隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第1章 異世界

8話 レベル5

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 レベルが5に上がった事で、俺はようやく新しいスキルを得た。
【アイテム生成・初級】

 最初に得られるスキルを除けば、適正職として最も最初に得られるスキルである。
 レンジャーの場合は、消費アイテムが作れるスキルで、ヒールポーションや簡単な罠を作ることができるとドルヴィンから聞いた。
 ヒールポーションの材料ならば、【薬草[2]水[1]】

 スキルに頼らない調合もできるのだけど、それには大変な手間がかかるらしい。
 それを最適解で行うのがこのスキルの能力だそうである。

まぁヒールポーションに限って言えば、魔素の濃い場所で、薬草を60から65度のお湯に1時間。
 必要な成分だけを抽出してから丁寧に濾すとできる。

 それでもスキルで作った方が効果が高いのだから、【アイテム生成】スキルはとても良いものだと思う。

 ヒールポーションも必要なのだけど、実は俺の考えていたメインは、これではないのだ。
「とにかく今日は金稼ぎだ、がっつりスライムを倒させてもらおうか!」

 レベルは目標に達した、次のレベルまでは300体は狩る必要があるだろうから、最低でも2日間はスライムを倒し続けなくてないけないのだ。

 そんな俺には秘策があった。

 今日もギルドに戻り【スライムの核】そして【薬草】を100枚納品する。
 これだけスライムを狩っても狩っても、いなくならないのはどうしてなのか?
 などと考えたこともあったのだけれど、とりあえずの都合の良さの前には微々たる疑問でしかなかった。

「お疲れ様です、シュウさん」
 この街に来た夜に、最初に見た受付の女性が座っていた。

「あ、朝と夜で当番が違うんですね…」
日替わりかと思ったのだけど、聞けば実はそうではないようなのだ。

「気付かれました?朝は私の妹、モルツがご案内させてもらってます。
夜って呑んで暴れたりする人もいるじゃないですか、あの子…結構絡まれちゃうんで、私ヴァイツの役割です」

 私だって可愛いのに!と言わんばかりのアピールもしていたのだけれど、周りの冒険者もヴァイツさんの事は、からかってナンボみたいな雰囲気だったのである。

「ではシュウさん、報酬の銀貨5枚と銅貨25枚です」

 俺もけっこう稼げる様になったものだと思ってしまう。
 まぁ、相変わらずスライムしか相手にしていないのだが、明日はこれで必要な買い物をしてから違う狩りをしに行くつもりだ。
 飯だけ食べたら宿で寝てしまおうと思っていたのだけれど、たまたまウルフ討伐の報告にきたドルヴィンと出会ったものだから、そのまま【銀狼亭】で一杯奢ることにしたのだった。

 次の日の朝、やっぱり気持ちのいい元気な声で見送られることが嬉しかった。
「いってらっしゃい!今日も泊まるの?タオルとお湯も用意しておくよー」
 元気いっぱいで俺まで元気になりそうだ。

「銀狼亭の飯も酒も美味しかったよ、また今日もよろしくね」
 俺がそう言うと、『街のことなら何でも聞いてよ』と返ってくる。

 雑貨でも武具でも教会でも…。
 お店を色々と紹介してくれたので、おかげで迷わず買い物に行くことができたのがありがたい。

「まいどありー」
 買い物を終え、いつものように森へと出かける。

 ただ…その前にやることが一つあった。
 大量の素材を購入したのだけどインベントリに仕舞いたい。
 購入した素材は麻袋に入れられているのだが、結構な重さで早くインベントリに仕舞いたいのだが。
 周りの目が気になる…こんな大量の物が一瞬で消えれば、嫌でも気付かれそうなのだ。

「んー…どこでやるかなぁ…」
 そうぼやきながら、キョロキョロと周りを見回す。

 たまたま誰もいなくなったので…。

 大きな木の陰で…。

 なーんて事はなかったので、いっそ広場で手品だと言うことにして、みんなに見てもらい、おひねりもたくさん頂いた!

