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2章 ビギシティと出会い
出会い
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「待て待て待て待て、誰かヘルプミー!!!」
拝啓、天国にいるであろうお父様お母さまへ
あなた方の息子は異世界で死にそうでございます。
もしよろしければ天国で見守るだけではなくお助け願いたくございます!!!
「あっぶねぇぇ!?いますぐそこでガチンっていった!?」
俺はパニックになりながら全力で走っていた。
なんでかって?真後ろに3体のグレイウルフ(Eランク)に噛み殺されそうになっているからです。
「何でこうなったァァァ!!」
全速力で走りながら俺は大声で叫んだ。
10分前
「うーん、やっぱりまだこのくらいじゃステータス上がらないな。」
スライムとゴブリンを2匹倒した後、さらにゴブリンを2体倒した後にステータスを確認した。
ステータスが低いからその分上がりやすいはずだが、まだ足りないのか少しもステータスが上がっていなかった。
「まあ、そんな急がなくても戦闘すれば自然と上がるだろうし地道に上げていくか。……ん?」
そう思って前を向き進もうとすると木の影ですやすやと眠っているグレイウルフがいた。グレイウルフとはその名の通り灰色の毛並みをした大型犬ほどの大きさの狼だ。
ちなみにあの戦闘から結構歩き、ほぼ何も無かった平原だったところから、少し前に見つけた森の入り口に足を踏み入れ、現在は森のなかに景色は移り変わっていた。
「グレイウルフ……たしかEランクの魔物だよな。
しかも寝てる。もしかしたらこいつを倒せばステータスが上がるかも?」
なるべく足音を立てずに近くへと移動する。あと、グレイウルフまで3mという所で木に隠れ、観察する。
自分と同じEランク、強い魔物を倒すほどステータスも上がりやすい。
先程まで地道に上げていくかと思っていたが、目の前のグレイウルフを見て倒そうか思考する。
(まず間違えなく俺の今使える魔法で一撃で倒せない。ゴブリンの時みたいに頭狙ってゼロ距離で魔法を使っても2発はかかるだろうし。うーん、安全に倒すにはどうすればいい?)
自分の使える魔法を見直し、そして気づく。
(『エレキバインド』……初級雷属性魔法の雷を纏った縄を生み出し相手を拘束する魔法。真・無属性のせいで雷属性の性質、魔法の制御が他の属性よりやりやすいというメリットを失っているが、相手は寝ているため間違いなく命中させられる。これなら、グレイウルフを拘束できるから一方的に攻撃できるな。)
「〈拘束せし荒縄よ・雷纏……〉」
ニヤリと笑い、右手をグレイウルフに向け小声で『エレキバインド』の詠唱を開始する……が、魔力が高まりあと少しで魔法が完成というところでグレイウルフの耳がピクリと動き、目を覚まし俺と目が合う。
「…………。」
「…………。」
訪れる一瞬の静寂。あと少しだったのになぁと思いながら俺は呟く。
「なんでやねん。」
「ガウガウ!!」
素早く回れ右をして俺は逃走を開始した。
ガウガウ言いながらすぐ後ろをグレイウルフは追ってくる。
そして3分程全力疾走し、途中でグレイウルフが遠吠えして仲間を呼びさらに全速力で俺は逃げ冒頭に続く。
「はぁはぁはぁ……。」
全速力で逃げ続け、15分程経過する。
たった15分でもかなり長い時間逃げていたと錯覚しそうだ。
グレイウルフ達はまだ俺を追いかけてくる。
魔法を使って攻撃すればいいと思うかもしれないが、魔法は集中力も大事だ。
こんな息切れて、グレイウルフに追われてパニック状態の今俺には意識を集中させて魔法を使うことが出来ない。というか暴発する。
魔法制御力のステータスが上がればこんな状態でも魔法を使えるらしいが、俺の今の魔法制御力のステータスはE。めちゃくちゃ低いということもなく、慣れてればこんな状態でも魔法を使える者もいるかもしれないが、俺はこの世界に来たばっかでこんな状態は初めてだ。絶対暴発する。
