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6 わからない僕
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「なんで、あんま、日本にいない、鳴兄のいう事、きかなきゃいけないの?」
痛む喉を押して、美弦ははっきりとそう言った。
どうせ鳴は、一年の半分以上を海外で過ごすうえ、日本にいたとしても忙しくて滅多に美弦と会う機会はない。
今日だってほぼ四か月ぶりくらいに会ったのだ。
その四か月前の時も、彼女がいるのかいないのかとか学校でどんなことしてるんだとか成績のこととか色々訊かれて、ちょっとウザかった。
さすがにもう美弦だって高校二年生。昔のように、ビビって出来のいい従弟の言うなりにばかりなっていられない。
しかも、健康な男子にとって死活問題的な、自慰頻度の事まで口出しされるとはいくらなんでもあんまりではないか。
鳴に好き勝手されて快楽でヘロヘロになった身体ではあるが、ここは断固としてきっぱり言っておかねば!と美弦はふんむと意気込んで鳴の腕の中からその顔を見上げた。
(‥‥?)
鳴は、口元を手で覆い、少し顔を赤らめている。
(‥‥なんで?)
「美弦さぁ‥」
手で口を覆ったまま話すので、鳴の声は少しくぐもって聞こえづらい。
「何?」
「そんなに、俺が日本にいないの寂しいのか?」
‥‥‥は?
美鶴は心の中で盛大に突っ込みの「は?」を出した。声に出さなかったのは、喉がかなり痛むからだ。
鳴は、何を言っているのだろうか。
鳴が日本にいないと寂しい、なんて美弦は一言も言っていない。
(なんで日本にあんまりいない鳴兄のいう事きかなきゃいけないの?って訊いたよな?僕‥‥なんでそれが、『鳴兄がいないと寂しい』に変換されるんだ‥?)
「いや、鳴兄、僕別にそんなこと‥」
「ああ、いいわかってるって」
(いやだから何が??)
言葉を途中で遮られ、ぎゅううっと強く抱きしめられるとぐえっとなってしまい息が苦しい。だから言葉の続きが出ない。
息苦しいのと話したいのとで美弦がはくはくしていると、ますます力いっぱい美弦の身体を抱きしめ髪のあちこちにちゅ、ちゅと口づけてくる。
(‥‥えええ?なんか、恋人っぽい感じ出されてるけど‥)
新條と笹井もこんなことしてるのかな、と一瞬考えてしまって気持ち悪くなった。友人のそういう事は想像するもんじゃない。
美弦の頭にキスをして、その後顔を上げさせて軽くちゅっと唇を吸い、かぷ、と鼻をかじる。
(うわ、鼻とかやめてくれ‥臭くなりそ)
「とりあえず俺は今日ここに泊まる。‥夜、またしような美弦」
そしてまたキス。
「ええ?なんで、いつもホテルとかに泊まってるじゃん、いつものとこ‥」
けほっと咳き込んだのを見て、鳴は身体をねじりペットボトルを手に取った。
「あ、鳴兄僕自分で‥」
と美弦が言いかける間に、鳴はまた水を口に含んで美弦に飲ませてきた。
「ふ、んっ‥」
こくこくと与えられる水を飲み下す。
(だから自分で飲むのにっ)
「鳴兄、あの、ちょうだい水。僕自分で」
「そっか」
まるで美弦の声など届いていないかのように、また鳴は水を含んで美弦に飲ませた。そして今度は水を伝わらせるように挿し入れていた舌で美弦の歯列をぞろりと舐めた。
「ふうっ、んん」
ちゅぱ、と音を立て唇を離すと美弦の頭を左腕で抱え込みこつ、と額をくっつけてくる。整った顔面の破壊力にくらくらしながら美弦はまた遺伝子を呪った。
「美弦」
「な、何?近くない?」
ふふっと鳴は笑った。珍しく含むところのない、からっとした優しい笑い方だった。
「照れなくていい、美弦。これからは少し日本での仕事も増えるし、できるだけお前の傍にいてやるからな」
「は?」
(はああああ?何言ってんの?そんなこと僕一言も頼んでないけど!てか、オナニー禁止の話どうなってる?)
