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求めていたモノ
4.3
しおりを挟むガチャっと玄関の開く扉で目が覚めたのは深夜2時。
テンポよく階段を登ってくる足音が部屋に響く。
お母さんかな?
あ、やばい。
相原も私も全裸のままだ。
「相原、おい、起きて」
小声で体を揺さぶって起こそうとした時、部屋の扉がガチャっと開く。
「えぇ…、お前…」
「うあああああ!!朋樹何やってんのよ!!!」
「あ、ごめん」
急いで起き上がった相原の半裸姿を見て、朋樹は静かに扉を閉めた。
急いで服を着てリビングに行くと、私のプリンを平然と食べている朋樹。
「何回も電話したけど出なかったから。朋美に連絡つく?」
「え?ともちゃん?」
「居なくなったんだよあいつ。」
もう一回階段をダッシュで登り、机に置いていた携帯を開いて何度も電話をするが、
『只今、電波の繋がらない場所にいるか…』
聴こえてくるのはアナウンスの音声のみで、一向に繋がる気配がない。
仕方なく、高校を退学になってから一切連絡をとっていなかった杏果に電話をかけてみた。
すると案外、すぐに出た。
『よく連絡してこれるねぇ…、何?』
「ごめんね、ともちゃんから連絡とか来てないかなって思って」
『はぁ?朋美?連絡なんかとってないけど』
「わかった!ありがとう!おやすみ!」
プチッと通話終了ボタンを押して、次は美菜に電話をかけてみる。
だが、美菜も同じ様な反応で。
「立花さん、ともちゃんから何か連絡とかきてないですか?」
何度も何度も電話をかけて、
やっと繋がった立花さんの声はもろ寝起きだったが、すぐに焦り始めた。
『25日の夜に会って、深夜の2時頃に僕が先に帰ったんだけど…。様子が変だったんだ』
「どういう風に変だったんですか?」
『僕の事好きになっちゃ駄目だって言ったら放心状態になっちゃって…。病んでる感じがしてたから…。』
そんな状態の朋美を放って帰った立花さんもクズだが、どうして会いに行ってしまったのか。
「もしかして…」
呆然とする相原と、プリンを食べ終わって満足そうな朋樹を置いて家を飛び出すと、綺麗な雪化粧が一面に広がっていて。
裸足のままで朋美の家まで走り、夜中なのに何度も何度もチャイムを鳴らす。
出てきたのは、ガタガタ震えるお母さんだった。
「皐月ちゃん…どうしよう…」
「お母さん、ともちゃんって家に帰って来てから、カウンセリングとか行かせて無かったんですか!?」
「え…?カウンセリング…?」
DV等を受けた人は、徐々に洗脳されていってしまう。
例え抜け出せたとしても、精神的後遺症だけが残って苦しみ続ける事になる。
だが朋美は、平気なフリをして精神科等に通う事すら無かったらしい。
最悪の事が、頭をよぎった。
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