べシールから与えられた神気解放を使いたいが、まだ試運転もしていないし、なにより3分経ったらステータスが半減してしまう。そんな状態じゃビギシティにたどり着くまでに魔物にやられるだろうから神気解放は最後の手段だ。
だから逃走するしかないのだが、グレイウルフは体力もあり、足も人間以上に速いためさっきから追いつかれそうになっている。
追いつかれていないのは木々の狭い隙間や日の当たらない目立たない場所を主に逃走ルートに使用しているからだろう。
「やっばいなぁ!?」
目の前を見ながら走っていると数十メートル先から木がほとんど無くなっている。
「また、平原か?というか平原だったら隠れる場所ないんですけど!」
そう言いながら走って数秒で平原へと足を踏み入れる。
「「「ガウガウ!!」」」
木のような障害物も隠れられるような場所も無いためすぐにグレイウルフとの距離が縮まってしまう。
「うわっ!?」
背中に痛みと衝撃。俺はバランスを崩して転んでしまう。
どうやら1体のグレイウルフが追いつき俺の背中に体当たりをしたようだ。
転んだ状態のまま後ろを振り返るとヨダレを垂らしながら近づいてくるグレイウルフが3体。
「ガウ!!」
「っ!!」
1体のグレイウルフが飛びかかってくる。反射的に両腕で顔をガードするが意味がない。
(ここで終わりか。)
そう思いながら目を瞑る。
「ギャン!?」
グレイウルフの悲鳴が俺のすぐ側で地面を伝い、衝撃が走る。響き目を開くと1体のグレイウルフが死んではいないがピクピクと体を痙攣しながら倒れ、2体のグレイウルフが俺の後ろを見ながら唸っていた。
「大丈夫ですか!?早くこっちに〈小さき炎の灯火よ・我が手に宿りて・火球となれ〉!」
振り返ると金髪ショートの150cm程度の女の子が魔力の籠った両手を前に俺を見て叫んだ。
「わ、分かった!」
女の子が魔法……『ファイア』を2体のグレイウルフへと放ち、2体のグレイウルフが『ファイア』を避け、完全に俺から意識を逸らしたタイミングで体を起こし女の子の元へと駆け寄る。
女の子が援護してくれること、グレイウルフの意識が俺から外れたことで少し冷静さを保つことができ、移動の間に集中して『エレキバインド』を詠唱する。
「くらえ!」
詠唱が完了し、振り返りながらグレイウルフに右手を向ける。ビリビリと音を立てる縄が出現し1体のグレイウルフに向かって飛んでいく。
「ギャン!?」
避けるよりも『エレキバインド』の方が速く、もう1体のグレイウルフに接触すると同時に縄が巻きつき、『エレキバインド』に捕まる。
「グルルル……。」
最後の1体は行動不能になった2体のグレイウルフをちらりと見るが、不利なのを理解したのか、来た道を走って逃げていった。
「逃げたか。」
ほっと一息付き、痺れている2体のグレイウルフを見る。
「とりあえずトドメを差しましょう。私の『エレキバインド』もあまり長くは持たないので。
〈小さき炎の灯火よ・我が手に宿りて・火球となれ〉」
「あぁ、〈小さき火種よ・火球となれ〉」
2人で未だに動けないグレイウルフ2体の頭に向かって『ファイア』を放つ。それでもまだ生きているためもう一発放ちようやく仕留めることに成功する。
「……ん?」
グレイウルフを倒した瞬間、ほんの僅かにだが謎の高揚感が湧き上がる。
グレイウルフを2体も倒したことでステータスが上がったのだろう。
ステータスの確認の前に女の子に向き直る。
「ありがとう、君のお陰で助かったよ。」
「いえ、たまたま近くを通りかかって良かったです。追われてるのを見た時はびっくりしましたよ。」
笑顔を浮かべる。
そんな女の子を見てつい可愛いなと思ってしまった。さっきは戦闘に夢中になっていたが、女の子今見てみるとかなりの美少女だ。
150cmほどの小柄で童顔なこともあり、庇護欲をくすぐられる。
