隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第3章 消えた街

第20話 水の都アクアポート⑤

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「前よりも多くの気配が一斉に押し寄せて来て、半分以上はあの大きな気配に消されたようなの。
 だけど街に近付いたら手出しがし辛くなったみたいで、街の近くで待機してるんだと思う」
「何を言っとるかわからんが、儂らは街に入ってきた魔物を倒せば良いのじゃろ?」

 暗闇の中ピルスルがまるで全て見えているかのように駆け抜けていく。
 俺もそれに続いていくが、見えない足元に躊躇してしまいどんどん引き離されてしまう。

「ピルスルさん!敵の群れは一体一体が上位種に匹敵する力を感じました!注意してください!」
 ミドが先を行くピルスルに大声で伝えると、それが聞こえた者が目を覚ましたようで、次第に街が明るくなっていった。

「街のみんなごめん!侵入した魔物を退治したいんだ!灯りを点けてくれ!」
 俺もまた大声で叫ぶ。『なんだなんだ』と家から出てくる者もいるが、危険だからとすぐに中に入ってもらった。

 お陰で十分な明るさを得ることができたのだ。気付けばレギと共に白狼が後ろを駆けていたので、もう一頭の方に乗せてもらう。
 さすが白狼は身のこなしが軽く、水路に惑わされることもない。ひとまず索敵のためミドとローズの元に戻る。

 最初からこうしていれば、とも思うのだが、慌てて出てしまってそれどころで無かったのだ。多分レギが一番落ち着いていたのだろう。
 およそ200メートルといったところだろうか?何匹かの魚に足が生えたような魔物が長い得物をもち構えていた。

 近くでピルスルが魔物と対峙しているのだが、攻撃はあまり効果が無いようである。
「ローズ!矢を渡しておくから向こうは頼む、俺はピルスルの加勢に行く!」
「わかった!レギは弱点を教えて!」
「さっきから見てるのですが、ハッキリしないんです。普通の魔物じゃないのかもしれません!」

 ともかく俺は苦戦しているピルスルの元へ向かう。
「大丈夫か?!苦戦しているようだが」
「うむ……なにやら魔物の周りが不思議な力で守られているような感覚じゃ。剣が弾かれてしまう」

 俺も魔物に向かって剣を振るう。わずかに斬りつける事はできるのだが、まるで鉄の塊でも斬っているような感覚に陥るのだ。
「お主の魔剣であれば少しは効果があるようじゃの!儂は支援に徹する」
 ピルスルが魔物の動きを止めようとするが、効果もイマイチのようだ。それでも俺には十分すぎる支援であった。

「2匹目倒したぞ!あと何匹いるんだ?」
「こちらはあと2匹じゃが、向こうが押されておるようじゃ!」
「わかった、こっちはなんとかする!ミド達を頼む」
 俺は不思議と余裕で倒せそうな気持ちになっていたのだ。レベルが上がった時でもこう動けるとは思えない、自然と魔物の動きを読み、対応動作が出てくる。
 自分でも不思議だったのだが、まるで誰かが乗り移ったかのような動きが自然と出てきた。そうとしか言えなかった。

「ラストォ!」
 俺は4匹目の魔物を倒し、すぐに皆の元に向かう。
 1頭の白狼はひどく傷を負い、もう一頭とレギ、ローズは距離を取っていた。
 3匹の魔物に囲まれて、今にもやられてしまいそうになっているミドとピルスル。なんとか攻撃を躱して保っている状況である。

「待たせたな!とにかく2匹は俺が惹きつける、そっちの1匹を相手してくれ!」
 俺の動きはやはり何か変である。何がとは言えないのだが……。
 先程も2体を相手取っていたので、倒せないとは思えなかった。その数分後には3体目と対峙しており、すぐにそれも終わりを迎えたのだった。

「お主、剣の腕が相当上がっておるな。儂よりも強いのではないか?」
 それは剣の攻撃力などでなく、純粋に腕前として言った言葉である。
 しかし、こんな時間に今まで戦った上位種の魔物以上の魔物が群れで街に侵入するなど、どう考えても自然に起きることではない。
 タイミング的には俺たちを狙ったものなのか?だが少し前から渦が出ていたと言うのがわからない。

 ともかく宿に戻り、ミドは昨夜から感じた気配について詳しく説明をしていた。
 そして、おそらくこの街を守る存在がいるのだろうという結論に至るのだが、龍である確信も無く会う方法もわからない状況で、皆が再び悩んでしまう。

「みんな聞いて、あの後海の中の気配は底の方に消えていったのだけど……もう一つ、それよりは少し小さいと感じたのだけれど強い気配が遠くにあったのよ」
 それが今回の騒動の犯人ではないかと、ミドは説明を続けた。そちらに関しても、おそらく俺たちに敵う相手では無いだろう、と。
 
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