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16話
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「なぁ、その指に付けているのは、まじないか何かなのか?」
街の着いて、馬車と共に門の列に並んでいた僕たち。
アランが、ふと僕の指に着けてあった指輪を指差して言ったのだ。
「え? 普通に装備品のつもりだけど……
……もしかしてこういうの装備したことないの?」
少し驚いたのだが、まぁよく考えたら指輪が攻撃力を上げる、なんて想像できないのかもしれない。
オークキング……じゃなかった、オーク2を倒した時に手に入った知恵の指輪もあるし、僕は着けていた指輪を一個あげることにした。
「そう、それでいつもどおり剣を振ればいいだけだよ」
「はぁ? マジでこんなんで強くなれるのかよ?」
微妙に世界観がおかしく思えるのはなんなのだろうな。
魔法があるのだから、そういう力を持ったアクセサリーがあっても不思議ではないと思うのだけど。
「ん? 少し形が違うみたいだが、そっちは別の効果があるのか?」
知恵の指輪は少し細い。
僕にも詳しい効果はわからないのだが、おそらく魔法に関するものだろう。
希望する効果は、最大MPの上昇とMP自動回復。
今のままでは魔法が使えないのだから、せめて最大MPは上げたいと思う……
「次……はアランと小僧か。
もう面倒くせぇ、さっさと進め……ん?」
冒険者証を見せて、サッと門を潜ろうとすると、積荷のオークの皮に気付いたバーン隊長は僕を呼び止める。
「おい小僧っ!
これもどうせ貴様の仕業だろう?
悪いことは言わん、市場に流すのはやめておけ」
何を言っているのかわからなかった。
てっきり『税金を払え!』とか言われると思ったから、頭がバーン隊長の言葉を理解しようとしないのだ。
歩きながら少し考えていたのだが、どう考えても出てくる結論は『オークの皮を売りに出すべきではない』という忠告の言葉。
元々御者のおっちゃんに欲しいだけ買い取ってもらうつもりだったのだが、それでも半分は残ってしまう。
その半分でさえもギルドには持っていかない方が良いということなのだろう。
なぜだろう?
売りに出すと何か悪いことが起きるのか?
「気にすんなよスノウ、これを売ったらパァッと飲んで忘れちまおうぜっ」
「そ……その前に私を医者へ……」
そうだった、とにかくボジョレを治療してもらわなくては。
御者のおっちゃんには、全体の半分を25000Gで買ってもらった。
ギルドで売るよりも安い金額なのだが、手違いで危険な目にも遭わせてしまったお詫びも込めての金額だ。
ボジョレを医者に預けて前金で20000Gを支払い、ギルドに戻った僕たちは、余った皮を全て親父さんに渡したのだ。
「全部で……そうだな、35000Gだ。
このところ品薄ではあるが、買取金額に色は付けられんぞ」
「構わないよおやっさん。
スノウも良いよな?」
僕は一向に構わない。
むしろオーク討伐だけで日本円で数十万円とは、すごく楽な仕事だとさえ思う。
「うむ……いや助かる。
以前から、どうして皮が手に入らないのかという苦情が絶えなくてな……」
僕たちが報酬を受け取ると、奥の部屋からバァンと扉が開き、アイズが息を切らして駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫だった? 怪我してないっ?」
夕方には帰るとは言っていた。
それが、思いもよらない戦闘に加え、ボジョレを医者に運ぶ必要もあった。
「何時だと思ってるのよ……あんまり心配させないでよね……」
ウルウルと涙目になるアイズを見て、僕は心が痛くなってしまった。
「ご、ごめんなさいアイズ……」
やはり、なるべく心配かけないようにしなくては。
いくらゲームとはいえ、こう毎度毎度心配されるようでは、こちらも辛くなってしまう。
だというのに、空気の読めない男が一人。
冒険者というものは、誰しもこんな感じなのだろうか?
「聞いてくれよアイズ。
スノウのやつ、ほとんど一人で廃墟のオークを倒しちまったんだぜ」
ちょっ⁈ 今それを言う?
心配かけないようにしなくちゃって思ったところなのに!
