朧月

葛原 皐月

7

身体を洗いっこし、
お姫様抱っこでベットへ押し倒される。
昨日まで付き合っていた既婚者の男とは違い、優しいキスだった。

「もっと顔見せてよ」

「あぁっ…」

優しく丁寧に愛撫し、女が感じる部分を知り尽くしている抱き方。
気持ち良さで何度も絶頂を迎えた。

「ゴム…つけなくていい…？」

火照る身体と冴えていく頭。
股間に蹴りを入れようとシゲルの顔を見ると、潤んだ瞳が私を見る。

「外に出してくれるなら…いいよ？」

何ふざけた事言ってるんだ！と頭の中で叫びながらも、撃沈。
シゲルのモノが私の中に入り、
気持ち良さそうに息を漏らしながら腰を振るシゲル。

「きもち…あぁっ…」

何度も奥を突かれ
さっきまで冴えていたはずの頭は
気持ち良さで埋め尽くされる。

「イク…」

お腹の上に出された精子は暖かく、
とても生々しかった。

「ふぅ～…」

シゲルは全裸のままソファーへ移動して、さっきまで吸っていなかったのに煙草を吸い始める。
その姿は、別人だった。

「ねぇ、私たち付き合わない？」

精子をティッシュで拭きながらシゲルの顔を見るが、無言で煙草を吸い携帯を触り続ける。

これってまさか…また…

「じゃ、今日遅いし帰ろっか」

先程まで感じたラブは、虚しく幕を閉じた。

「いやだぁぁぁぁ！！！」

悲痛な叫びも虚しく、ホテルから出るとシゲルはさっさと帰っていってしまったのだ…。