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1章 ダンジョンと少女
キューブの力
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基本的には魔物という存在に自我はなく、人を見ると襲いかかる存在である。
そもそもどのようにして誕生するのか、生態のほとんどが解明されていない。
倒すとエーテルのみ残す個体。
肉体の一部、もしくは全てを残す個体。
もう一つごく稀にいるのが キューブを持つ個体。
「とりあえず、これがどうしても戦いを避けられない時の最終手段っよ!」
サラは小さな石を手にして、走ってくるフォレットに向かって叫んだのだ。
「いっけぇぇ!!」
丸く形成された火の玉。それはファイアーボールと呼ぶに相応しい攻撃だった。
人間が走る何倍ものスピードで飛んでいくと、一直線に向かってくるフォレットに正面から直撃し、そのまま勢いよく燃え焼き尽くすのだった。
そして冒険者が命を落とす時というのは、ほとんどの場合が油断である。
『気持ちよく決まったわ』とでも言いたげな恍惚な表情を浮かべたサラは、背後に迫っていた別の脅威には気付いていなかった。
フォレットが小型のゴブリンであるならば、大型のものは何と呼ばれているのだろうか?
「サラさんっ!」
凍花が叫んでいるその瞬間にもゴブリンは迫り、サラの背後でナタのような刃物を振りかぶっていた。
1秒がこれほど長く感じることは、そう無いだろう。
それは凍花が狙いを定める時間。
指輪に意識を向け、ゴブリンに一撃を放つまでの予備動作にかかった時間であった。
「こ、これがキューブの力よ。
魔物の力が結晶化してるんだって勝手に思ってるけど、実際のところはどうなのかしらね。
高価なアイテムだけど、数回使ったぐらいじゃ壊れないし。
……私みたいな戦闘に自信がない冒険者でも容易に扱えるわね……知ってると思うけどさ……」
異世界に来たのであれば、やはり魔法は使ってみたかった。
この世界では、さも当たり前かのように使われるそれは日本人にとっては夢のような能力であるからだろう。
この世界に来てすぐ、一通り村の中を散策した凍花は魔法の存在に確信を得ていた。
どの家庭にも存在するわけではないが、火や水を生み出す何かは存在していた。
プロパンガスやIHコンロ、ポンプ式の水栓も無ければヒートポンプ式の給湯器も無いこの世界で。
そんな魔道具の元となっているものがキューブで、出力を抑えるための加工が為されている。
「風魔法のすごく弱いやつですけど、この間雑貨屋さんで見かけて思い切って買っちゃいました。あはは……」
指輪の着けた右手を頬に添えたまま、凍花は話す。
どんなに安くても大銀貨一枚。
それを貯めるには薬草採取ならば丸1ヶ月続けなくてはいけない金額。
日々の生活費も差し引けば、すぐに貯まるような金額ではなく、そこに凍花の本気を感じるサラであった。
「私なんか、初めてキューブを買うのに1年もお金貯めたのにぃ……」
そんな悔しさの滲み出るサラの一言は、誰の耳にも届くことはなかった。
なお、風魔法ウインドカッターでは一撃というわけにはいかない。
当然何度も何度も魔法を浴びることとなったゴブリンの皮膚はズタズタに切り裂かれており、そういう時に限って素材として全てが消えずに残されるものだったりするのだ。
そもそもどのようにして誕生するのか、生態のほとんどが解明されていない。
倒すとエーテルのみ残す個体。
肉体の一部、もしくは全てを残す個体。
もう一つごく稀にいるのが キューブを持つ個体。
「とりあえず、これがどうしても戦いを避けられない時の最終手段っよ!」
サラは小さな石を手にして、走ってくるフォレットに向かって叫んだのだ。
「いっけぇぇ!!」
丸く形成された火の玉。それはファイアーボールと呼ぶに相応しい攻撃だった。
人間が走る何倍ものスピードで飛んでいくと、一直線に向かってくるフォレットに正面から直撃し、そのまま勢いよく燃え焼き尽くすのだった。
そして冒険者が命を落とす時というのは、ほとんどの場合が油断である。
『気持ちよく決まったわ』とでも言いたげな恍惚な表情を浮かべたサラは、背後に迫っていた別の脅威には気付いていなかった。
フォレットが小型のゴブリンであるならば、大型のものは何と呼ばれているのだろうか?
「サラさんっ!」
凍花が叫んでいるその瞬間にもゴブリンは迫り、サラの背後でナタのような刃物を振りかぶっていた。
1秒がこれほど長く感じることは、そう無いだろう。
それは凍花が狙いを定める時間。
指輪に意識を向け、ゴブリンに一撃を放つまでの予備動作にかかった時間であった。
「こ、これがキューブの力よ。
魔物の力が結晶化してるんだって勝手に思ってるけど、実際のところはどうなのかしらね。
高価なアイテムだけど、数回使ったぐらいじゃ壊れないし。
……私みたいな戦闘に自信がない冒険者でも容易に扱えるわね……知ってると思うけどさ……」
異世界に来たのであれば、やはり魔法は使ってみたかった。
この世界では、さも当たり前かのように使われるそれは日本人にとっては夢のような能力であるからだろう。
この世界に来てすぐ、一通り村の中を散策した凍花は魔法の存在に確信を得ていた。
どの家庭にも存在するわけではないが、火や水を生み出す何かは存在していた。
プロパンガスやIHコンロ、ポンプ式の水栓も無ければヒートポンプ式の給湯器も無いこの世界で。
そんな魔道具の元となっているものがキューブで、出力を抑えるための加工が為されている。
「風魔法のすごく弱いやつですけど、この間雑貨屋さんで見かけて思い切って買っちゃいました。あはは……」
指輪の着けた右手を頬に添えたまま、凍花は話す。
どんなに安くても大銀貨一枚。
それを貯めるには薬草採取ならば丸1ヶ月続けなくてはいけない金額。
日々の生活費も差し引けば、すぐに貯まるような金額ではなく、そこに凍花の本気を感じるサラであった。
「私なんか、初めてキューブを買うのに1年もお金貯めたのにぃ……」
そんな悔しさの滲み出るサラの一言は、誰の耳にも届くことはなかった。
なお、風魔法ウインドカッターでは一撃というわけにはいかない。
当然何度も何度も魔法を浴びることとなったゴブリンの皮膚はズタズタに切り裂かれており、そういう時に限って素材として全てが消えずに残されるものだったりするのだ。
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