ハラハラした気持ちになり、僕はそーっと顔を上げ、アイズの顔を見る。
それを聞いたアイズは、キッと目尻を上げてアランを睨む。
次の瞬間、溜まっていた涙がこぼれ落ち、アイズはアランを思いっきり引っ叩いたのだ。
「バカじゃないの⁈ いくらスノウが凄いからって、あんた達は止めようとしなかったわけ?」
激昂してまくし立てるアイズ。
子供だから歯止めが効かない、何かあってからでは遅い。
つい先日亡くなったばかりの仲間のことを忘れたのか……と。
僕にも当分の狩り禁止令が言い渡されてしまい、ギルドの中は緊迫した空気が流れ、静まり返ってしまったのだった……
街の着いて、馬車と共に門の列に並んでいた僕たち。
アランが、ふと僕の指に着けてあった指輪を指差して言ったのだ。
「え? 普通に装備品のつもりだけど……
……もしかしてこういうの装備したことないの?」
少し驚いたのだが、まぁよく考えたら指輪が攻撃力を上げる、なんて想像できないのかもしれない。
オークキング……じゃなかった、オーク2を倒した時に手に入った知恵の指輪もあるし、僕は着けていた指輪を一個あげることにした。
「そう、それでいつもどおり剣を振ればいいだけだよ」
「はぁ? マジでこんなんで強くなれるのかよ?」
微妙に世界観がおかしく思えるのはなんなのだろうな。
魔法があるのだから、そういう力を持ったアクセサリーがあっても不思議ではないと思うのだけど。
「ん? 少し形が違うみたいだが、そっちは別の効果があるのか?」
知恵の指輪は少し細い。
僕にも詳しい効果はわからないのだが、おそらく魔法に関するものだろう。
希望する効果は、最大MPの上昇とMP自動回復。
今のままでは魔法が使えないのだから、せめて最大MPは上げたいと思う……
「次……はアランと小僧か。
もう面倒くせぇ、さっさと進め……ん?」
冒険者証を見せて、サッと門を潜ろうとすると、積荷のオークの皮に気付いたバーン隊長は僕を呼び止める。
「おい小僧っ!
これもどうせ貴様の仕業だろう?
悪いことは言わん、市場に流すのはやめておけ」
何を言っているのかわからなかった。
てっきり『税金を払え!』とか言われると思ったから、頭がバーン隊長の言葉を理解しようとしないのだ。
歩きながら少し考えていたのだが、どう考えても出てくる結論は『オークの皮を売りに出すべきではない』という忠告の言葉。
元々御者のおっちゃんに欲しいだけ買い取ってもらうつもりだったのだが、それでも半分は残ってしまう。
その半分でさえもギルドには持っていかない方が良いということなのだろう。
なぜだろう?
売りに出すと何か悪いことが起きるのか?
「気にすんなよスノウ、これを売ったらパァッと飲んで忘れちまおうぜっ」
「そ……その前に私を医者へ……」
そうだった、とにかくボジョレを治療してもらわなくては。
御者のおっちゃんには、全体の半分を25000Gで買ってもらった。
ギルドで売るよりも安い金額なのだが、手違いで危険な目にも遭わせてしまったお詫びも込めての金額だ。
ボジョレを医者に預けて前金で20000Gを支払い、ギルドに戻った僕たちは、余った皮を全て親父さんに渡したのだ。
「全部で……そうだな、35000Gだ。
このところ品薄ではあるが、買取金額に色は付けられんぞ」
「構わないよおやっさん。
スノウも良いよな?」
僕は一向に構わない。
むしろオーク討伐だけで日本円で数十万円とは、すごく楽な仕事だとさえ思う。
「うむ……いや助かる。
以前から、どうして皮が手に入らないのかという苦情が絶えなくてな……」
僕たちが報酬を受け取ると、奥の部屋からバァンと扉が開き、アイズが息を切らして駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫だった? 怪我してないっ?」
夕方には帰るとは言っていた。
それが、思いもよらない戦闘に加え、ボジョレを医者に運ぶ必要もあった。
「何時だと思ってるのよ……あんまり心配させないでよね……」
ウルウルと涙目になるアイズを見て、僕は心が痛くなってしまった。
「ご、ごめんなさいアイズ……」
やはり、なるべく心配かけないようにしなくては。
いくらゲームとはいえ、こう毎度毎度心配されるようでは、こちらも辛くなってしまう。
だというのに、空気の読めない男が一人。
冒険者というものは、誰しもこんな感じなのだろうか?
「聞いてくれよアイズ。
スノウのやつ、ほとんど一人で廃墟のオークを倒しちまったんだぜ」
ちょっ⁈ 今それを言う?
心配かけないようにしなくちゃって思ったところなのに!
ハラハラした気持ちになり、僕はそーっと顔を上げ、アイズの顔を見る。
それを聞いたアイズは、キッと目尻を上げてアランを睨む。
次の瞬間、溜まっていた涙がこぼれ落ち、アイズはアランを思いっきり引っ叩いたのだ。
「バカじゃないの⁈ いくらスノウが凄いからって、あんた達は止めようとしなかったわけ?」
激昂してまくし立てるアイズ。
子供だから歯止めが効かない、何かあってからでは遅い。
つい先日亡くなったばかりの仲間のことを忘れたのか……と。
僕にも当分の狩り禁止令が言い渡されてしまい、ギルドの中は緊迫した空気が流れ、静まり返ってしまったのだった……
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