隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第3章 消えた街

第7話 作戦

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 ダンジョンの入り口でシロから降りると、俺は中にいる魔物の方へ向き剣を振るう。
 シロは直後指輪に戻され、レギを囲うように皆が立ち、ミドとローズは外の魔物に矢を射っていた。

「シュウ、あの矢ちょうだい!」
「ほらっ、景気良くやってくれ」
 俺は、ローズと俺によって2度エンチャントされた爆炎の矢を手渡す。
 ここに来る直前に用意しておいたものである。おかげでエーテルポーションを今日は既に2度も飲んでいる。

 魔力が尽きると身体が怠くなってしまうのだが、何度も回復と消費を繰り返す事で、今度は気持ち悪くなってしまう。魔力酔いとかいうやつだ。
 ローズは何度も経験しているようで、俺が吐きそうになっているのを見て笑っていた。

 ミドに渡した矢は、次々と放たれ爆炎と化す。
 今回は忘れず霊薬も使っており、火力は前回の比ではない。大抵の魔物はその爆炎に巻き込まれると光となる。
 今この場で、少しでも減らしておかねば後々が大変なのだ。一度出現した魔物は倒さねば消えることはないのだから。

「ラストぉ!」
 ミドが全て射ち終え振り返る。
 ダンジョン内に侵入すると、内部もまた等しく魔物がひしめいている。

「ローズ、矢を持っててくれ」
 インベントリから新たに1束取り出し、ローズの持つ矢筒に入れる。

 ダンジョン内は通路幅もそこまで広くはないので、シロを呼び出すには辛いものがある。
 こちらもやはり上位種が、いやダンジョン内部の方が魔素が濃いせいだろうか?上位種の魔物が多いのだ。

「レギ、支援魔法頼む!ミドはなるべく敵の動きを止めてくれ!」
「はい、シュウさん!」
「わかりましたわ、ローズさんお願いします」

 ミドが放つ矢は、動きの素早い魔物をもいとも簡単に射抜いてゆく。
 ステルス矢で、気付く事なく射抜かれた魔物はその場で眠りにつくか身体の動きを止めるか。
 そこに俺が斬りかかり倒していくのだ。

「しまった!1匹そっちに行ったぞ!」
 俺の傍から小型の魔物が後方の3人を狙って飛びかかっていく。
上位種ではないものの、かなりレベルの高い狼種であった。
「任せてください!」
 そうレギが言い2人の前に立つ。その両手で一本の剣が握られている。

「やぁぁぁっ!」
 レギが人の身長ほどはあろうかという白い刀身を振り下ろすと、飛びかかった狼はその身を宙で二つに分け、消えていったのだった。

「レギ!少し任せても良いか?」
 俺は、レギに前衛に来てもらい、魔物をその剣で相手してもらうことにした。
 正確には俺よりやや後ろで、という位置なのだが、ミドの邪魔にならないよう魔物の正面は避けている様子。
 どうせ俺たちの上空を越え的確に魔物を射抜くのだから、あまり立ち位置は関係ないのだが。

 そうやってなんとか1階層は突破する。
「どこか安全な場所は無いのか?」
 俺は受けたダメージの回復をしたくて3人に聞くのだが、周りは次々と魔物が出現していくのだがら、どだい無理は話である。
 「結界でも無きゃ安全な場所なんて無いわよ!」
 さらに続けてローズが『文句言わんと進んでや!』と俺に返す。
 一応レギが回復魔法を使ってくれてはいるのだが、やはり本職ではないのだし効果は薄い。

「せや!結界張ったらええやん!」
 あまりに急いで来たために、持っているものの事を完全に忘れていたのだ。インベントリに入っているせいでもあるのだろうが……。
 すぐさま俺は魔水晶を取り出しミドに渡す。使い方は俺たちはよく知らない。

「ちょっとだけ待ってね……」
 その間おそらく30秒ほどであったと思う。結界を張るまでの時間だ。
 眠りも麻痺も受けていない上位種の魔物と対峙し、レギが大きなダメージを受けてしまう。
 幸い命の実のおかげで体力が尽きることは無かったのだが、初めから結界を張ってから来れば、こんな目に会うこともなかったのではと後悔するのであった。

「やっぱ作戦って大事やんなぁ」
「そうですわ、シュウさんが突っ込んでいかなかったらちゃんと思いついていましたわよ」
 『そうかそうか、もう好きに言ってくれ』と俺は思うのだった。
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