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2章 ビギシティと出会い
友達
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「リーフ大丈夫か?」
さっきからなにか様子がおかしいリーフに近づき、声をかける。リーフは顔を伏せているため、表情が分からないが拳を握りしめているところを見ると、にこにこと笑っているわけじゃないだろう。
「どうして……ユウキさんはここに来たんですか……?」
顔を俯かせたまま静かにリーフは俺に聞いてくる。
「あぁ、それはギルドマスターが調査隊から情報を得たんだ。内容はミラン村が大量のヒューデットに襲われてること、そしてリーフとアレン、リーパーが生きていて洞窟に籠ったこと。それで俺はリーフを助けにウェルメンに乗ってきたんだ。ウェルメンはあの馬の名前でギルドマスターの馬だな。Sランクの魔獣で頭もいいからと言って貸してくれたんだ。」
「……そうなんですね。私を……助けに……」
「そういえばアレンとリーパーは……」
そこまで行って俺は口を手で抑える。普通大量のヒューデットを相手にするなら3人で纏まるだろう。だけど、リーフを見つけた時いたのはリーフただ1人。それだけでアレンとリーパーの2人がいない理由が簡単に判明する。
「2人とも……亡くなりました。」
顔を上げながらリーフはそう口にした。リーフの瞳からぽつりと涙がこぼれ落ちる。
「私のせいで……私が弱かったから、リーパーさんも、アレンさんも死んだんです。」
「それは……仕方ないだろ。大量のヒューデットにあの悪魔もいた。たった3人で犠牲なしで勝てる相手じゃない。」
「でも私は、2人が亡くなった後、神様から力を貰ったんです、あの悪魔を倒せる力を!……なのに、せっかくもらった力もろくに使いこなせずに、自分は死にかけて……そのせいでユウキさんにまで迷惑をかけて……もう、消えてしまいたい。」
そう言うと俺が『マジックショット』で弾き飛ばした短剣を取ろうと、よろよろと歩き出す。
神様から貰った力とやらが気になるが今はそれよりもリーフを止めるのが先だ。
「リーフ待て!」
リーフに追いつき肩を掴んで止める。振り払う気力もないのかあっさりとリーフは足を止め振り返って俺を見つめる。
「っ……」
リーフは濁りきった生きる気力の欠片も感じない瞳をしていた。
「どうしてあなたは私を止めるんですか、誰も助けることも出来ない私なんか……もう生きていなくていいですよね、両親も目の前で殺されて、もう……生きなくないんです、死にたいんです、ははは私なんて死んじゃえばいいんだ」
もはや目の焦点すら合っておらず、最後には不気味にリーフは笑う。
「誰も助けられなかったから死なないといけないなんてことは無い!お前は生きていいんだ、いや……生きないとダメなんだ!村の奴らは、両親はお前に死んでくれなんて言ったか?言ってないだろ!」
肩をやや強く揺さぶり、リーフの瞳がほんの少しだけ光を灯したのを見て俺は言った。
「でも……でもっ!皆が死ぬなって言っても!私は……あんな地獄で……精神をガリガリって削りながら、顔も名前も知ってる皆を殺して……あの悪魔を倒して仇を打つって言ったのに……倒せなくて……約束を……守れな……かった」
視線があちこちさまよい、だんだん声量が落ちていき、最後に俺の目と合うが、膝から崩れ落ちて声も裏返り涙を流す。
「なら……また、やればいい。」
「え?」
俺の言葉にリーフは涙を流しながらも顔を上げる。
「またフロウアに出会ったらその時に村の奴らの仇をとってやればいい。」
「どうやってまた出会うんですか、どうやって倒すんですか!」
そんな簡単に言うなと言わんばかりに、リーフはせっかくの可愛らしい顔を怒りで歪ませる。
「さっき退治した時に分かったが、あいつの討伐は俺の目的と一致する。」
「目的?」
「初めてリーフと出会った時、リーフはどうしてこんな所にいるのかって聞いただろ?俺はその時人に送って貰ったと言ったが……その人に依頼を受けたんだ。そして、その以来の内容は――」