「あ、自己紹介忘れてましたね。リーフ・クレインと言います。年齢は16で一応冒険者をしていてFランクの魔法使いです。少し離れたところにあるミラン村に住んでます。」
ぺこりと頭を下げるリーフ。それに習って俺も自己紹介しよう。
「俺はユウキ・ツキモトだ。まだ冒険者じゃないが一応Eランクの魔法使いだ。年齢は17だな。呼び方は任せるよ。」
日本出身と言う訳にも行かないので名前とランク、年齢だけ言う。
「分かりました、じゃあユウキさんで。私はリーフでいいですよ。
ところでユウキさんはどうしてこんな所に?」
「ビギシティに行きたくてな。途中まで人に送って貰ったんだが少し前に別れて歩きで行くことになってな。」
正確には人じゃないけどなと心の中で呟く。
「なるほど、それでビギシティを目指していたらグレイウルフに襲われたんですね。」
「そういうことだ。リーフはここからビギシティはどのくらいの場所にあるか分かるか?」
「はい、というか結構ここビギシティの近くですよ。10分も歩けば着きます。私もビギシティに行くので良かったら一緒に行きませんか?」
「それは助かるな。魔力も結構減ってるし1人だとちょっときついからな。」
この世界に来て1時間もしないうちにスライムにゴブリン、そしてグレイウルフを相手にした。魔力は自然回復するとはいえ俺の魔力回復速度は魔法制御力と同じE。いくら魔力の消費の少ない初級魔法しか使ってないとはいえ魔力を使いすぎた。それに体力も。
「魔力が減ってるのならこれを使ってください。」
リーフがポケットから透き通った薄紫色の小さな石を取り出す。
「魔石……いいのか?」
リーフが取り出したのは魔石だった。魔石とは石にほんの僅かに魔力を込めると、ヒビがはいり力を込めて砕くとその石の中に入っている魔力を取り込めるというものだ。
魔石から取り込んだ魔力を使う際には自分の魔法制御力が1段階低下し、使用する魔法の効果も1段階低下する。この効果を無くすには魔石から取り込んだ魔力を使い切らないといけない。それでも魔力が無くなった時は頼りにできる道具で一般的に様々な種類の魔石が販売してある。
この色からすると中級魔石だな。そこそこの魔力を回復してくれるが、まあまあ高めのお値段だ。
「それ、中級魔石だろ?いいのかそんな高いのを使って。」
「大丈夫です。お小遣い貯めてるしまだ他に魔石も残ってるので。さぁ、どうぞ。」
そう言って俺の手に中級魔石を置くリーフ。
「ありがたく使わせてもらうよ。けど、この借りは必ず返す。なにか困ったことがあったら言ってくれ。」
「ふふ、分かりました。その時は頼りにしてますね?」
魔石に魔力を込め、ヒビが入ったのを確認し力を込める。
すると、魔石の中に入っていた魔力が体の中に入ってくる。
(おぉ、すごい。魔力が回復した。)
今の俺の最大魔力量の5分の3ほど回復する。
「さぁ、ビギシティに行きましょう!」
魔力が回復したことを確認した俺はリーフとともにビギシティへと歩を進めた。
(そう言えばステータスが上がったんだよな。確認しておくか。)
ユウキ・ツキモト (17)
魔法使い 得意属性【無】
魔法攻撃力 F+
魔法防御力 F-
魔法回復力 F+
魔法制御力 E+
魔力回復速度 E
魔力量 D+
Eランク
スキル欄(3)
スキル
EXスキル
無の加護(真・無属性)
器の欠片(2)
器の加護
マジックシェア
今回使用した魔法
エレキバインド 雷属性初級魔法
拘束力 F+
魔法制御力 G+
消費魔力量 F
射程 F+
魔法発動速度 F
効果
雷を纏った太い縄を生み出し対象を拘束する魔法。
詠唱
痺れを纏いし太き縄よ・我望むものを・縛りあげよ
エレキバインド 初級魔法 無属性ver
拘束力 F
魔法制御力 G
消費魔力量 F+
射程 F
魔法発動速度 F
詠唱
拘束せし荒縄よ・雷纏え
拝啓、天国にいるであろうお父様お母さまへ
あなた方の息子は異世界で死にそうでございます。
もしよろしければ天国で見守るだけではなくお助け願いたくございます!!!
