俺の言葉で気持ちを切り替えたのか真面目な顔になるべシール。
「今から15年ほど前に魔王が現れたからだよ。
魔王の出現により、魔物達のステータスの上昇、魔物達の知性の上昇、悪魔達の出現……これらによって人類は今劣勢にたたされている。」
深刻な表情でべシールは語りだす。
「まぁ、こう言ってもこの世界の住民じゃないユウキには理解できなかったこともあると思うから詳しく説明するよ。
まず、人間や魔物にはステータスというものがあるんだ。そして、人間界には魔物という人間を害する存在がいる。その魔物達のステータスが魔王出現前と出現後を比べると明らかに魔物達のステータスが上昇しているんだ。大幅に上昇したってわけじゃないけど、厄介なことに知性も上昇して人間達はいままで勝てていた魔物達に勝てなくなっていったんだ。だから、魔物も討伐されにくくなってどんどん数を増やしていったんだ。小さな村や集落、時には街までも魔物達が連携して襲って落とされていってる。」
目を伏せ、べシールは悔しげに表情を歪め、さらに話を続ける。
「そして、次に悪魔達の出現だ。
体を交換したから脳にこの情報入ってるも思うけど、この世界は神気に溢れ、神々の住まう神界、神界ほどではないけど、上質なマナが豊富で精霊達が住まう精霊界、マナが存在し、人間と魔物が存在する人間界、そこそこの邪気が蔓延り魔物の上位種の悪魔達が存在する魔界、そしてかつて世界を滅ぼしかけた邪神が存在し、邪気に満ちた邪神界の計5つの世界がある。本来どの世界も莫大な魔力を使って1回で使い切りの魔法陣を作り上げないと他の世界にいけないけど、魔王はその魔法陣をいくつも作ることが出来て魔界から悪魔達を呼び出しているんだ。たいていの悪魔はほとんどの魔物より強く、もちろん人間達は悪魔と戦ったことがないから、1体の悪魔を倒すのにもたくさんの人が犠牲になっているんだ。」
「なるほど、こうして聞くとかなり人類は劣勢なんだな。ところで、今少し話にあがった精霊と邪神ってなんだ?」
少し気になるので質問してみる。
「精霊は悪魔の対になる存在だね。人間界に精霊達が行くことが出来れば魔物も倒せるし、悪魔とも対等にわたりあえるんだけど……さっきも言った通りそのためには魔法陣を作らないといけないんだ。
しかも、莫大な魔力を使うくせに1つにつき1体しか送れないときた。人間界に何人か魔法陣を作れる人間がいるけど、魔王は1つの魔法陣につき10体ほど生み出してるんだよね。やばすぎって感じ。
あと、邪神っていうのははるか昔に世界を滅ぼそうとした魔物とか悪魔とか魔王の親玉的な存在だよ。今は封印されているから大丈夫。本当はちゃんと仕留めたいけど、邪気が蔓延る邪神界にいるから近づけないんだよね。」
やれやれといった仕草をするべシール。
ちなみに邪気とは神気の対になる大気的なもので魔物、悪魔、邪神以外の生物の魔法やステータスを低下させるものらしい。しかも、長時間邪神界に人間や精霊がいると、人間は魔物に、精霊は悪魔になるらしい。神は邪神にはならないがやはり魔法やステータスが低下するみたいだ。
これも一般常識なのか脳に記憶されていた。
「そうそう、まだ魔王のいちばん厄介なことを話してなかったね。」
べシールが身を乗り出して俺の目を見ながら語る。
「それは人間達の使徒の適正値を分からなくすることなんだ。」
「……ん?どういうことだ?」
「まだ言っていなかったけど僕以外にも神はいるんだ。まぁ、脳に情報入ってると思うけど。他にも力、守護、癒し、知識、自由の神が存在してそれぞれが自らの力を与えるいわゆる神の使徒を人間達から選ぶんだけど、その時に使徒の適正値っていうものでどの人間が自分の使徒にふさわしいか分かるんだ。ちなみに使徒の適正値って言うのはこういう物ね。」