「いや、あの鳴兄、鳴兄も忙しいのわかってるし別に僕のためになんか日本に帰ってこなくても大丈夫だよ」
「いいって、美弦」
鳴は蕩けるような笑顔を美弦に向けてから、また美弦の頭を抱え込んでぎゅうっと抱きしめた。
「そんな遠慮しなくていい、わがまま言ってくれた方が嬉しいぜ、美弦」
「へ?わがまま、って‥」
何言ってんだこいつ。
美弦の頭にはどでかいクエスチョンマークが浮かんだまま、一向に消える気配がない。とにかくこの鳴の言動の理由がわからない。
「あのさ、オナニーすんなってさっきの」
必死に美弦が懸案事項を言いかけると、鳴はまた美弦の顔を覗き込んできた。少し不機嫌そうな顔に変わり眉間に皺が寄っている。
「当たり前だろ。美弦のケツに指もちんこも突っ込んでいいのは俺だけだ」
「はああ?」
何言ってんだこいつその二。
美弦は断じてそんなことを許した覚えはない。なんならさっきの行為だって美弦は合意してない。‥‥いや確かに最中は快楽に負けて挿れてぇとかもっとぉとか口走ってしまったが、あれはいわゆる「心神耗弱の状態」に数えていいのではないだろうか。
それなのに、勝手に美弦の身体を弄りまくって挿入までして腰を振った鳴に、そこまで勝手な要求をされる謂れはない。
「な、なんでそんなこと鳴兄が決めるんだよ‥」
抗議の声を上げるが悲しいかな、今まで鳴に強く反論したことがない美弦の声はだんだんしりすぼみになってしまう。
そんな美弦の様子を見て、不機嫌な顔のまま鳴は美弦の耳たぶをべろりと舐めてから少し強く噛んだ。
「うひっ!」
「なんで‥?当たり前だろ美弦。お前は俺のもんになったんだから」
そのまま鳴の唇が首筋に降りてきて、首の敏感なところを柔い唇と尖らせた舌先がくすぐる。ぞわっと快感がまたのぼってきて、下半身に降りていく。
「あふ、んっ、やめて鳴兄‥」
「お前がかわいくないこというからだ」
「んんッ、ああ‥」
そのままどんどん唇は下の方へ降りていき、美弦のささやかな乳首に到達した。口を大きく開けて丸ごと飲み込むようにぢゅううと吸われればそれだけで背中がびくんとしなる。刺激で少しだけ勃ち上がった乳頭の先を、鳴は舌を先っぽだけでくりくりと転がした。甘い刺激が胸から下半身、脳へと回ってくる。美弦はもう無理だと思っていた自分の陰茎がゆるりと勃ち上がるのを感じて恐怖した。
(待って待って待って、なんで勃つんだよ!くそ~男の身体ってもう~~あ~無理なのにぃぃ、きもちいい‥)
痛む喉を押して、美弦ははっきりとそう言った。
どうせ鳴は、一年の半分以上を海外で過ごすうえ、日本にいたとしても忙しくて滅多に美弦と会う機会はない。
今日だってほぼ四か月ぶりくらいに会ったのだ。
その四か月前の時も、彼女がいるのかいないのかとか学校でどんなことしてるんだとか成績のこととか色々訊かれて、ちょっとウザかった。
さすがにもう美弦だって高校二年生。昔のように、ビビって出来のいい従弟の言うなりにばかりなっていられない。
しかも、健康な男子にとって死活問題的な、自慰頻度の事まで口出しされるとはいくらなんでもあんまりではないか。
鳴に好き勝手されて快楽でヘロヘロになった身体ではあるが、ここは断固としてきっぱり言っておかねば!と美弦はふんむと意気込んで鳴の腕の中からその顔を見上げた。
(‥‥?)
鳴は、口元を手で覆い、少し顔を赤らめている。
(‥‥なんで?)
「美弦さぁ‥」
手で口を覆ったまま話すので、鳴の声は少しくぐもって聞こえづらい。
「何?」
「そんなに、俺が日本にいないの寂しいのか?」
‥‥‥は?
美鶴は心の中で盛大に突っ込みの「は?」を出した。声に出さなかったのは、喉がかなり痛むからだ。
鳴は、何を言っているのだろうか。
鳴が日本にいないと寂しい、なんて美弦は一言も言っていない。
(なんで日本にあんまりいない鳴兄のいう事きかなきゃいけないの?って訊いたよな?僕‥‥なんでそれが、『鳴兄がいないと寂しい』に変換されるんだ‥?)
「いや、鳴兄、僕別にそんなこと‥」
「ああ、いいわかってるって」
(いやだから何が??)
