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1章 ダンジョンと少女
動物ではない
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『少しは自重しなくてはいけない』
そう思ったのが、先日のゴブリンの一件だった。
エーテルというのはどこにでも存在する。
魔物からのドロップに薬草の中、ほんの微量ではあるが小石や土の中にも含まれている。
おそらく大気中に酸素や窒素が存在する感覚で、あらゆる場所にあるのだろう。
数値にすればわかりやすいのだろうが、正確にはわかりようもない。
感覚的には魔物から得られるエーテルが1000円ならば薬草は10円で、時々道端に1円玉が落ちているようなもの。
そして魔法に消費するエーテルが、およそ2000円。
ウインドカッター15発、3万円。
通常では起こり得ない現象を引き起こすには、相当のエネルギーが必要になるのだろう。
あるいは、単純に効率が悪いだけの話なのかもしれないが。
「この間まで、カードのことも知らなかったのに?!
80万なんて量、普通は貯まんないって!」
講義の後、サラと食事をしながら魔法についての話を続けていた。
「え、でも魔法なんて普段使わないから貯まる一方じゃない?
1時間も放っておいたら300は増えてるよ?」
「……ごめん、何言ってるかわかんないんだけど」
凍花の出したステータスカードを卓越しに覗き込むサラ。
言葉の文字通りに少しずつ増えていくエーテルの数値を見ると怪訝な表情を浮かべる。
「これ、なにかのスキルなの?
私のは自動的に増えるなんてこと無いんだけど」
「普通は増えないんだ。
……もしかしてバレるとまずい力だったりする……かな?」
笑みは浮かべているが、数値が少しずつ増えていくカードを持った凍花の手は硬直。
それを見たサラはゆっくりとカードを覆い隠すように手をかぶせると、小さな声でサラは凍花に言う。
「とりあえずカードは他人には見せないようにした方がいいかも。
偉い人に知られたら魔法をいくらでも使える便利な人間として見られる可能性はあるわね」
いくらエーテルも大量に持っていても、なんでもかんでもできるわけではない。
キューブは買うかレアドロップでしか手に入らないし、強大な武力で押さえつけられたら手も足も出ない。
最悪、拷問してでもエーテルを搾り出させようとする輩がいないとも限らない。
「まぁ山賊とか貴族様に目をつけられなきゃ滅多なことは無いと思うけどさ……」
そう言いながらサラが周囲を見ると、凍花もまた視線の先に目をやる。
そこには強面の冒険者に、身なりの綺麗な流れの商人。
怪しいと思えば怪しく見えてしまうのは、集金で預かった小切手と数百万円の束をカバンに入れて帰社する時の感覚であった。
そんなことがあったため、翌る日に凍花は貯めていたエーテルとマテリアを消費してしまおうと考えていた。
ただ、凍花も少し悩みがあったのだ。
「スライムだからあまり気にしないようにしてたけど……」
パンの販売がひと段落して、凍花はスキルを確認しながら頭を抱えていた。
スライムの他にも、いくつかの魔物を召喚可能であり、それはレベルの上がるごとに増していく。
ゴブリンにスケルトン、ワーム、キラーアント。
しかし、最初から召喚可能だったスライム以外にエネルギーを消費したことは無い。
凍花的にはどう考えてもテイムする気になれない魔物一覧であり、見たことのあるゴブリン以外の魔物についても見た目が容易に想像できてしまう。
そして懸念材料がもう一つ。
「何かお悩みかしら?」
「あ、いらっしゃいませアメルさん」
長いこと店頭に立つと、顔馴染みの客も増えてくるもので、宿を経営している優しい顔立ちのアメルもその一人である。
黒パンを10個購入したアメルは、銅貨を袋から取り出す。
そのちょっとの間に凍花は気になっていた事を口にする。
「そういえばテイマーの冒険者って、この村にも結構来るんですよね?
それで知ってたら聞きたいんですけど……」
テイムスキル自体はそこそこ所持している者はいるのだとされていた。
気になったのは皆が何をテイムしているのかという話。
「そうねぇ、ベテランならルフかファルあたりが多いかしら?
えっと、こんな牙を持ったーー」
特徴を聞くに、それはオオカミやタカのような魔物。
動物に近い魔物はテイムしやすいが、ファルのように空を飛ぶ魔物は難易度が跳ね上がるそうである。
凍花は銅貨を持ったまま話に夢中になる。
「やっぱりテイマーの人って結構いるんですね。
掃除とか大変じゃないですか?
毛や羽だっていっぱい落ちそうじゃないですか」
これがもう一つの懸念していたことである。
異世界とはいえパン屋は食品を扱う店舗。
自身のスキルでお世話になっている店に迷惑をかけるなど、言語道断である。
だが、意外にもあっさりとその懸念は払拭されることとなる。
「あら? 毛なんて抜けることないわよ。
牛や犬じゃないんだから、うふふ」
魔物というのは、あくまでも実体化しかけているエネルギー体みたいなものだと推察されている。
イマイチ理解が追いつかない凍花ではあったが、触れるVRでみたいなものだと思うことにした。
「長く存在する魔物はちゃんとした実態も持つけど、毛や爪も生え変わるってことは無いみたいよ」
知らないのね、といった感じで笑うアメル。
だから酒場や宿にも、テイマーは普通に魔物を連れてやってくる。
そして夜、再びどの魔物を召喚すべきかと悩んでしまう凍花であった。
そう思ったのが、先日のゴブリンの一件だった。
エーテルというのはどこにでも存在する。
魔物からのドロップに薬草の中、ほんの微量ではあるが小石や土の中にも含まれている。
おそらく大気中に酸素や窒素が存在する感覚で、あらゆる場所にあるのだろう。
数値にすればわかりやすいのだろうが、正確にはわかりようもない。
感覚的には魔物から得られるエーテルが1000円ならば薬草は10円で、時々道端に1円玉が落ちているようなもの。
そして魔法に消費するエーテルが、およそ2000円。
ウインドカッター15発、3万円。
通常では起こり得ない現象を引き起こすには、相当のエネルギーが必要になるのだろう。
あるいは、単純に効率が悪いだけの話なのかもしれないが。
「この間まで、カードのことも知らなかったのに?!