「あっぶねぇぇ!?いますぐそこでガチンっていった!?」
俺はパニックになりながら全力で走っていた。
なんでかって?真後ろに3体のグレイウルフ(Eランク)に噛み殺されそうになっているからです。
「何でこうなったァァァ!!」
全速力で走りながら俺は大声で叫んだ。
10分前
「うーん、やっぱりまだこのくらいじゃステータス上がらないな。」
スライムとゴブリンを2匹倒した後、さらにゴブリンを2体倒した後にステータスを確認した。
ステータスが低いからその分上がりやすいはずだが、まだ足りないのか少しもステータスが上がっていなかった。
「まあ、そんな急がなくても戦闘すれば自然と上がるだろうし地道に上げていくか。……ん?」
そう思って前を向き進もうとすると木の影ですやすやと眠っているグレイウルフがいた。グレイウルフとはその名の通り灰色の毛並みをした大型犬ほどの大きさの狼だ。
ちなみにあの戦闘から結構歩き、ほぼ何も無かった平原だったところから、少し前に見つけた森の入り口に足を踏み入れ、現在は森のなかに景色は移り変わっていた。
「グレイウルフ……たしかEランクの魔物だよな。
しかも寝てる。もしかしたらこいつを倒せばステータスが上がるかも?」
なるべく足音を立てずに近くへと移動する。あと、グレイウルフまで3mという所で木に隠れ、観察する。
自分と同じEランク、強い魔物を倒すほどステータスも上がりやすい。
先程まで地道に上げていくかと思っていたが、目の前のグレイウルフを見て倒そうか思考する。
(まず間違えなく俺の今使える魔法で一撃で倒せない。ゴブリンの時みたいに頭狙ってゼロ距離で魔法を使っても2発はかかるだろうし。うーん、安全に倒すにはどうすればいい?)
自分の使える魔法を見直し、そして気づく。
(『エレキバインド』……初級雷属性魔法の雷を纏った縄を生み出し相手を拘束する魔法。真・無属性のせいで雷属性の性質、魔法の制御が他の属性よりやりやすいというメリットを失っているが、相手は寝ているため間違いなく命中させられる。これなら、グレイウルフを拘束できるから一方的に攻撃できるな。)
「〈拘束せし荒縄よ・雷纏……〉」
ニヤリと笑い、右手をグレイウルフに向け小声で『エレキバインド』の詠唱を開始する……が、魔力が高まりあと少しで魔法が完成というところでグレイウルフの耳がピクリと動き、目を覚まし俺と目が合う。
「…………。」
「…………。」
訪れる一瞬の静寂。あと少しだったのになぁと思いながら俺は呟く。
「なんでやねん。」
「ガウガウ!!」
素早く回れ右をして俺は逃走を開始した。
ガウガウ言いながらすぐ後ろをグレイウルフは追ってくる。
そして3分程全力疾走し、途中でグレイウルフが遠吠えして仲間を呼びさらに全速力で俺は逃げ冒頭に続く。
「はぁはぁはぁ……。」
全速力で逃げ続け、15分程経過する。
たった15分でもかなり長い時間逃げていたと錯覚しそうだ。
グレイウルフ達はまだ俺を追いかけてくる。
魔法を使って攻撃すればいいと思うかもしれないが、魔法は集中力も大事だ。
こんな息切れて、グレイウルフに追われてパニック状態の今俺には意識を集中させて魔法を使うことが出来ない。というか暴発する。
魔法制御力のステータスが上がればこんな状態でも魔法を使えるらしいが、俺の今の魔法制御力のステータスはE。めちゃくちゃ低いということもなく、慣れてればこんな状態でも魔法を使える者もいるかもしれないが、俺はこの世界に来たばっかでこんな状態は初めてだ。絶対暴発する。
べシールから与えられた神気解放を使いたいが、まだ試運転もしていないし、なにより3分経ったらステータスが半減してしまう。そんな状態じゃビギシティにたどり着くまでに魔物にやられるだろうから神気解放は最後の手段だ。
だから逃走するしかないのだが、グレイウルフは体力もあり、足も人間以上に速いためさっきから追いつかれそうになっている。
追いつかれていないのは木々の狭い隙間や日の当たらない目立たない場所を主に逃走ルートに使用しているからだろう。