「あの悪魔……フロウアの討伐……ですか?」
「そうだ。まぁ、フロウアを倒すのはその依頼を完遂する一部だがな。」
べシールから頼まれた神の欠片の収集。フロウアはそれを持っていてEXスキルを強化したと言っていた。なら、他にもいるかもしれない悪魔達ももしかしたら別の神の欠片を持っているかもしれない。
「俺もフロウアの捜索、それに討伐をする。2人でやればあいつにも勝てるさ。」
俺はリーフにそう言いながら、手を差し出した。
「でも……私は神様から貰った力でステータスも下がってしまって、もうフロウアを倒すことなんて……」
「なら、俺と一緒にクエストでもしながらランクをあげればいいだろ。今までみたいにさ。」
「……私なんて……一緒にいたところで役立たずですよ?」
「リーフの強さは知ってる、いまランクが下がっていたとしてもまたリーフは強くなるって。それにな……」
今から言おうとしていることに少し恥ずかしくなり、目の前のリーフから視線を逸らす。リーフはきょとんと首を傾げ俺の言葉を待っている。俺が言わないとリーフは納得しないだろうから恥ずかしいのを耐えてこう言った。
「俺達友達だろ?友達が困ってる時助けたいって思うのは変か?」
その言葉にリーフは一瞬ぽかーんとした顔をして
「ふ、ふふ、あははっ!」
口に手を当て笑い始めた。
「ちょ、なんで笑うんだよ。」
「だって、ふふっ、ユウキさんがそんなことを言うイメージがなくて、ははっ!」
やっぱり言うんじゃなかったか?いや、でも久しぶりに笑ったリーフを見た気がする。……やっぱり言ってよかったかもな。
リーフは笑ったあと、俺の手を取り立ち上がった。
「そうですよね、私達友達ですもんね。困った時は……頼っていいんですよね。」
「あぁ。まぁ俺が頼ることになるかもしれないけど。」
「お互いに頼りあうとしましょう。さて、とりあえずこの現状をガローギルドマスターに伝えないといけませんね。」
気持ちを切り替えたのか、真剣な表情でリーフはそう言うがそれよりも――
「いや、それは後だ。ウェルメン……あの馬が休んでる間に俺達も休んで、それから食料とかを少し積んでからここを出ることにしよう。」
「食料……?」
「村の人には悪いが、食べられるものと飲み物を拝借しよう。」
「……そうですね。」
2人とも寝たはいいが、疲れが残っている。それにここに来る時はウェルメンを全力で走らせ休憩もほとんど取らせていなかった。だが、帰りは慎重に帰らないといけない。俺は神気解放でランクが3日間低下し、リーフもどうやらランクが下がっているらしいから頼れる戦力はウェルメンしかいない。途中で休憩もするからリーフには盗みを働くようで悪いが食料と飲み物を拝借しないといけない。
「ふー、帰りも無事に帰れるといいけどな。とりあえず休もう。」
「あ、なら私の家が近くにあります。そこで休みましょう。」
そう言ってリーフは周りにある家の1つに向かっていき、その中に入って行った。俺もリーフに続いて家の中に入る。
家の中は簡素な作りになっていて、リビングと寝室、それといくつかの部屋があるくらいで、見たところヒューデットによって荒らされた形跡はなかった。俺はリビングで椅子に座り、リーフは戸棚からパンと水道で水を汲んで、自分の分を机に置き、もう片方を俺に差し出してきた。
「すぐに食べれるものだとこんなものしかありませんけど……どうぞ。私はちょっと水を浴びてきますね。」
「ありがとう、十分だよ。」
血まみれの服を見てリーフはそう言った。申し訳なさそうにするリーフの頭を撫で、俺は気にせずにパンを口に運んだ。それを見てリーフはその場を離れる。
特に味は無く、ジャムなんてものもないがありがたくリーフから貰ったパンをもそもそと食べる。お腹がすいていたのもあってすぐにパンはなくなってしまった。
そして20分ほど経ち、リーフは水でも浴びてきたのか髪を少し濡らし、白いシャツと紺色のスカートを着て戻ってきた。