使徒の適正値
1.人間の魂が自分と相性がいいか
2.人間の魂がどれだけ自分の力を引き出せるか
3.どれほど高揚作用に対して耐性を持っているか
以上の3つの項目で1つ10点満点で評価をし、1が7点以上、2が6点以上、3が3点以上の者が使徒の資格を得る。
1は最重要な項目でもし6点以下の者が力を得た場合は暴走し、死に至る。
2もかなり重要な項目で点数が高いものほど力を扱いこなせ、6点以上でも数値が低いと、100%の力を出せなかったり、力を使うのに制限があったりする。
3の項目はそこそこ重要でこの世界の生物にはステータスが上昇すると高揚作用というものが発生する。この世界は戦う機会が多いため、自分のステータスが上昇すると生き残りやすくなるため本能が喜び、ステータスが上昇した後の数秒間気分が高揚する。そして、神の力を引き出す際には超大幅にステータスが一時的にではあるが上昇するため、高揚のし過ぎで暴走してしまう危険性があるため、ある程度高揚状態になっても気分を落ち着かせられる者が望ましい。
「んで、僕達神は魔王に対抗するために使徒を探そうとしたんだけど、魔王の能力でこの使徒の適正値が見えなくなったんだ。本来なら人間を一目見るだけでわかるのに。だからまだ誰も使徒をえらべてないんだ。ちなみにユウキは僕の使徒だよ。
全部の項目がオール10点だったからね。」
「ごふっ……マジか。」
いきなりの告白に思わず飲んでいたコーヒーでむせる。
「あとで君には僕の力を与えるから楽しみにしててね。とりあえず魔王の妨害によって使徒の適正値が分からないんだけど1つだけ見分ける方法があるんだ。」
「ほう?」
「それは、死んだ者の魂……それを見ること。」
「うん、分かるように説明プリーズ。」
「この神界には死んだ者の魂を一旦置いておく死者の溜まり場って場所があるんだ。そして僕達が魂を浄化させることにより天国へと魂は旅立っていくんだけど、この死者の溜まり場を利用するんだ。
魔王の使徒の適正値の妨害は生きている者にしか効果がない。僕達は魂を見れば使徒の適正値が分かるからその時に確認することが出来るんだ。魔王が出現してからずっと魂を見続けているんだ。」
天国って本当にあるんだなぁと思いつつ、べシールの言葉に耳を傾ける。
「でも、15年も魂を見ているんだろ?しかも、人間は劣勢ってことはかなりの人間が死んでいるはずだ。それでもさっきから話を聞いたところによると誰も使徒を選べていない。まだ使徒の適正値の条件をクリアする者がいないのか?」
俺の質問にべシールは首を振った。
「ううん、何人かはいたさ。でも、みんなで話し合った結果、魔王を倒す確率をできるだけあげるために使徒はユウキみたいにオール10点の者を選ぼうってことになったんだ。そのオール10点の者はまだ見つかってない。」
「気が遠くなりそうだな、ところでなんで俺はオール10点なんだ?しかも死んでいないから魂も見れてないだろうに。」
「それは……ごめん今は言えない。でも、その時がきたらちゃんと言うよ。」
神の機密事項にでも触れたかな、と顔を伏せるべシールを見ながら思い、大丈夫だと言っておく。
「とりあえずは俺の仲間ができるのはまだ先ってことだな。」
「そうだね、君にはとりあえず全員の使徒が揃うまで魔王の元には行かずに自分の強化に務めてもらうことになるね、あと、魔物や悪魔の討伐も。」
「了解した。それで、俺はいつべシールの力を与えられるんだ?」
正直さっきからずっと気になっていたことを告げる。
「そうだね、そろそろ僕の力を与えよう。ステータスや僕の力についても説明しないといけないからね。ちょっと待ってて。」
そう言い、べシールは席をたち、部屋を出ていった。
どれくらい意識を失っていたのか……意識が覚醒する。液体の中だ!
