隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

文字の大きさ
7 / 87
第1章 異世界

7話 インベントリ

しおりを挟む
 インベントリにしまっておいた皮の防具を身につけ、鞘に収めた短剣は腰に身につける。

 武器は後払いでも良かったので、1本銅貨15枚のヒールポーションも2つ買っておいた。
 ただ、昨日みたいな無茶はせず、これを使わなくてはならない状況ならば早々に切り上げて、街に戻るようにと心に決めていた。
 あとの銅貨5枚は、昼飯用にとパンを買ってインベントリに突っ込んでおいた。

「さぁて今日も100匹は倒すぞー」
 意気込んで歩き出す。

 門では昨日と同じ門番に声をかけられる。
「よう、昨日の変な格好の兄さんか、今日はどこぞでのたれ死んでくんじゃねえぞ」
そんな事を言われるもんだから、凄く恥ずかしい。

 まったく、1日でしっかりと顔を覚えられてしまったものだ…。

 他の冒険者たちは森の方角ではなく、山や平野のある方角へ向かっていく者がほとんどだ。
 薬草はあらゆるところに生えているので、金になるコボルトやゴブリンをメインに討伐に向かっているらしい。

 俺は森に入ると、早速スライムを見つけ、慎重に間合いを詰める。
 もちろん周りの警戒も怠らない、なるべく音を立てないように、1匹ずつ確実に仕留めていくことにするのだ。

 明るい時間には、そこまで警戒の必要など無いだろうとは思っていたのだけれど、弱者を狙った盗賊がいないとも限らないのだし。
 何より、常に警戒して動く癖を付けたかった。
 強敵と対峙した時に、うっかりでやられてしまっては後悔のしようもないのだから。

 なので最初の1時間ほどは、昨日の半分といったペースで狩りをしていた。
「残念、最初の1匹目からはドロップアイテムが入手できなかったな…」

 幸先良くスタートしたいものなのだが、そう上手くはいかないものである。
 次いで倒したスライムも何もドロップしない。
「おーいマジかー、昨日は結構落としてくれたのになぁ」

 しかし、慌ててもろくな事にならないだろうと、慎重に慎重に、1匹ずつ仕留めていったのだけれど…。
 1時間で15匹、ついにドロップアイテムは何一つ得られなかった。
「もう!どうなってんだよ、入手しやすくなったんじゃないのかよ!」

 イライラが募ってきた俺は、インベントリから水を取り出し一気に飲み干す。
 採取ポイントはいくつかあったのだけど、わずか数個のこと。

「薬草100個まではまだまだか…未だ70個…」
 インベントリをしげしげと見つめてため息をつく。

「…あれ?そんなに持ってたっけ?たしか50個」
 よく見れば討伐の証である【スライムの核】も昨日全てギルドに渡したはずなのに、15個しっかりとここにある。

 まさかと思い、1匹のスライムを見つけ、スパッと一刀両断する。
 すぐに確認、インベントリ内の薬草とスライムの核が1つずつ増えていた。

「入手しやすく…なったな」
 昨日は倒して拾ってを繰り返していたのだけど、屈むのが意外と体力を使い、後半は若干腰が重いほどになっていた。
 勝手に入手してくれるのなら、俺は倒す事に専念すれば良い、なんてやりやすいんだ!
 そう思うとそれからは、より意気込んで狩りを続けた。

 慣れてくれば、それなりに素早い行動も取れるようになっていったので、日が完全に登りきった頃には7、80匹のスライムを倒し、青い採取ポイントも20ほど発見していたのだった。

「うーん…まだレベル上がんないなぁ」
 最初は10体目で、次は35体目で、そして100体を倒した時にレベルは4になっていた。

 そう考えると次は200か、もう少し倒さなくていけないのだろうか?

 この世界の職業は、レベルが5の倍数の時、職業に合わせたスキルが得られる。
 最初に得られるスキルはランダムなのだが、それがその人に最も合っているスキルなのだと言われている。
 しかし、その後得られるスキルは職業によって決まったものらしく、3つのスキル(レベル10)を持ちようやく一人前だと教えられた。

 せっかくこのような世界に来ているのだから、レベルも上げ安全に生活がしたい。
 倒せるかどうかのギリギリの戦闘はゲームの中だけで十分なのだから。

 インベントリから、水と昼ご飯を取り出して休憩にしながら、この先のことを考えていた。

 いつまで冒険者をするのか、一生を魔物退治などで過ごすのか…。
 やはりインベントリを隠しておくべきなのか、そもそもどんな世界なのかもよくわかっていない。
 そうだな…突然戦争に巻き込まれるかもしれない。

 それにしても飯が美味い。
 塩加減も絶妙だ、ここ数年いや生まれて初めてこれだけの運動をしているのだから、美味さも倍増だ。
 そういえば、購入する時には『冒険者に一番人気の飯』だとも聞いていた。
 これだけの味なのに、特別な効果も付いていてこれで銅貨5枚は格安だ。

「あぁ美味かった、さて1時間は取得経験値増加だったな。
本当は食べてすぐに運動はダメなんだろうけど頑張ってくるか…」

 よっこいせっ、といった感じで重い腰をあげると先程までの戦闘の感覚を思い出すかのように短剣を一振り。
「よし、行くか」

 時限イベントをこなすかのような動きで、次から次へと目標(スライム)へ向かって行く。
 何倍の経験値なのかもわからない、もしかしたらわずか1.1倍程度なのかもしれない。

 だけれど、それでも早めに低レベルを脱して少しでも安心しておきたかった。
 そう、俺は最弱と言われるモンスターに対して真剣になっているのだった。

 ちょうど1時間経っただろうかという頃に、ようやく次のレベルに上がった。
 そして俺はようやく【アイテム生成・初級】を覚えることができた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...