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【第17話】魔界へ
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最下層へと進むアビルマ一行。
到着時にはゴリアテも小部屋で横になっており、コアは無事なままであった。
時折3階層へと戻りアイテムを集めては安全な最下層へと逃げ帰る繰り返しで、どうやら脱出よりもお宝を選んだようなのだ。
おかげでダンジョンの崩壊は免れたわけで、途中合流したゲイル達と共に地上へと戻ってもらうことになる。
「アイツが金の亡者で助かったよ」
ゴリアテの後ろ姿を見送りながらパティは呟く。
この小部屋にゴリアテを残したとヴァルから聞いた時は焦ってしまった。
コアが破壊されては魔界へ行く機会が先送りになってしまうのだ。
それだというのにアビルマもヴァルも全く焦りはない。
2人ともゴリアテの性格は把握しており、行動も予想がついていたののだろう。
「じゃあさっそく設置しちまおうかね。
入り口は任せるよパティ」
「う、うん」
階層を隔てる扉に細工を施し、パティは再びアビルマの元へ戻る。
単に3階層側から入れないように閂をするだけではあるが、それをマナの力で少しばかり強化しただけである。
魔界に行っている間に破壊されでもしたらどうしようもなくなるのだ。
戻ったパティの目には、幾つものマナ結晶を収めた箱が映っている。
それらカームに準備させていたものとは別に、アビルマの懐から似たようなものを取り出す。
完成はしたと思っているが、念のために過去に作ったものをカームに集めさせていたのだ。
どこに置いてあったのかも知らない箱は全部で8つ。
アビルマがその中心に懐のマナ結晶を置くと空気が変わる。
マナの動きで感じていた風のような流れはなくなる。
シン……としたダンジョン内は、まるでここではない時の止まった異空間にでもなったかのようだ。
「じゃあ行くとしようかね」
アビルマがダンジョンコアに触れると、コアの光が強まり、3人を包み込んでいく。
「向こうの武器とか、残ってないかなぁ?
こっちの世界の鉱石って、マナとの相性悪いのよねぇ……」
ヴァルは剣の抜き身を見ながらボヤく。
パティも同じようなことは考えていたが、それ以上に魔界に住んでいた人たちのことも気になっていた。
遠くに見えた建物。
魔物が蔓延ってはいるが、地球のように生きている人たちが細々と生活しているのだろうか?
それとも既に……?
もう地球での生活の方が長いというのに、やはり故郷のことは忘れられないようだ。
光の中で、そんなことを考えながらパティはアビルマの表情を見つめていたのだった。
それから間もなくして、ダンジョンから冒険者たちは引き返していった。
臨時の買取所は撤収され、持ち込まれた素材の量も多くなりダンジョン産のアイテムは相場が少しづつ下がっていたのだ。
それに加えて、ヴァルから念押しで『町に帰れ』とこっそり言われたゴリアテが、ダンジョンにはしばらく近寄るつもりがないと言うのだから。
多くの冒険者は『それほど危険な場所なのだと勘違いして』離れていったのだ。
まぁ実際に危険ではあったが、コアを安定化させた今では魔物が増えることはないのだった。
到着時にはゴリアテも小部屋で横になっており、コアは無事なままであった。
時折3階層へと戻りアイテムを集めては安全な最下層へと逃げ帰る繰り返しで、どうやら脱出よりもお宝を選んだようなのだ。
おかげでダンジョンの崩壊は免れたわけで、途中合流したゲイル達と共に地上へと戻ってもらうことになる。
「アイツが金の亡者で助かったよ」
ゴリアテの後ろ姿を見送りながらパティは呟く。
この小部屋にゴリアテを残したとヴァルから聞いた時は焦ってしまった。
コアが破壊されては魔界へ行く機会が先送りになってしまうのだ。
それだというのにアビルマもヴァルも全く焦りはない。
2人ともゴリアテの性格は把握しており、行動も予想がついていたののだろう。
「じゃあさっそく設置しちまおうかね。
入り口は任せるよパティ」
「う、うん」
階層を隔てる扉に細工を施し、パティは再びアビルマの元へ戻る。
単に3階層側から入れないように閂をするだけではあるが、それをマナの力で少しばかり強化しただけである。
魔界に行っている間に破壊されでもしたらどうしようもなくなるのだ。
戻ったパティの目には、幾つものマナ結晶を収めた箱が映っている。
それらカームに準備させていたものとは別に、アビルマの懐から似たようなものを取り出す。
完成はしたと思っているが、念のために過去に作ったものをカームに集めさせていたのだ。
どこに置いてあったのかも知らない箱は全部で8つ。
アビルマがその中心に懐のマナ結晶を置くと空気が変わる。
マナの動きで感じていた風のような流れはなくなる。
シン……としたダンジョン内は、まるでここではない時の止まった異空間にでもなったかのようだ。
「じゃあ行くとしようかね」
アビルマがダンジョンコアに触れると、コアの光が強まり、3人を包み込んでいく。
「向こうの武器とか、残ってないかなぁ?
