【完結済】龍人に救われた女子高生が、前提条件の違う異世界で暮らしていくには

天知 カナイ

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なぜ。
なぜ俺は、お前の番いにはなれないんだ。
こんなに愛しているのに。
こんなにも、身を引きちぎられそうなくらいお前が欲しいのに。

なぜ、俺を置いて、逝こうとする。
‥ソウガイ。



「‥いいのか、マヒロ」
「うん」
「‥七百年は、死を選べない」
「うん」
「ヒトの世との関わりは、あまり持てない」
「知ってる、聞いたから。でも、全然関われない訳じゃないし、やり方もあると思うから」
ハルタカは笑顔でそういうマヒロの傍まで行って、思いきり抱き締めた。
「苦し、ハルタカ」
「‥‥ありがとうマヒロ」
「私こそ。ずっと、私の気持ちを大事にして、待っててくれて、ありがとう」
「きっと、いろんなものを、マヒロに捨てさせるし、諦めさせてしまう。‥だが、ずっとマヒロを愛し続ける。大事にすると誓う。同じ時を、生きてくれ」
「うん。‥‥あれ、ハルタカに他に好きなヒトができた場合、どうなるのかな?私」
そう疑問を口にしてちょっと顔を顰めたマヒロを、ハルタカは驚いて身体から少し離しその顔を見つめた。
「マヒロ、龍人タツトが番い以外に目を向けることはない」
「え~本当かな?だってハルタカだってあんまり番いがいる他の龍人タツトのこと知らないんでしょ?」
少し意地の悪い気持ちが芽生えてマヒロがそう言ってみると、ハルタカはわかりやすく眉を寄せて不機嫌な顔を見せた。
「マヒロは私のことをそんなに信じられないのか」
その不機嫌そうな顔が、この世界に来たばかりの頃のハルタカを思い出させてマヒロは思わず吹き出した。
「ふっふふっ、そんな、ムキに、ならなくても‥」
あははと明るく笑いだしたマヒロに、ハルタカはぎゅっと眉を寄せていたがしだいにつられてくすりと笑い、破顔した。

「マヒロ、お前の身体が完全に回復したら‥番おう。いいか」
「‥うん。よろしくね」
何だか恥ずかしくなってマヒロはハルタカの顔から視線を背けた。


さて、それはどうだろうか。


突然、そのような声が部屋の中に響き渡った。

部屋の隅にビュオッ!と小さな竜巻のようなものが現れ‥止んだ。
そこには、波打つ長い銀髪を揺らめかせ、すらりとした少年のような人物が立っていた。
ハルタカはさっとマヒロを背中にかばって呟いた。

「最長老、ソウガイ‥!
「ハルタカ。随分早いお目覚めだったな」

マヒロはかばわれたハルタカの背中からそっと顔を出してその人物を眺めた。
あれが、龍人タツトの最長老と言われる、神にも近い存在‥。
マヒロはずいっと前に出た。ハルタカはハッとしてもう一度マヒロを引き寄せようとしたが、それよりもマヒロの言葉の方が早かった。

「あんたね!勝手にハルタカを眠らせたりしたの!」
ソウガイは何の感情も浮かんでいない顔でマヒロの方をゆっくりと見た。
「お前はあの時のカベワタリか。‥お前が何かして、ハルタカを目覚めさせたのかな」
「‥敢えて言うなら、愛の力です!どうしてあんな勝手なことをしたのよ?ハルタカは私を助けてくれただけなのに!」
「マヒロやめろ」
ハルタカが横で制止しようとするが、それに負けずにマヒロは言い募った。この龍人タツトに対しては言いたい文句が山のようにある。
ふんっ、と怒りを隠さずに睨みつけているマヒロを、ただただ見つめていたソウガイは「ふむ」と呟いて左手をマントから出した。
その左手の先に、ぽんと柔らかな布張りの椅子が出現する。ソウガイはゆっくりその椅子に座ると、マヒロの方をじっと見た。
「まあ、言いたいことがあるようだから、とりあえず全部聞こうか、カベワタリ」
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