【思案中】物見の塔の小少女パテマ 〜魔道具師パティのギルド生活〜

【さまざまなキャラクターの視点から、次第に明らかになっていく過去と、これからを繋ぐ剣と魔法のストーリー
 というのを書きたかったので慣れていないこともあり読みづらかったらごめんなさい。
 話の途中で過去の話が入るのもわざとです】


「どいてろ小娘っ!」
 雨の降り滴る木々の中、革の装備に身を包んだ男たちが剣を漆黒の翼を持つ魔物に向けている。
「痛っ……ち、違うの!
 その子たちはっ!」
 押しのけられ、近くの木に身をぶつけながら女は叫ぶ。
 しかし、無情にもそれは雨音にかき消され、男の握る剣は魔物へと突き立てられる。
 悲痛な叫び声が聞こえ、なおも男たちはその手を止めようとはしない。
「核だっ! 核を破壊すれば魔物は倒せるっ!」
 ボロ布を身に纏った見たことのない魔物。
 全身を鱗に覆われ、角を生やし、また羽を持つものもいる。
 未知の魔物となれば、始末できる時にしてしまうべきだ。
 そう判断した町の者たちは一斉に山狩りを行ったのだ。

 ボロ布は剥ぎ取られ、小型の魔物の胸には丸く青みがかった核が現れた。
「や、やめてっ!」
 どうにか身を起こし、女は魔物の元へと向かう。
 ……が、一歩及ばない。
 剣先を突き立てられた核は、まるでガラス玉のように砕け散る。
 
「あっちにもいたぞっ!
 2匹だっ!」
「おうっ、見失うなよっ!」
 男たちは女と魔物を放置して先へ向かう。
「お願い……やめて……」
 魔物の亡骸を抱き、泣き崩れる女であった。

 ……時は過ぎ。

 魔物と冒険者の棲まう世界カルディナ。
 その冒険者たちと、魔物の素材を扱う職人たち、そして間を取り持つ職員が集う商業組合。
 町でもっとも大きく背の高い建築物はギルドと呼ばれ、近くの村からやってくる者たちの道標ともなっている。

 パティの愛称で呼ばれる少女。
 いつからかそのギルドの最上階、町の外まで見渡せる物見部屋に棲みついた少女は、今もまた一人で魔物の素材に向き合っている。
 少女たちは一体何を思うのか。

【剣と魔物と魔道具の世界、そこで暮らすパテマと若き冒険者シンをとりまく世界のお話】
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