80万なんて量、普通は貯まんないって!」
講義の後、サラと食事をしながら魔法についての話を続けていた。
「え、でも魔法なんて普段使わないから貯まる一方じゃない?
1時間も放っておいたら300は増えてるよ?」
「……ごめん、何言ってるかわかんないんだけど」
凍花の出したステータスカードを卓越しに覗き込むサラ。
言葉の文字通りに少しずつ増えていくエーテルの数値を見ると怪訝な表情を浮かべる。
「これ、なにかのスキルなの?
私のは自動的に増えるなんてこと無いんだけど」
「普通は増えないんだ。
……もしかしてバレるとまずい力だったりする……かな?」
笑みは浮かべているが、数値が少しずつ増えていくカードを持った凍花の手は硬直。
それを見たサラはゆっくりとカードを覆い隠すように手をかぶせると、小さな声でサラは凍花に言う。
「とりあえずカードは他人には見せないようにした方がいいかも。
偉い人に知られたら魔法をいくらでも使える便利な人間として見られる可能性はあるわね」
いくらエーテルも大量に持っていても、なんでもかんでもできるわけではない。
キューブは買うかレアドロップでしか手に入らないし、強大な武力で押さえつけられたら手も足も出ない。
最悪、拷問してでもエーテルを搾り出させようとする輩がいないとも限らない。
「まぁ山賊とか貴族様に目をつけられなきゃ滅多なことは無いと思うけどさ……」
そう言いながらサラが周囲を見ると、凍花もまた視線の先に目をやる。
そこには強面の冒険者に、身なりの綺麗な流れの商人。
怪しいと思えば怪しく見えてしまうのは、集金で預かった小切手と数百万円の束をカバンに入れて帰社する時の感覚であった。
そんなことがあったため、翌る日に凍花は貯めていたエーテルとマテリアを消費してしまおうと考えていた。
ただ、凍花も少し悩みがあったのだ。
「スライムだからあまり気にしないようにしてたけど……」
パンの販売がひと段落して、凍花はスキルを確認しながら頭を抱えていた。
スライムの他にも、いくつかの魔物を召喚可能であり、それはレベルの上がるごとに増していく。
ゴブリンにスケルトン、ワーム、キラーアント。
しかし、最初から召喚可能だったスライム以外にエネルギーを消費したことは無い。
凍花的にはどう考えてもテイムする気になれない魔物一覧であり、見たことのあるゴブリン以外の魔物についても見た目が容易に想像できてしまう。
そして懸念材料がもう一つ。
「何かお悩みかしら?」
「あ、いらっしゃいませアメルさん」
長いこと店頭に立つと、顔馴染みの客も増えてくるもので、宿を経営している優しい顔立ちのアメルもその一人である。
黒パンを10個購入したアメルは、銅貨を袋から取り出す。
そのちょっとの間に凍花は気になっていた事を口にする。
「そういえばテイマーの冒険者って、この村にも結構来るんですよね?
それで知ってたら聞きたいんですけど……」
テイムスキル自体はそこそこ所持している者はいるのだとされていた。
気になったのは皆が何をテイムしているのかという話。
「そうねぇ、ベテランならルフかファルあたりが多いかしら?
えっと、こんな牙を持ったーー」
特徴を聞くに、それはオオカミやタカのような魔物。
動物に近い魔物はテイムしやすいが、ファルのように空を飛ぶ魔物は難易度が跳ね上がるそうである。
凍花は銅貨を持ったまま話に夢中になる。
「やっぱりテイマーの人って結構いるんですね。
掃除とか大変じゃないですか?
毛や羽だっていっぱい落ちそうじゃないですか」
これがもう一つの懸念していたことである。
異世界とはいえパン屋は食品を扱う店舗。
自身のスキルでお世話になっている店に迷惑をかけるなど、言語道断である。
だが、意外にもあっさりとその懸念は払拭されることとなる。
「あら? 毛なんて抜けることないわよ。
牛や犬じゃないんだから、うふふ」
魔物というのは、あくまでも実体化しかけているエネルギー体みたいなものだと推察されている。
イマイチ理解が追いつかない凍花ではあったが、触れるVRでみたいなものだと思うことにした。
「長く存在する魔物はちゃんとした実態も持つけど、毛や爪も生え変わるってことは無いみたいよ」
知らないのね、といった感じで笑うアメル。
だから酒場や宿にも、テイマーは普通に魔物を連れてやってくる。
そして夜、再びどの魔物を召喚すべきかと悩んでしまう凍花であった。
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