隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第2章 精霊王

《冒険者と魔石》

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「おはようございますマーディーさん、今日はどちらに行かれますか?」
「あぁおはようヴァイツ、いつものパーティーで西のダンジョンに行ってこようと思う」

 一年ほど前に、ようやくレベルが15まで上がった俺たちのパーティーは、比較的近いダンジョンで宝探しみたいな事をしていた。
 まぁお宝が手に入る事があるから、宝探しで間違いないのだけど。

 俺のスキルでパーティーは敵から見つかりにくくなるからって、よくダンジョンに行こうと誘われるのだ。
 うまくいけば銀貨30枚、とんでもないお宝でも見つかれば金貨だって夢ではない。

 コボルトを狩っても大した金額にはならないのだから、俺たちにはこの生活の方が合っていた。

「西のダンジョンと言うことは【混沌の洞窟】ですね。わかりました」
「今日もとんでもないヤツ見つけて来るから、帰ったら一緒に飲もうよ?」
 モルツは獣人だが、とても可愛い子である。
 俺みたいに言いよる男は少なくないのも知っていて、
「ごめんなさいね、お仕事ですから」
 必ずこう言われてしまうのだ。

 パーティーメンバーは、機動力メイン。
 そういう風に集めたわけではないのだが、気の許せるもの同士集まった結果といった感じだ。
 魔法使いもいないし、俺はレンジャー獣人のラクトがハウンド、ビーストテイマーのバラン。皆、脚は早い方である。
 お陰で魔物とほとんど戦わずにアイテムだけ掻っ攫う事ができるわけなのだが。

 今日も西のダンジョンに潜ることにした。最近近くで騒ぎがあったようで、あまり冒険者が来ないのだから都合が良かった。
 いくらダンジョン内でアイテムが自然に生成されていくと言っても、一度取ったらしばらくは復活しない。
 噂では、この辺りで殺し合いがあったと言うのだが、なんだそれ?である。

 盗賊が荷馬車を襲ったりする事なんて、稀にあることじゃないか。
 そんな事でいちいち怖気付いてどうするのだ?
 ギルドを出るときもモルツから『危なそうでしたらすぐに戻ってくださいね』と言われる。

 まぁ危険なダンジョン内で潜んでいるような馬鹿はいないだろうし、警戒だけはするようにしておくが。
 そしてビーストテイマーのお得意スキルで、俺たち3人は大きな狼に乗って1時間ほどのところにある西のダンジョンに到着したわけだ。

「なんだよ、別に何も変わってねぇじゃん」
 その騒ぎがあってから約1週間、一応自重して訪れないようにしていたのだけど、これは想像以上に拍子抜けである。

 ダンジョンに潜りはじめると、出るわ出るわアイテムの山。
 ポーション系エーテル系はハズレだが、霊薬は最低でも銅貨50枚、武器防具は銀貨3枚にはなりそうだ。

 いつも通り2階層まで来てみたが、ここでもお宝が全然残されたままである。
 アクセサリーは効果次第では銀貨20枚にはなるだろうか?
 この塊はもしかしたら宝石なのではないか?ならば金貨3枚でもおかしくはないサイズだ!

 調子に乗った俺たちは、低確率で上位種の魔物に遭遇すると言われる3階層へと足を踏み入れた。
「おぉ!ポーションや霊薬がバカみたいに転がってやがる!」

 そんな中バランが一つの親指ほどの石を拾い上げていた。
「なぁ見ろよ、この石光ってやがるぜ?」
 不思議な光に俺たちは視線を向けていた。
「そんなに見たってダメだ!これは俺が見つけたんだからな!」

 そう言ってバランは、石を無造作に自分の持つ麻袋に放り込んだのだ。
 俺たちのルールでは、換金するものは等分で、とても珍しいものを見つけた場合は発見者が貰う。ただし偏りすぎる場合は数を調整していた。

 バランが『渡さない』と言えば俺たちはそうする他無かった。
 悔しいからもう一つ落ちていないかと探していたのだ。

「うわっ?!なんだ!」
 急にバランが騒ぎだし、麻袋からは眩いばかりの光が溢れ出す。
 魔物がどんどんと現れるものだから、俺たちは必死でその場を離れようとしたのだ。

 そして、2階層に戻る寸前のところで、俺たちは魔物に捕まってしまう。
 腕を噛み切られ、殴られた足は逆に曲がっていた。
 その場から動けなくなった俺たちにオークやウルフ達が詰め寄り、直後に喰い殺されてしまう。

「モルツ、何かあって帰って来なかったら様子だけ見に来てくれよ。
 どうせ死ぬなら最後にお前の顔だけでも見ておきたいからさ!」
「馬鹿なこと言わないで絶対に戻ってくるとお約束ください。
 私に死にゆく冒険者を見届けろなど、よく言えたものです」
「あ、いや…そういうつもりじゃ無かったんだけど」

 そんな会話を思い出して、死ぬ間際に俺は『ハハッ』と笑っていたのだった。
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