朧月

淡い夢

1.0

「ご飯にしよっか」

お昼12時、長い長い作業虚しく、まだ10分の3程度しか終わっていなかった。

「食欲無いです…」

「ならクッキーあげるから、それだけでも口にしな？きついでしょ？」

さっと差し出されたチョコチップクッキー。
一枚丸々食べられない程、不愉快な感覚が胃を刺激する。

「立花さん凄いですね…尊敬しちゃうくらい」

朋美がそう言うと、立花さんはとても嬉しそうにありがとうと微笑みながら上着を脱ぐ。

「はぁっ！凄い！」

タンクトップ姿になった立花さん、服の上からでも筋肉が凄いというのに、タンクトップになると更に凄くて思わず声をあげる朋美。

「ははっ、そんなに顔赤らめちゃって。照れるなぁ」

褒められ慣れていないように立花さんも顔を赤らめながらご飯を食べていた。
その姿に悶絶していまい、

「こりゃー鼻血もんですわぁ！」

と、思わず本音が出てしまった。
渋い顔をして睨む朋美と口を大きく開けて見つめてくる立花さん。

「つい本音が…へへっ」

長い沈黙に耐えられず、コンビニまで猛ダッシュで走った。

またやってしまった！！

「あぁぁぁ…最悪だ…悶絶しちゃうよあんなの…」

年齢より少し上に見られていた私は年齢確認される事も無く、カフェラテと煙草を買って外の喫煙所で吸っていると、
社長がダンプでコンビニの駐車場へと車を停めて私の方へ。

「葛原さん…未成年は吸っちゃ駄目でしょ…？」

手を引かれて車の中に入れられると、社長も煙草を吸い始める。

「怒らないんですか…」

「あんな真剣な顔して吸われちゃ怒るに怒れないよ。何かあったのかな？」

心配そうに私の方を見る社長。
貴方の息子さんに発情して、おっさんのような発言をしましたなんて口が裂けても言えなかった。