隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第2章 精霊王

21話 ボーナス

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 【イフリート】と一緒にいる屈強な男は誰だろうか?
 なんて考える余裕もなく、その男にピルスルが為すすべもなく追い詰められていく。

「ぬっ、主ら来るでないこやつは強い!
 儂らは今まだスキルも使えんじゃ、脱げ切る事を考えよ!」
 叫ぶピルスル。

「あ、やっと出てきたー」
 そう言っていたイフリートも、随分と待ちくたびれた様子であった。

 逃げ…ていいのか?後ろ街だぜ?
「此奴らも騎士団相手に正面からやりあう気もないじゃろう!儂はなんとかしてみせる、さっさと逃げんか!」

 そ、そうか生きろよピルスル!
「なんて言うわけねぇだろ、お前は馬鹿か!」
 俺はその屈強な男へと向かって行った。

 男の持つ両の手に付けられた籠手が攻撃を受け流し、俺の矢すらもゆうに弾いていく。

「くそっ、他の矢とかあったか?爆発はピルスルが危ないし…」

 ついさっき買った剣があった。
「これで…」

 たった攻撃力10では、どうしようもなかった。これならばまだ矢で攻撃したほうがマシだ。
 あぁ、こんな時に使える武器なら良かったのに…。

「離れな!ボルドー」
 急にイフリートが叫ぶ。

 何故だ?絶対に優位な状況で何故離れる…?
 俺もピルスルも不思議だったのだ。

「応援が来られちゃ迷惑だ、さっさとあの小僧をやって遺物を回収しちまうよ!」
 イフリートはそう言って一枚のカードを取り出した。

 すると地面からスケルトンが現れる。
 …次から次へと、その数およそ…いやもうこれは数えられない。

「もう許さないよ、あんたらぁ…。
 こいつらには遺物の効果は関係無いからねぇ…じっくりといたぶられなよ!」
 さっき、自分で時間がないって言ったくせにじっくりとだなんてそんな。

「それほど強い敵ではないが…数が厄介じゃ、おそらく1万や2万ではないぞ」
 門の前まで引き返してきたピルスルもまた構え直す。
 加えてあの二人も攻めてくるのならば防ぐ手立ては無い。

 皆がそう思っていたのだが。

「うーん…俺にはボーナスタイムにしか見えない」

『ちょっと矢を射ってもいいか?』と、俺は周りに確認した。

「…??ええんちゃう?敵やし…」
「何を言っとるんじゃお主は」
「シュウさんどうかしました?」

みんな俺がおかしくなったとでも思ったのだろうな…。
「じゃ、…じゃあみんな防御魔法全開で頼むわ」
 なんだか気分を害されてしまった気もするが俺は矢を射った。
 【爆裂の矢Wエンチャント】牢の中で試しに作っていたものだが危険すぎるので使うことはないだろうと思っていた一本。

 『ヒュンッ』と上空に放たれた矢は、放物線を描き約200m先へと飛んでいく。

「みんな伏せろ!」
 すぐに俺は周りに叫んだ!

 着弾した矢は、一瞬無音で…爆発する。
 そしてその爆発はさらに広がり、上空へ大きな雲を作る。そして爆音が鳴り響く。

 一本の矢は、そこら一帯を焼け野原へ変えるほどの威力を持っていたのだ。

【EXPフレイムアローWエンチャント:攻撃力15(爆炎25)、着弾点を中心に使用者の手前1mまでの距離を対象とする】

「…へ?」
 呆気に取られたイフリートと、隣に立つ男は無傷のようだ。となるとあの男も火属性が効かないと考えていいだろう。

 ならば氷の矢で、と思った瞬間には『おぼえてろー』なんて言って消えて行った。

 結局またも謎のままなのだ。
 誰か…彼女が何をしたいのか教えてくれないだろうか…?

 そうそう、この矢なのだが、牢の中で作ったものである。
 薬の効果で通常スキルは使えなかったし、インベントリの中から爆炎の矢を取り出して、一本の矢を2日間かけてエンチャントしてみた。
 たったそれだけなのだけど、束でやるより随分と違った効果が得られたもんだから、一回だけ使ってみたいなと思っていたところなのだった。
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