隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第2章 精霊王

27話 真実と旅立ち

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 俺たちはようやくリキングバウトに戻ってきた。

 さっそく銀狼亭で一杯呑みたいところではあるのだが、その気持ちを抑えてまずは報告である。
 ギルド長ドルヴィンに事のあらましを説明し、レギもここへ残して行くと伝えた。

 丁度話が終わった頃に、街に盗賊3人組が来たそうで、衰弱しきった様子の彼らはすぐに取り押さえられる事となった。
 そして、ギルド監視で労働を強いられる事になるそうだ。

 その晩は6人で銀狼亭で呑んでいた。
 イフリート、ソフィア、大精霊の存在、過去の戦。

 そして【義勇者】と精霊達が呼ぶ者。
 それらを酒の肴としながら…。

「儂らは…精霊王アイオーンを捕まえるために動いていた。
 奴は狡猾で、なかなか隙を見せんでのぅ。
 完全に隊を分断されてしまった儂らは、訳あって東の大陸に棲まう龍と対峙しておったのじゃ…」

 目的は討伐ではなく捕縛だったはずなのだ。
 しかし、この時代に飛ばされて過去を知った時に、大精霊が討伐されてしまったことを知った。

 それは、この世界の終焉を意味するのだったという。
 精霊王がいなければ、ソフィアの言う通り魔素の暴走が始まり各地で魔物が溢れ返す。
 先先代の王は、それを抑えるべく大水晶を用い、各地にダンジョンを作り今の仕組みを構築した。

 しかしそれでは不十分なのだそうだ。
 なにより大水晶の力は有限であり、それも年々弱くなっている。
 このままでは10年、長くとも20年持つかどうかといったところで、どのみち人間の生き延びられる環境には無いのだと。

 全ては大精霊アイオーンの暴走から始まった。
 そして勇者はそれを…倒してしまった。

 いかに難しい任務だったかは皆が知っていたのだが、それでも勇者は讃えられることもなく、傷跡と呼ばれる場所で一人息を引き取ったのだそうだ。

 ピルスルもその時を生きていたわけではない。
 龍と対峙していた時、仲間…もっとも生き延びて欲しかった者の手によってこの時代に飛ばされたのだと。

 だからこれがどこまで真実なのかもわからないと言っていた。
 直接見てきたという100年前の世界、この時代に来て調べた歴史。
 そしてイフリートやソフィアの発言。それらを彼の中で一つに紡ぎあげているかのように語ってくれていた。

 夜は更けて生く。

 俺たちは次の目的も分からぬまま、それぞれの部屋へと入っていったのだった。

 寝るに寝れない…もう一杯呑んでからでもきっと寝れなかっただろう。
 それほどにピルスルの話が重く、俺たちにどうにかなることでは無いように思えるのだ。

 そしてピルスルはそれをずっと抱え込んでいたのだと知った時に、非常にやるせない気持ちになるのだった。

 しかし…朝が来ると、元気な声が聞こえてくる。
「おはよーさん!みんな楽しむのは良いけど程々にしーや、酒は呑めど呑まれるなっちゅうやん!
 私なんか日が変わる前には寝てお日様が登る前には起きる、朝ごはんも抜かんしおかげで健康体そのものや!」

 ここの宿屋で朝を迎えると元気を分けてくれる子がいる。
 それは俺たちに前を向かせるのには十分すぎるほどの力があった。

 俺たちはその日に旅立つことに決めたの、だが。

「なぁシュウ、ウチら全員長剣やと困るんやが…」
 そうだった、武器を壊されてしまったのだった。
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