窒息する前にカプセルの上部の蓋を開こうと腕に力を入れようとするが上手くいかない。
「………………!!」
上部からなにか音がする。目を開けながら蓋の方を見ると蓋が開き、べシールが何か言いながら手を差し出した。
未だに液体の中にいるため何を言っているか分からないが、腕にめいいっぱい力をいれて何とかべシールの手を掴む。
「……っ!」
べシールは俺の手を掴むとすごい力で俺をカプセルから引っ張りあげてくれた。
「だ、大丈夫?ほら、これで体を拭いて服を着な。」
心配そうな表情のべシールがタオルと先程俺が着ていた服を差し出す。
「げほっ、げほっ、あり……がとう。」
息を整え、タオルで顔を拭き、体を拭いて服を着る。
「調子はどう?」
「なんとか大丈夫だ。まだ体に力が余りはいらないけどね。」
手をプラプラと揺らしながら俺は言う。
ただ、力がまだはいらない代わりに体の内側になにか温かい前の体にはなかったものがあるのを感じる。
「それの正体は魔力だよ。生きる源。魔力が全て無くなった場合極度の疲労状態に陥るから気をつけてね。」
「あぁ、この脳に入ってる記憶で読み取ったから大丈夫だ。」
この体になった時から俺の脳内にこの世界の最低限の知識が記憶されているのを感じていた。
この世界の時間や、お金の単位、言語の喋り方などだ。
「……ん?」
「どうしたのユウキ?」
俺はいまこの世界の言語を覚えたわけでここに来た時はずっと日本語だった。
だが、日本語が使えないであろうべシールと会話が成立していたという事態に混乱する。
「あぁ、それなら僕が必死こいて日本語おぼえただけだよ。君と確実に話すことになるのは分かっていたし。」
なんでもなさそうにべシールは言った。
いや、日本語って元の世界でも結構難しめの言語のはずなんだが……。まぁ、それは放って置いとくとして、
「なんで俺はこの世界に呼ばれたんだ?」
疑問に思っていたことをストレートにべシールにぶつける。
「話には順序ってものがあるよ、ユウキ。
まずは僕の部屋に行こう。そこで君を呼んだ理由や君の疑問、それに他にも知っていて欲しいこととかあるからそこで話すよ。動ける?」
「大丈夫だ、もう力がはいるようになった。
というか、前の体よりも力がある気がするんだが……。」
自分の手を眺めながら呟く。
「そりゃそうだよ。今の君の体は魔力を保有している。魔力は保有しているだけで体力や筋力を少し強化してくれるからね。さぁ、行こうか。」
べシールは扉を開き、外に出ようとするが途中で何かを思い出したように立ち止まる。
「そうそう、君の体はここに保管しといた方がいいよね?いらないなら燃やすけど。」
「燃やす!?いやいや、こんな体でも17年間使ってきた体だからな。保管できるのか?」
「問題ないよ、後で僕が保管しとくね。
それじゃいこっか。」
べシールの後を追い部屋を出ていく。
べシールと共に部屋からでて、別の扉の前まで移動した。
「さぁ、ここが僕の部屋だよ。」
「意外と普通の部屋なんだな、こうもっと王座の間みたいな感じですごい広いのを想像してた。」
べシールの部屋はごく一般的な一軒家のリビングぐらいの広さだった。
水道や食べ物などが入っているであろう戸棚、本棚やソファ、少し大きめの机など本当に一般的な家庭のような部屋だった。
机の上にはロウソク立てや、なにかの資料が数枚置かれていた。
「少し散らかってるけどそこの椅子に座って。」
机の上の資料をまとめ、2つのコップとピッチャーを持ってきて注ぎ、片方を俺に渡す。
「コーヒー好きでしょ?君の調査をしてる時に知って準備したんだよ。」
注ぐときに見えた茶色い液体……やっぱりコーヒーだったのか。というか、なんで知ってるのか尋ねようとしたら先回りされた件について
「まぁ、いっか。……うま」
べシールがいれてくれたコーヒーを1口飲むと今まで飲んだどんなコーヒーよりも美味しかった。