「すいません結構時間かかっちゃいました。血を落とすのが大変で……ユウキさんも水浴びしますか?」
「いいのか?」
「はい、大丈夫ですよ。着替えは……私の父のものがありますけど準備しておきましょうか?」
「あぁ、ありがとう。」
俺も血まみれになっているため、リーフの言葉に甘えて服を脱ぐ。
「レザーアーマーも、グレイトウルフの防具もダメになってるな。」
あの強力なヒューデットの攻撃により、俺の着ていた防具達は見事に大穴が空き、さらにこれまでの戦いで酷使しすぎたのかもはや防具として使うことが出来ないくらいにボロボロになっていた。
それなりにいい値がしたが、捨てるとしよう。
そう決め俺は防具や服を脱いで風呂場に入る。
そこにはひとつの桶があり、そこの方に青い魔石が取り付けてあった。
「そこにある桶は魔力を注ぐと桶が水でいっぱいになる魔道具です。ぜひ使ってくださいね。着替えはここに置いておきますね。」
「なるほど……ありがとう。」
風呂場の外からリーフの声が遠ざかる。
「ビギシティだと風呂場にこんな魔道具なんてもの無かったけど……こんなのがあるなんてやっぱミラン村は儲かっていたのかな?」
そう思いながら魔道具に魔力を注ぐと桶にみるみる水が溜まっていく。魔力量もかなり減ったとはいえ、この程度ではほんの少し疲れる程度で問題なく魔道具を使い、体を洗った。
血を洗い流し、リーフの用意してくれていたグレーのシャツと黒の長ズボンを履いてリビングに戻る。リーフの父親の服は、若干サイズが大きいが動くのには支障のない程度で助かった。
「あ、おかえりなさい」
「あぁ、着替えありがとうな。」
「いえいえ、サイズは大丈夫でしたか?」
「ちょっとでかいが大丈夫だ。ところで……」
今まで触れるタイミングがなかったが、やっと落ち着き話せるタイミングが訪れた。
「リーフがさっき言っていたことでずっと気になっていたことがあるんだ。」
「なんでしょうか?私に答えられることであればなんでも答えますよ。」
膝の上に手を置き、笑顔でリーフはそう言った。
「なら聞かせてもらうとするか。……さっき神様から力を貰ったって言ったよな。それについて聞きたい。」
さっきからなにか様子がおかしいリーフに近づき、声をかける。リーフは顔を伏せているため、表情が分からないが拳を握りしめているところを見ると、にこにこと笑っているわけじゃないだろう。
「どうして……ユウキさんはここに来たんですか……?」
顔を俯かせたまま静かにリーフは俺に聞いてくる。
「あぁ、それはギルドマスターが調査隊から情報を得たんだ。内容はミラン村が大量のヒューデットに襲われてること、そしてリーフとアレン、リーパーが生きていて洞窟に籠ったこと。それで俺はリーフを助けにウェルメンに乗ってきたんだ。ウェルメンはあの馬の名前でギルドマスターの馬だな。Sランクの魔獣で頭もいいからと言って貸してくれたんだ。」
「……そうなんですね。私を……助けに……」
「そういえばアレンとリーパーは……」
そこまで行って俺は口を手で抑える。普通大量のヒューデットを相手にするなら3人で纏まるだろう。だけど、リーフを見つけた時いたのはリーフただ1人。それだけでアレンとリーパーの2人がいない理由が簡単に判明する。
「2人とも……亡くなりました。」
顔を上げながらリーフはそう口にした。リーフの瞳からぽつりと涙がこぼれ落ちる。
「私のせいで……私が弱かったから、リーパーさんも、アレンさんも死んだんです。」
「それは……仕方ないだろ。大量のヒューデットにあの悪魔もいた。たった3人で犠牲なしで勝てる相手じゃない。」
「でも私は、2人が亡くなった後、神様から力を貰ったんです、あの悪魔を倒せる力を!……なのに、せっかくもらった力もろくに使いこなせずに、自分は死にかけて……そのせいでユウキさんにまで迷惑をかけて……もう、消えてしまいたい。」
そう言うと俺が『マジックショット』で弾き飛ばした短剣を取ろうと、よろよろと歩き出す。
神様から貰った力とやらが気になるが今はそれよりもリーフを止めるのが先だ。