こっちの世界の鉱石って、マナとの相性悪いのよねぇ……」
ヴァルは剣の抜き身を見ながらボヤく。
パティも同じようなことは考えていたが、それ以上に魔界に住んでいた人たちのことも気になっていた。
遠くに見えた建物。
魔物が蔓延ってはいるが、地球のように生きている人たちが細々と生活しているのだろうか?
それとも既に……?
もう地球での生活の方が長いというのに、やはり故郷のことは忘れられないようだ。
光の中で、そんなことを考えながらパティはアビルマの表情を見つめていたのだった。
それから間もなくして、ダンジョンから冒険者たちは引き返していった。
臨時の買取所は撤収され、持ち込まれた素材の量も多くなりダンジョン産のアイテムは相場が少しづつ下がっていたのだ。
それに加えて、ヴァルから念押しで『町に帰れ』とこっそり言われたゴリアテが、ダンジョンにはしばらく近寄るつもりがないと言うのだから。
多くの冒険者は『それほど危険な場所なのだと勘違いして』離れていったのだ。
まぁ実際に危険ではあったが、コアを安定化させた今では魔物が増えることはないのだった。
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『もういいや。。。』感は分からなくも無いけど、シン君は数年とか下手すると数十年ぶりとかのアタリなのかなぁ。。。(大当たり?)
。。。下に居る大ハズレが心配なんですけど。
ふむ……
とりあえず今からギルマスのやりたいことを書くパートに入るので、そこを終えたら考えてみようかなぁ。
たしかに今までダラダラしてたし、『お前も動けよっ』感は否めない……
アタリかどうかはわからないけど、マナを感じれるだけで年に100人くらい程度にはチート級でしょうな。
そして大ハズレはいつまでも大ハズレでいてもらいましょうぞ(=´∀`)
私は彼でストレス発散しますので(オイ
えぇいギルマス!
カラバリ危険!程度の情報すら与えられないとかどうなってんの!
筋肉バカだけじゃなくて手下っこも知らない感強すぎ!
(教本有っても読まない感は無くもない)
生まれたときから魔力バリバリの悪魔っ子に冒険者の指導させて『何で魔力感じないんだよ!』とかなっちゃってるのはギルマスのせいだろー。
何故、上手く育った地球人に指導させないのか。。。
と、コアとガードのはなしは『前にあった』の一言(+α)で済むよ!
だってアビルマですもん(*´-`)
どちらかと言うと魅惑で冒険者を働かせて甘い蜜を〜じゃなくて
何百年も生きているし、彼女は一体何を考えるだろうって思ったら、冒険者のことなんて二の次になっちゃいまして。
まぁ確かに上手く育った地球人は多くいたはずなんですけどね(=´∀`)
よし、そろそろアビルマのストーリーを書かなくちゃな。
ぼちぼち最終章に突入したいので、引き続きご愛読宜しくお願いいたします!
以下、余計なことをだらだらと書きます。気になさらないでくださいw
実は育った人達みんな、国の命令で強制的にどこかへ連れて行かれました。
軍事力をちらつかせて市町村に圧力をかけて、中には一瞬で町ごと消えたところもあったそうです。
税金の取り立ては厳しくなり、命を絶った者や犯罪に身を染めた者も多かったのです。
それから数十年で国はほぼ滅亡いたしました。
そうですね……そんな状況になったというのに、結局皆が自分の利益しか考えていなかった結果でしょうね。
2021年現在もきっとそうでしょう。
天下りや利権で市民はうんざりとしています。
新型ウイルスに対する根本的な解決法は出さずに、引き伸ばしながらどこかでお金のことばかり考えているのです。
たとえ動物の疫病が出ても殺処分で済ませて補償は無い。
そんな中で何もしていない一部の国の上層部は大金を貰ってのうのうと生活している。
老人は高級車を乗り回し事故を起こしても守られる。
そのとばっちりは全て若者へ。
何が楽しくて生きているのかわからなくなり、絶望して来世に期待する。
アビルマ達のいる世界は、結局数百年、何も変わらなかったんですよ。
アビルマが何か言ったところで、それは蚊虫のごとく叩き潰されて……
83
肩から先の腕と片羽ごと失って→
肩から先の腕を片羽ごと~ ?
まさか読み直しておるとは(*´-`)