苦味と酸味がドンピシャで俺の好みだ。
「ふふ、でしょ?君の好きそうな割合になるように育てたんだよ。しかも、神界産だから、魔力豊富で体にいいんだよ。」
今日何度目になるか分からないドヤ顔をしながらべシールは語る。
「確かにうまいがそろそろ俺はなんでこの世界に呼ばれたのか知りたいぞ。」
「え、あぁそうだったね。じゃあ、まずはなんで君をこの世界に呼んだかを話そう。」
俺の言葉で気持ちを切り替えたのか真面目な顔になるべシール。
「今から15年ほど前に魔王が現れたからだよ。
魔王の出現により、魔物達のステータスの上昇、魔物達の知性の上昇、悪魔達の出現……これらによって人類は今劣勢にたたされている。」
深刻な表情でべシールは語りだす。
「まぁ、こう言ってもこの世界の住民じゃないユウキには理解できなかったこともあると思うから詳しく説明するよ。
まず、人間や魔物にはステータスというものがあるんだ。そして、人間界には魔物という人間を害する存在がいる。その魔物達のステータスが魔王出現前と出現後を比べると明らかに魔物達のステータスが上昇しているんだ。大幅に上昇したってわけじゃないけど、厄介なことに知性も上昇して人間達はいままで勝てていた魔物達に勝てなくなっていったんだ。だから、魔物も討伐されにくくなってどんどん数を増やしていったんだ。小さな村や集落、時には街までも魔物達が連携して襲って落とされていってる。」
目を伏せ、べシールは悔しげに表情を歪め、さらに話を続ける。
「そして、次に悪魔達の出現だ。
体を交換したから脳にこの情報入ってるも思うけど、この世界は神気に溢れ、神々の住まう神界、神界ほどではないけど、上質なマナが豊富で精霊達が住まう精霊界、マナが存在し、人間と魔物が存在する人間界、そこそこの邪気が蔓延り魔物の上位種の悪魔達が存在する魔界、そしてかつて世界を滅ぼしかけた邪神が存在し、邪気に満ちた邪神界の計5つの世界がある。本来どの世界も莫大な魔力を使って1回で使い切りの魔法陣を作り上げないと他の世界にいけないけど、魔王はその魔法陣をいくつも作ることが出来て魔界から悪魔達を呼び出しているんだ。たいていの悪魔はほとんどの魔物より強く、もちろん人間達は悪魔と戦ったことがないから、1体の悪魔を倒すのにもたくさんの人が犠牲になっているんだ。」
「なるほど、こうして聞くとかなり人類は劣勢なんだな。ところで、今少し話にあがった精霊と邪神ってなんだ?」
少し気になるので質問してみる。
「精霊は悪魔の対になる存在だね。人間界に精霊達が行くことが出来れば魔物も倒せるし、悪魔とも対等にわたりあえるんだけど……さっきも言った通りそのためには魔法陣を作らないといけないんだ。
しかも、莫大な魔力を使うくせに1つにつき1体しか送れないときた。人間界に何人か魔法陣を作れる人間がいるけど、魔王は1つの魔法陣につき10体ほど生み出してるんだよね。やばすぎって感じ。
あと、邪神っていうのははるか昔に世界を滅ぼそうとした魔物とか悪魔とか魔王の親玉的な存在だよ。今は封印されているから大丈夫。本当はちゃんと仕留めたいけど、邪気が蔓延る邪神界にいるから近づけないんだよね。」
やれやれといった仕草をするべシール。
ちなみに邪気とは神気の対になる大気的なもので魔物、悪魔、邪神以外の生物の魔法やステータスを低下させるものらしい。しかも、長時間邪神界に人間や精霊がいると、人間は魔物に、精霊は悪魔になるらしい。神は邪神にはならないがやはり魔法やステータスが低下するみたいだ。
これも一般常識なのか脳に記憶されていた。
「そうそう、まだ魔王のいちばん厄介なことを話してなかったね。」
べシールが身を乗り出して俺の目を見ながら語る。
「それは人間達の使徒の適正値を分からなくすることなんだ。」
「……ん?どういうことだ?」