言葉を途中で遮られ、ぎゅううっと強く抱きしめられるとぐえっとなってしまい息が苦しい。だから言葉の続きが出ない。
息苦しいのと話したいのとで美弦がはくはくしていると、ますます力いっぱい美弦の身体を抱きしめ髪のあちこちにちゅ、ちゅと口づけてくる。
(‥‥えええ?なんか、恋人っぽい感じ出されてるけど‥)
新條と笹井もこんなことしてるのかな、と一瞬考えてしまって気持ち悪くなった。友人のそういう事は想像するもんじゃない。
美弦の頭にキスをして、その後顔を上げさせて軽くちゅっと唇を吸い、かぷ、と鼻をかじる。
(うわ、鼻とかやめてくれ‥臭くなりそ)
「とりあえず俺は今日ここに泊まる。‥夜、またしような美弦」
そしてまたキス。
「ええ?なんで、いつもホテルとかに泊まってるじゃん、いつものとこ‥」
けほっと咳き込んだのを見て、鳴は身体をねじりペットボトルを手に取った。
「あ、鳴兄僕自分で‥」
と美弦が言いかける間に、鳴はまた水を口に含んで美弦に飲ませてきた。
「ふ、んっ‥」
こくこくと与えられる水を飲み下す。
(だから自分で飲むのにっ)
「鳴兄、あの、ちょうだい水。僕自分で」
「そっか」
まるで美弦の声など届いていないかのように、また鳴は水を含んで美弦に飲ませた。そして今度は水を伝わらせるように挿し入れていた舌で美弦の歯列をぞろりと舐めた。
「ふうっ、んん」
ちゅぱ、と音を立て唇を離すと美弦の頭を左腕で抱え込みこつ、と額をくっつけてくる。整った顔面の破壊力にくらくらしながら美弦はまた遺伝子を呪った。
「美弦」
「な、何?近くない?」
ふふっと鳴は笑った。珍しく含むところのない、からっとした優しい笑い方だった。
「照れなくていい、美弦。これからは少し日本での仕事も増えるし、できるだけお前の傍にいてやるからな」
「は?」
(はああああ?何言ってんの?そんなこと僕一言も頼んでないけど!てか、オナニー禁止の話どうなってる?)
「いや、あの鳴兄、鳴兄も忙しいのわかってるし別に僕のためになんか日本に帰ってこなくても大丈夫だよ」
「いいって、美弦」
鳴は蕩けるような笑顔を美弦に向けてから、また美弦の頭を抱え込んでぎゅうっと抱きしめた。
「そんな遠慮しなくていい、わがまま言ってくれた方が嬉しいぜ、美弦」
「へ?わがまま、って‥」
何言ってんだこいつ。
美弦の頭にはどでかいクエスチョンマークが浮かんだまま、一向に消える気配がない。とにかくこの鳴の言動の理由がわからない。
「あのさ、オナニーすんなってさっきの」
必死に美弦が懸案事項を言いかけると、鳴はまた美弦の顔を覗き込んできた。少し不機嫌そうな顔に変わり眉間に皺が寄っている。
「当たり前だろ。美弦のケツに指もちんこも突っ込んでいいのは俺だけだ」
「はああ?」
何言ってんだこいつその二。
美弦は断じてそんなことを許した覚えはない。なんならさっきの行為だって美弦は合意してない。‥‥いや確かに最中は快楽に負けて挿れてぇとかもっとぉとか口走ってしまったが、あれはいわゆる「心神耗弱の状態」に数えていいのではないだろうか。
それなのに、勝手に美弦の身体を弄りまくって挿入までして腰を振った鳴に、そこまで勝手な要求をされる謂れはない。
「な、なんでそんなこと鳴兄が決めるんだよ‥」
抗議の声を上げるが悲しいかな、今まで鳴に強く反論したことがない美弦の声はだんだんしりすぼみになってしまう。
そんな美弦の様子を見て、不機嫌な顔のまま鳴は美弦の耳たぶをべろりと舐めてから少し強く噛んだ。
「うひっ!」
「なんで‥?当たり前だろ美弦。お前は俺のもんになったんだから」
そのまま鳴の唇が首筋に降りてきて、首の敏感なところを柔い唇と尖らせた舌先がくすぐる。ぞわっと快感がまたのぼってきて、下半身に降りていく。
「あふ、んっ、やめて鳴兄‥」
「お前がかわいくないこというからだ」
「んんッ、ああ‥」
そのままどんどん唇は下の方へ降りていき、美弦のささやかな乳首に到達した。口を大きく開けて丸ごと飲み込むようにぢゅううと吸われればそれだけで背中がびくんとしなる。刺激で少しだけ勃ち上がった乳頭の先を、鳴は舌を先っぽだけでくりくりと転がした。甘い刺激が胸から下半身、脳へと回ってくる。美弦はもう無理だと思っていた自分の陰茎がゆるりと勃ち上がるのを感じて恐怖した。
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