隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第1章 異世界

19話 仄めく、まばゆく、そして静寂に包まれる

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 恐怖、焦り、不安。

 それらは人の睡眠を妨げる要因としては十分すぎる。
そして睡眠不足はさらに心を不安定にさせる。

「仕方がない、もしかしたら話が通じるかもしれないしな…」

 ここ3日は少女のことが気になって、魔物との戦いの時にも幾度か危険な目にあってしまった。
 四大精霊イフリートがあの少女なのか、ただ繋がりがあるのか。
 いずれにしても一度は生かしておいた命を、有無を言わさず屠ることもないだろう…。

 心のどこかでそう決め込んで、納得しようとしていた。

しかし、そう決めたのならやることは簡単である。
 そう、俺は再び『ひかりの洞窟』へと向かっていたのだ。

 こないだとは随分と雰囲気が違う。
「な…んだこれ?」

 視界を塞ぐほどにあふれる【ウィスプ】達、『これが本来のひかりの洞窟か…』と思わんばかりの数である。

 何人たりとも通さないといった風に、ウィスプが道を塞いでいた。

「でも俺は行かなくちゃならないんだよ…すまんな…」

 赤い矢を取り出す。


「……よし」

 爆散させる。
「…まーだ洞窟の外だしー、やれるだけやってやんぞー」
 もはや感情も捨て去り、爆風を受けない程度に奥にいる魔物達を爆殺していく。

 そして見える範囲は駆逐した。洞窟に少し入っては同じように攻撃…。

「そういや物理効かないっていってたけど…
 そっかぁ、爆炎も魔法攻撃なんだな」

 いくら広い洞窟とはいえ、こんなところで赤い矢を使うのはご法度なのかもしれないのだけれど、大量のウィスプ達を一掃するにはとても都合が良かったのだ。

 長い直進、曲がり角。
 そんなところを離れた位置から何発も何発も打ち続けていたものだから、出口に着く頃には500以上のウィスプを倒していたのだ。
 今も後ろでは新たなウィスプが生まれているのを考えるのは後回しにしようと思う。

「ん?赤い…スポット…」

 これは採取ポイントを見つけた時の光だと認識している。
 以前赤い光を見たときは森の中で【上薬草®️】を見つけた、そして今もインベントリに眠っている。

 そうそう見つからないものだから、何だったのか?あれはただの幻だったのか?と勘ぐってしまうほどに見かけない。
 ようやく2個目の赤い光を見つけたのだから興味がそちらに向いてしまう。

【義勇者の愁訴(しゅうそ)】
 前回来た時には気付かなかったものが出口付近にあった。
 と言うよりも、今回たまたま爆炎によって崩れた岩肌から出てきただけなのだけれど。

 せっかくなので装備してみる。少女の言っていた【遺物】というのはこれのことだったのかな?と納得した表情を浮かべ、外へと出たのだが…。
 崖下の絶景ポイントには少女や冒険者の姿はおろか、魔物の一体すら見かけることはなかったのだった。

 崖下を果ての見えない東へとしばらく歩いたのだけれど、ただ何もなく続く道に飽きてしまい10分も進まないうちに洞窟へと踵を返していた。

 そして、これから…もう一度【ウィスプ地獄】が待っている。
 足が重く感じられ、いっそこの崖を飛んで登れないかと考えたものだ。

【義勇者の愁訴:チョーカーを象った呪法の一種、魔素術式の妨害、魔法の被ダメージ-50%】
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