「やっばいなぁ!?」
目の前を見ながら走っていると数十メートル先から木がほとんど無くなっている。
「また、平原か?というか平原だったら隠れる場所ないんですけど!」
そう言いながら走って数秒で平原へと足を踏み入れる。
「「「ガウガウ!!」」」
木のような障害物も隠れられるような場所も無いためすぐにグレイウルフとの距離が縮まってしまう。
「うわっ!?」
背中に痛みと衝撃。俺はバランスを崩して転んでしまう。
どうやら1体のグレイウルフが追いつき俺の背中に体当たりをしたようだ。
転んだ状態のまま後ろを振り返るとヨダレを垂らしながら近づいてくるグレイウルフが3体。
「ガウ!!」
「っ!!」
1体のグレイウルフが飛びかかってくる。反射的に両腕で顔をガードするが意味がない。
(ここで終わりか。)
そう思いながら目を瞑る。
「ギャン!?」
グレイウルフの悲鳴が俺のすぐ側で地面を伝い、衝撃が走る。響き目を開くと1体のグレイウルフが死んではいないがピクピクと体を痙攣しながら倒れ、2体のグレイウルフが俺の後ろを見ながら唸っていた。
「大丈夫ですか!?早くこっちに〈小さき炎の灯火よ・我が手に宿りて・火球となれ〉!」
振り返ると金髪ショートの150cm程度の女の子が魔力の籠った両手を前に俺を見て叫んだ。
「わ、分かった!」
女の子が魔法……『ファイア』を2体のグレイウルフへと放ち、2体のグレイウルフが『ファイア』を避け、完全に俺から意識を逸らしたタイミングで体を起こし女の子の元へと駆け寄る。
女の子が援護してくれること、グレイウルフの意識が俺から外れたことで少し冷静さを保つことができ、移動の間に集中して『エレキバインド』を詠唱する。
「くらえ!」
詠唱が完了し、振り返りながらグレイウルフに右手を向ける。ビリビリと音を立てる縄が出現し1体のグレイウルフに向かって飛んでいく。
「ギャン!?」
避けるよりも『エレキバインド』の方が速く、もう1体のグレイウルフに接触すると同時に縄が巻きつき、『エレキバインド』に捕まる。
「グルルル……。」
最後の1体は行動不能になった2体のグレイウルフをちらりと見るが、不利なのを理解したのか、来た道を走って逃げていった。
「逃げたか。」
ほっと一息付き、痺れている2体のグレイウルフを見る。
「とりあえずトドメを差しましょう。私の『エレキバインド』もあまり長くは持たないので。
〈小さき炎の灯火よ・我が手に宿りて・火球となれ〉」
「あぁ、〈小さき火種よ・火球となれ〉」
2人で未だに動けないグレイウルフ2体の頭に向かって『ファイア』を放つ。それでもまだ生きているためもう一発放ちようやく仕留めることに成功する。
「……ん?」
グレイウルフを倒した瞬間、ほんの僅かにだが謎の高揚感が湧き上がる。
グレイウルフを2体も倒したことでステータスが上がったのだろう。
ステータスの確認の前に女の子に向き直る。
「ありがとう、君のお陰で助かったよ。」
「いえ、たまたま近くを通りかかって良かったです。追われてるのを見た時はびっくりしましたよ。」
笑顔を浮かべる。
そんな女の子を見てつい可愛いなと思ってしまった。さっきは戦闘に夢中になっていたが、女の子今見てみるとかなりの美少女だ。
150cmほどの小柄で童顔なこともあり、庇護欲をくすぐられる。
「あ、自己紹介忘れてましたね。リーフ・クレインと言います。年齢は16で一応冒険者をしていてFランクの魔法使いです。少し離れたところにあるミラン村に住んでます。」
ぺこりと頭を下げるリーフ。それに習って俺も自己紹介しよう。
「俺はユウキ・ツキモトだ。まだ冒険者じゃないが一応Eランクの魔法使いだ。年齢は17だな。呼び方は任せるよ。」
日本出身と言う訳にも行かないので名前とランク、年齢だけ言う。
「分かりました、じゃあユウキさんで。私はリーフでいいですよ。
ところでユウキさんはどうしてこんな所に?」