「まだ言っていなかったけど僕以外にも神はいるんだ。まぁ、脳に情報入ってると思うけど。他にも力、守護、癒し、知識、自由の神が存在してそれぞれが自らの力を与えるいわゆる神の使徒を人間達から選ぶんだけど、その時に使徒の適正値っていうものでどの人間が自分の使徒にふさわしいか分かるんだ。ちなみに使徒の適正値って言うのはこういう物ね。」
使徒の適正値
1.人間の魂が自分と相性がいいか
2.人間の魂がどれだけ自分の力を引き出せるか
3.どれほど高揚作用に対して耐性を持っているか
以上の3つの項目で1つ10点満点で評価をし、1が7点以上、2が6点以上、3が3点以上の者が使徒の資格を得る。
1は最重要な項目でもし6点以下の者が力を得た場合は暴走し、死に至る。
2もかなり重要な項目で点数が高いものほど力を扱いこなせ、6点以上でも数値が低いと、100%の力を出せなかったり、力を使うのに制限があったりする。
3の項目はそこそこ重要でこの世界の生物にはステータスが上昇すると高揚作用というものが発生する。この世界は戦う機会が多いため、自分のステータスが上昇すると生き残りやすくなるため本能が喜び、ステータスが上昇した後の数秒間気分が高揚する。そして、神の力を引き出す際には超大幅にステータスが一時的にではあるが上昇するため、高揚のし過ぎで暴走してしまう危険性があるため、ある程度高揚状態になっても気分を落ち着かせられる者が望ましい。
「んで、僕達神は魔王に対抗するために使徒を探そうとしたんだけど、魔王の能力でこの使徒の適正値が見えなくなったんだ。本来なら人間を一目見るだけでわかるのに。だからまだ誰も使徒をえらべてないんだ。ちなみにユウキは僕の使徒だよ。
全部の項目がオール10点だったからね。」
「ごふっ……マジか。」
いきなりの告白に思わず飲んでいたコーヒーでむせる。
「あとで君には僕の力を与えるから楽しみにしててね。とりあえず魔王の妨害によって使徒の適正値が分からないんだけど1つだけ見分ける方法があるんだ。」
「ほう?」
「それは、死んだ者の魂……それを見ること。」
「うん、分かるように説明プリーズ。」
「この神界には死んだ者の魂を一旦置いておく死者の溜まり場って場所があるんだ。そして僕達が魂を浄化させることにより天国へと魂は旅立っていくんだけど、この死者の溜まり場を利用するんだ。
魔王の使徒の適正値の妨害は生きている者にしか効果がない。僕達は魂を見れば使徒の適正値が分かるからその時に確認することが出来るんだ。魔王が出現してからずっと魂を見続けているんだ。」
天国って本当にあるんだなぁと思いつつ、べシールの言葉に耳を傾ける。
「でも、15年も魂を見ているんだろ?しかも、人間は劣勢ってことはかなりの人間が死んでいるはずだ。それでもさっきから話を聞いたところによると誰も使徒を選べていない。まだ使徒の適正値の条件をクリアする者がいないのか?」
俺の質問にべシールは首を振った。
「ううん、何人かはいたさ。でも、みんなで話し合った結果、魔王を倒す確率をできるだけあげるために使徒はユウキみたいにオール10点の者を選ぼうってことになったんだ。そのオール10点の者はまだ見つかってない。」
「気が遠くなりそうだな、ところでなんで俺はオール10点なんだ?しかも死んでいないから魂も見れてないだろうに。」
「それは……ごめん今は言えない。でも、その時がきたらちゃんと言うよ。」
神の機密事項にでも触れたかな、と顔を伏せるべシールを見ながら思い、大丈夫だと言っておく。
「とりあえずは俺の仲間ができるのはまだ先ってことだな。」
「そうだね、君にはとりあえず全員の使徒が揃うまで魔王の元には行かずに自分の強化に務めてもらうことになるね、あと、魔物や悪魔の討伐も。」
「了解した。それで、俺はいつべシールの力を与えられるんだ?」
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