「リーフ待て!」
リーフに追いつき肩を掴んで止める。振り払う気力もないのかあっさりとリーフは足を止め振り返って俺を見つめる。
「っ……」
リーフは濁りきった生きる気力の欠片も感じない瞳をしていた。
「どうしてあなたは私を止めるんですか、誰も助けることも出来ない私なんか……もう生きていなくていいですよね、両親も目の前で殺されて、もう……生きなくないんです、死にたいんです、ははは私なんて死んじゃえばいいんだ」
もはや目の焦点すら合っておらず、最後には不気味にリーフは笑う。
「誰も助けられなかったから死なないといけないなんてことは無い!お前は生きていいんだ、いや……生きないとダメなんだ!村の奴らは、両親はお前に死んでくれなんて言ったか?言ってないだろ!」
肩をやや強く揺さぶり、リーフの瞳がほんの少しだけ光を灯したのを見て俺は言った。
「でも……でもっ!皆が死ぬなって言っても!私は……あんな地獄で……精神をガリガリって削りながら、顔も名前も知ってる皆を殺して……あの悪魔を倒して仇を打つって言ったのに……倒せなくて……約束を……守れな……かった」
視線があちこちさまよい、だんだん声量が落ちていき、最後に俺の目と合うが、膝から崩れ落ちて声も裏返り涙を流す。
「なら……また、やればいい。」
「え?」
俺の言葉にリーフは涙を流しながらも顔を上げる。
「またフロウアに出会ったらその時に村の奴らの仇をとってやればいい。」
「どうやってまた出会うんですか、どうやって倒すんですか!」
そんな簡単に言うなと言わんばかりに、リーフはせっかくの可愛らしい顔を怒りで歪ませる。
「さっき退治した時に分かったが、あいつの討伐は俺の目的と一致する。」
「目的?」
「初めてリーフと出会った時、リーフはどうしてこんな所にいるのかって聞いただろ?俺はその時人に送って貰ったと言ったが……その人に依頼を受けたんだ。そして、その以来の内容は――」
「あの悪魔……フロウアの討伐……ですか?」
「そうだ。まぁ、フロウアを倒すのはその依頼を完遂する一部だがな。」
べシールから頼まれた神の欠片の収集。フロウアはそれを持っていてEXスキルを強化したと言っていた。なら、他にもいるかもしれない悪魔達ももしかしたら別の神の欠片を持っているかもしれない。
「俺もフロウアの捜索、それに討伐をする。2人でやればあいつにも勝てるさ。」
俺はリーフにそう言いながら、手を差し出した。
「でも……私は神様から貰った力でステータスも下がってしまって、もうフロウアを倒すことなんて……」
「なら、俺と一緒にクエストでもしながらランクをあげればいいだろ。今までみたいにさ。」
「……私なんて……一緒にいたところで役立たずですよ?」
「リーフの強さは知ってる、いまランクが下がっていたとしてもまたリーフは強くなるって。それにな……」
今から言おうとしていることに少し恥ずかしくなり、目の前のリーフから視線を逸らす。リーフはきょとんと首を傾げ俺の言葉を待っている。俺が言わないとリーフは納得しないだろうから恥ずかしいのを耐えてこう言った。
「俺達友達だろ?友達が困ってる時助けたいって思うのは変か?」
その言葉にリーフは一瞬ぽかーんとした顔をして
「ふ、ふふ、あははっ!」
口に手を当て笑い始めた。
「ちょ、なんで笑うんだよ。」
「だって、ふふっ、ユウキさんがそんなことを言うイメージがなくて、ははっ!」
やっぱり言うんじゃなかったか?いや、でも久しぶりに笑ったリーフを見た気がする。……やっぱり言ってよかったかもな。
リーフは笑ったあと、俺の手を取り立ち上がった。
「そうですよね、私達友達ですもんね。困った時は……頼っていいんですよね。」
「あぁ。まぁ俺が頼ることになるかもしれないけど。」
「お互いに頼りあうとしましょう。さて、とりあえずこの現状をガローギルドマスターに伝えないといけませんね。」
気持ちを切り替えたのか、真剣な表情でリーフはそう言うがそれよりも――