「ビギシティに行きたくてな。途中まで人に送って貰ったんだが少し前に別れて歩きで行くことになってな。」
正確には人じゃないけどなと心の中で呟く。
「なるほど、それでビギシティを目指していたらグレイウルフに襲われたんですね。」
「そういうことだ。リーフはここからビギシティはどのくらいの場所にあるか分かるか?」
「はい、というか結構ここビギシティの近くですよ。10分も歩けば着きます。私もビギシティに行くので良かったら一緒に行きませんか?」
「それは助かるな。魔力も結構減ってるし1人だとちょっときついからな。」
この世界に来て1時間もしないうちにスライムにゴブリン、そしてグレイウルフを相手にした。魔力は自然回復するとはいえ俺の魔力回復速度は魔法制御力と同じE。いくら魔力の消費の少ない初級魔法しか使ってないとはいえ魔力を使いすぎた。それに体力も。
「魔力が減ってるのならこれを使ってください。」
リーフがポケットから透き通った薄紫色の小さな石を取り出す。
「魔石……いいのか?」
リーフが取り出したのは魔石だった。魔石とは石にほんの僅かに魔力を込めると、ヒビがはいり力を込めて砕くとその石の中に入っている魔力を取り込めるというものだ。
魔石から取り込んだ魔力を使う際には自分の魔法制御力が1段階低下し、使用する魔法の効果も1段階低下する。この効果を無くすには魔石から取り込んだ魔力を使い切らないといけない。それでも魔力が無くなった時は頼りにできる道具で一般的に様々な種類の魔石が販売してある。
この色からすると中級魔石だな。そこそこの魔力を回復してくれるが、まあまあ高めのお値段だ。
「それ、中級魔石だろ?いいのかそんな高いのを使って。」
「大丈夫です。お小遣い貯めてるしまだ他に魔石も残ってるので。さぁ、どうぞ。」
そう言って俺の手に中級魔石を置くリーフ。
「ありがたく使わせてもらうよ。けど、この借りは必ず返す。なにか困ったことがあったら言ってくれ。」
「ふふ、分かりました。その時は頼りにしてますね?」
魔石に魔力を込め、ヒビが入ったのを確認し力を込める。
すると、魔石の中に入っていた魔力が体の中に入ってくる。
(おぉ、すごい。魔力が回復した。)
今の俺の最大魔力量の5分の3ほど回復する。
「さぁ、ビギシティに行きましょう!」
魔力が回復したことを確認した俺はリーフとともにビギシティへと歩を進めた。
(そう言えばステータスが上がったんだよな。確認しておくか。)
ユウキ・ツキモト (17)
魔法使い 得意属性【無】
魔法攻撃力 F+
魔法防御力 F-
魔法回復力 F+
魔法制御力 E+
魔力回復速度 E
魔力量 D+
Eランク
スキル欄(3)
スキル
EXスキル
無の加護(真・無属性)
器の欠片(2)
器の加護
マジックシェア
今回使用した魔法
エレキバインド 雷属性初級魔法
拘束力 F+
魔法制御力 G+
消費魔力量 F
射程 F+
魔法発動速度 F
効果
雷を纏った太い縄を生み出し対象を拘束する魔法。
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痺れを纏いし太き縄よ・我望むものを・縛りあげよ
エレキバインド 初級魔法 無属性ver
拘束力 F
魔法制御力 G
消費魔力量 F+
射程 F
魔法発動速度 F
詠唱
拘束せし荒縄よ・雷纏え
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「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
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昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
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