隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

文字の大きさ
56 / 87
第2章 精霊王

22話 厄介払い

しおりを挟む
 玉座の前に…再び俺たちはこの場所へ来た。

 先程スケルトンの軍勢およそ数万、およそなのに数万、具体的な数は証でも見ればわかるのだろうが。
 それを相手にし、圧勝してきたところなのだ。

 で俺は、だ。

「すいませんでしたっ!」
 王に向かって頭を下げている。
 スケルトンの襲撃をどうにかしたのはいいのだが、それによって街道や街の入り口に被害が多く出てしまったのだ。

「うむ…まぁ今回は仕方のないことだとは聞いておるのだが。
 ちぃとやりすぎだったようだ、さすがになんの処罰も無しというわけにもいくまい」

 もちろん覚悟はしているつもりです、でも極刑!とかやめてほしい。
 なに言われるんだろう…ってドキドキしてた。

「僭越ながらサルヴァン国王よ、此度の襲撃はイフリートによるもの。
 この程度の被害であったのはこの者の功績ととってもおかしくはございませぬ」
 そう言ってピルスルがかばってくれた。

「まぁ私も、元より感謝しておるくらいなのだがな」
 ため息をつきながら王が答える。

 ありがとう王様。
 でもうーん、もしかしなくても俺がいなかったら襲われることも無かった気もするのだけど…。

「よしっ、シュウよ!」
「は、はい!」

 なんだ、何を命じられるのだ…。

「聞いた話では数万のスケルトンを倒したのだろう?証を譲ってはくれんか、全てでなくとも良いあと一人分、そうだな2万ほどあると嬉しいのだが」

 ん?誰か上位職へ?と思っていたら続けて王は…。
「実はミドのやつがこの間からずっと暴れておってな、もう私の手にもおえんのだ…。
 危険だからと言うのだが、何度も脱走しておって…。
 それならばいっそ強い冒険者達といてもらった方が幾分か安心だ。だがそんな信用できる者も多くはあるまい。
 つまり……その…」

「あ、はいはいわかりました面倒見てくれということですね」

「話が早くて助かる、ミドのやつも小さい頃から訓練は積んでおるから、そこらの冒険者よりはマシなはずじゃ」

 レベルはもう22だという、弓術に長け、占いに長け、ただ危険に突っ込んでいく性格なので安心できないのだと。
 今は魔素も少なく転職もできないので、俺の手に入れた証で転職できるだけの魔素を譲ってくれ。それで今回のお咎めは無しということでどうか?ということだった。

 あれ?魔素が足りないのって騎士達の転職のせいでは?
 まぁ強い者を優先的に強くし備えるのは当然なのかな。

 まぁ、ミド様を連れて行くのはいいんだけど…俺たち冒険者だしなぁ。
 なんて悩んでると…。
「強いんならええんちゃう?でもなぁ『冒険者たる者、命は自分で守るもんや』ってウチらのギルド長…元ギルド長様のありがたーいお言葉や。
 なんかあってもウチら責任は取れへんで?ええんか王様」
 もっとも気になることをズバッと聞くローズ。

「ま…あ、もちろんそのつもりだ…しかし今のように毎度城から抜け出されて何かあっては遅い。
 それまでに誰かしらに頼むつもりではあったのだ。
 ピルスルがいるのであれば信用はおける、だからすまんがよろしく頼めるか?」

 そこからは快諾し話が進んでいった。
 とりあえずはダンジョンの被害の少ない所へ行くのが良いだろうと。
 おそらく奴らは各地で魔素を吸収しつつ行動している。
 目的はわからないがこのままでは、今すぐではなくとも近い将来、世界中で荒廃した地域が増していくだろうという結論だ。

 つまり、どのみち西の大陸にいたのでは会えるかどうかもわからない。
 いっそ元帝国があった東の大陸まで向かうことにしてはどうだ?と決まった。

 で、だ。

 正義感の強いピルスルが向かおうって言うのは良いんだが、ぶっちゃけローズもレギも若いのだし。
 そんな危険な旅に連れて行くのはダメだろうってなるわけなんだけど。

「ウチ心配する人誰もおらんし、二人に付いていくで?」
 そうあっさり答えるローズ。

『私…は、両親いますので辛いですが帰ることにします』とレギが言うと今度はピルスルが分かったと言う。
「そうか、ならドルヴィンと共にギルドで冒険者どもを見てやってはくれんか?
 お主なら魔物や武器のことは人一倍知っておろう。
 その知識を持って街の助けになってやってはくれんか?それならばもちろん合間に冒険に行くこともできよう」
 ピルスルも長年レギを見てきているので、彼の長所をよく知っている。

 ピルスルもそこそこは魔物の知識を得ている、長年の蓄積からだ。
 だがそれを凌駕した量をレギはスキルと少年時代からの知識、両方を使いこなし会得しているのだ。

「で、シュウ…お主はどうするのじゃ?」
 え?俺?

「抜けていいのか?ローズと一緒に街帰って冒険者やってようかな」
 つい本音を答える。

「そうか、やっぱりお主はそういう奴じゃったか!」
 突如短剣を俺の首筋に当てる。
 全身を震わせるピルスル、その目は赤く白く光っているようにも見えた…。

「す、すまんすまん、からかっただけだ」

 というわけで、レギを街まで送りそのまま東の大地へと向かうことに決まった。

「じゃあ王様、約束の証はギルドへ持っていきますので…あれ?」

 俺はインベントリを覗く。
 あると思われたものが無い。

[長剣]999個×8と少し
[太い骨]999個×5と少し
[命の実®️]99個×12と少し

 あれ?証は?カケラでもいいんだけど…。

 無い、見落としかと一瞬思ったのだけど整頓したばかりだ。
 あるのは俺とピルスルの武器、アイテム、矢、食料…。

「すいません王様、証が手に入ってないみたいなのですが…?」

 かわりに長剣とか魔素に変換できないのかと聞いてみたら、それらは媒体と呼ばれるもので魔素はほとんど含まれていないのだとか。
「無かったのか…まぁそれでも構わん、ミドにはなるべく装備は充実させてやってくれ…頼んだぞ」
 王様も残念と言った感じだったが、もしかしたらイフリートに呼び出されたから証をドロップしなかったのだろうか…ということで決着するのだった。

 この…命の実、鑑定するまでもなくアレだよなぁ…。なんて思っていたので、王様やピルスルの細かい話はほとんど聞いてなかったのは秘密だ。
 もちろん鑑定して速攻使ったけどね、300個くらい。

 そんなことがあった次の日、早朝からブカブカのフードに身を包んだ少女が護衛をつけて宿の前に立っていた。

「よろしくねっ」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...