「いや、それは後だ。ウェルメン……あの馬が休んでる間に俺達も休んで、それから食料とかを少し積んでからここを出ることにしよう。」
「食料……?」
「村の人には悪いが、食べられるものと飲み物を拝借しよう。」
「……そうですね。」
2人とも寝たはいいが、疲れが残っている。それにここに来る時はウェルメンを全力で走らせ休憩もほとんど取らせていなかった。だが、帰りは慎重に帰らないといけない。俺は神気解放でランクが3日間低下し、リーフもどうやらランクが下がっているらしいから頼れる戦力はウェルメンしかいない。途中で休憩もするからリーフには盗みを働くようで悪いが食料と飲み物を拝借しないといけない。
「ふー、帰りも無事に帰れるといいけどな。とりあえず休もう。」
「あ、なら私の家が近くにあります。そこで休みましょう。」
そう言ってリーフは周りにある家の1つに向かっていき、その中に入って行った。俺もリーフに続いて家の中に入る。
家の中は簡素な作りになっていて、リビングと寝室、それといくつかの部屋があるくらいで、見たところヒューデットによって荒らされた形跡はなかった。俺はリビングで椅子に座り、リーフは戸棚からパンと水道で水を汲んで、自分の分を机に置き、もう片方を俺に差し出してきた。
「すぐに食べれるものだとこんなものしかありませんけど……どうぞ。私はちょっと水を浴びてきますね。」
「ありがとう、十分だよ。」
血まみれの服を見てリーフはそう言った。申し訳なさそうにするリーフの頭を撫で、俺は気にせずにパンを口に運んだ。それを見てリーフはその場を離れる。
特に味は無く、ジャムなんてものもないがありがたくリーフから貰ったパンをもそもそと食べる。お腹がすいていたのもあってすぐにパンはなくなってしまった。
そして20分ほど経ち、リーフは水でも浴びてきたのか髪を少し濡らし、白いシャツと紺色のスカートを着て戻ってきた。
「すいません結構時間かかっちゃいました。血を落とすのが大変で……ユウキさんも水浴びしますか?」
「いいのか?」
「はい、大丈夫ですよ。着替えは……私の父のものがありますけど準備しておきましょうか?」
「あぁ、ありがとう。」
俺も血まみれになっているため、リーフの言葉に甘えて服を脱ぐ。
「レザーアーマーも、グレイトウルフの防具もダメになってるな。」
あの強力なヒューデットの攻撃により、俺の着ていた防具達は見事に大穴が空き、さらにこれまでの戦いで酷使しすぎたのかもはや防具として使うことが出来ないくらいにボロボロになっていた。
それなりにいい値がしたが、捨てるとしよう。
そう決め俺は防具や服を脱いで風呂場に入る。
そこにはひとつの桶があり、そこの方に青い魔石が取り付けてあった。
「そこにある桶は魔力を注ぐと桶が水でいっぱいになる魔道具です。ぜひ使ってくださいね。着替えはここに置いておきますね。」
「なるほど……ありがとう。」
風呂場の外からリーフの声が遠ざかる。
「ビギシティだと風呂場にこんな魔道具なんてもの無かったけど……こんなのがあるなんてやっぱミラン村は儲かっていたのかな?」
そう思いながら魔道具に魔力を注ぐと桶にみるみる水が溜まっていく。魔力量もかなり減ったとはいえ、この程度ではほんの少し疲れる程度で問題なく魔道具を使い、体を洗った。
血を洗い流し、リーフの用意してくれていたグレーのシャツと黒の長ズボンを履いてリビングに戻る。リーフの父親の服は、若干サイズが大きいが動くのには支障のない程度で助かった。
「あ、おかえりなさい」
「あぁ、着替えありがとうな。」
「いえいえ、サイズは大丈夫でしたか?」
「ちょっとでかいが大丈夫だ。ところで……」
今まで触れるタイミングがなかったが、やっと落ち着き話せるタイミングが訪れた。
「リーフがさっき言っていたことでずっと気になっていたことがあるんだ。」
「なんでしょうか?私に答えられることであればなんでも答えますよ。」
膝の上に手を置き、笑顔でリーフはそう言った。
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