隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第3章 消えた街

第8話 壊れた魔石

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 結界を張ったお陰で2階層は随分と楽である。
 結界は濃い魔素に反応して反発力が働く仕組みであり、大きくすればその力は弱くなる。
 当然街を覆うほどまでも大きさにすれば、せいぜいゴブリン程度しか退けられなくなるのだが、今はたった4人を覆う程度である。

「凄いなぁ、上位種の攻撃もものともしない」
「なぁシュウ……うちにもポーションちょうだいや、エーテルの方」
 ずっとエンチャントし消費した魔力を回復し続けて、それはそれは気持ち悪そうにしながらも、ローズはまだエンチャントをし続ける。
 束でエンチャントするよりも1本ずつの方が効果的だからって、結界に入ってからもずっとやっているのだ。

「ローズお姉様、少々休まれては?」
 ミドがそう言いながら、ローズの背中をさすっていた。
 後で動けなくなってしまわれるのも困るので、俺もローズに休むよう促すと、ようやくその手が止まったのだ。
「せやなぁ、後で迷惑んなるかもしれへんし……」
 だいぶ疲れている様子であった。

「で、レギのさっきの剣は?」
「これ、シロですよ」
 レベル25で得た武器化のスキルだそうだ。確かに反った形状や毛をイメージしたのか鋸状になった峰に白い刀身。
 言われる前から予想はしていたのだが、あの大きな白狼の武器化した姿であった。

「しかしデカいな、大丈夫か?」
「まぁちょっぴり重いですね、僕の力じゃ振り回すのは難しいです」
 ちょっとだけ持たせてもらったのだが、見た目通りの重さで、俺でも振り回すのは大変そうであった。

「タマはどんな武器なんだ?」
「あ、そっちの方が重かったです。おっきなハンマーになっちゃって持ち上がりませんでした」
 レギは笑いながらそう言っていた。

 他のアクセサリーでも入手していれば色々と戦略は広がるのだろうなと思い、インベントリを見ていたのだが、またも入手したのは【魔獣の笛】、しかも4つである。
 『同じものがいくつも有ってもなぁ』と言ったら、『もしかしたら付けた数だけ呼び出せるかもしれないのでください』とレギは言っていた。
 今ここでは試せないので、ダンジョンを脱出してからになるのだが、ちょっと期待してしまった。

 3階層、このダンジョンは初心者向けと言われており、ここが最下層となっている。
 正確には、この次の階層は見つかってはいない。はずなのだが、降りてきてすぐの場所には次の階層への道がある。
 おそらく、魔石から溢れ出た魔素の影響で、ダンジョンの構造に変化があったのだろうとミドは説明していた。

 しかし、それまでここが最下層であったのならば、魔石はこの階層のどこかにあるだろうと言うので、俺たちは注意深く周りを見ながら進んで行ったのである。

「ミドちゃん、あそこに光ってるのが見えた!」
 真っ先にそれを発見したのはローズだった。大きさは全く違えど、一度はノームのダンジョンで見ているものだったので自信もあるようであった。
 ミドが結界内から目視で確認をし、それが間違いなく魔石であることがわかる。

「シュウさん……ちょっと相談いいかしら?」
 ミドが改まって俺に声をかける。
 また結界を解いて再度魔石を取り囲む間、周りを見ていてほしいとお願いされるのだと思った。そのつもりで準備もしていた。

「この魔石は通常ではありえないほどの大きさをしています。
 もしもうまく魔水晶で取り込んだとしても、ひと月は魔素を放出し続けるのではと考えてしまいます。
 もし……可能であればシュウさんが持つインベントリで保管はできないでしょうか?」

 それは俺のインベントリが、状態も保存し続ける力を持つと知っての提案。
 取り出さなければずっと中で眠り続けるだろう。だが間違っても取り出してはいけない危険なもの。
 それは爆弾の比では無いのだが、頼めないか?と言うのだ。

「俺が断ると思うのか?」
「断らないと思うから辛いのです。シュウさんだけにそんなものを押し付けたくはなかったのですよ……」
 ミドも悩んだ末の提案だったのだ。だから俺は迷わずに魔石に向かっていた。
 まぁそうでなくても仲間のお願いであれば嫌とは言わなかっただろうが。

 魔石は、俺のインベントリの中に収まった。
 魔石の影響で新たに魔物が生まれることは止まった。
 そしてまだ周りには多くの魔物達がいる中、俺たちの周りだけは異様に静かに感じられるのであった……。

【壊れた魔石(大)】
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