 などと妄想しながら、ちまちま少しずつ収納していって、なんだかんだ門を出る頃には手ぶらで歩いていた。

「よっ、スライムマニア、今日も森に行くのか?」
 門番には、アダ名までつけられるくらい有名になってしまったのだろうか…。

 残念だったな!今日の狙いはスライムじゃないんだ、はははっ!
 そう心の中で言い返してやった。

 さてどうなることか、とにかく狙いはスライムではない。
 もっと強い魔物を倒さなくては、レベルも頭打ちなのだから。

 ふふんっ、といった態度でいたものだから、門番にも本気で心配される。
「おい、コボルトくらいはいけるだろうが間違ってもゴブリンやウルフを相手にするんじゃないぞ!」

 そうまで言われると、なんだか申し訳なくなって…。
「大丈夫です、勝てない相手とは戦いたくありませんから」
 そう正直な気持ちを伝えていた。

 さて、森についたので準備を進めていきたいと思う。
 今日の討伐対象はズバリ【ゴブリン】だ。

 森には通常スライムしかいないのだけれど、俺はここでゴブリンを倒してレベルを上げようと考えているのだ。

「えーっと、【布】…【火石鉱】…【ろう】…」
 全て今日買い集めた物であり【アイテム生成】の素材でもある。

 それらを30個ずつ購入したものだから銀貨4枚と銅貨20枚が無くなった。
 火石鉱が銅貨9枚と意外と高いのでこれだけしか買えなかったとも言えるのだが。

 それらを取得したばかりのスキル、【アイテム生成・初級】で合成していく。

 手のひらに乗せたそれらは、宙にできた魔力の塊に溶け込み、次の瞬間には爆弾【フレイムボムⅠ】が完成していた。

 宿屋の一件で、聞いていた壁に大穴を開けた代物だ。
 意外と簡単な衝撃で爆発する上に、大きさも15cmほどと、荷物としては大きなものだから、使う冒険者など滅多にいないらしい。

 まぁ稀にスキル持ちが『その場で生成して投げたりする』という事はあるらしいのだけれど。
 宿でこんな物を作った日には追い出されて当然だろう…。

 そんなことはインベントリ持ちの俺には関係ない話なので、さっさと20個ほどの【フレイムボム】を作成して収納しておく。

 30個作れって?嫌だなぁ、何かに使えるかもしれないじゃん。
 あと、一個ずつでもいいからアイテムって残しておきたくならないか?俺はそんな性格なのだ。

 で、問題のゴブリンなのだけれど…。
 俺は自慢じゃないが、攻撃手段を手に入れたとしても防御手段が非常に薄いのだ。
 避けられて襲われたらひとたまりもないのだろうから、決して無茶はできない。

「とうちゃーく!」
 スタスタと森の奥に進み、以前足を滑らせた崖の上に俺は立つ。

 遠く見えますのは崖下に存在する魔物たち【ゴブリン】でございます。
 崖下にも木々が生い茂り、洞窟らしきものが確認できる、その周辺に何体ものゴブリンが徘徊しているのが見えるのだ。

 こうやって崖下を覗くと、木にぶつかって止まった強運に感謝し、もし落ちていたらと思うと、俺は軽く身震いをしていた。

「よいしょー」
 フレイムボムを崖下に投げる、ただそれだけで、崖下に落ちたフレイムボムは衝撃で爆発するのだ。

『………ドーーーン!』

 上手いこと2匹固まっていたゴブリンに命中した。
 崖下では『ギャッ、ギャッ』とゴブリンが騒ぐ様子が聞こえ、またその声におびき寄せられるように何匹ものゴブリンたちが洞窟から出てくるのが見えたのだった。

 もはや無心であっただろう。

『…ドーーーン!…ドーーーン!』
 何発ものフレイムボムが投下されていく。
 あっけなく10匹以上いたゴブリンたちが光となって消え、落ち着いたところでレベルを確認してみると、あっという間に8になっていた。

 噂以上に強力なアイテムだ…。
 初級で作れるのに誰も作りたがらないのは、自分が死にたくないからだと言っていたのだから相応の破壊力なのだろう…。

 調子にのっていたのだろうな…。
 その時俺は、もっと強くもっと経験値のくれる敵を望んだのだった。
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